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第24話:目的
『勝者が決定いたしましたので、現実世界に意識を転送します』
1回戦の終了を知らせる合図がなる。
視界が徐々に暗くなり、平衡感覚を失う。
立っていた感覚は消え、浮遊感が生じる。
意識がどこまでも沈んでいく。
あの夜のようだ。
噂をすればなんとやら…、白い髪に赤い眼が特徴の少女が現れる。
「なんでお前が出てくんだよ、サタン」
どうだった、アタル?
「どうだったって何が?」
とぼけないでよ、ボクの使い心地さ。
「どうって言われても…、はっきり覚えてないんだよ」
そっか、でも悪い気はしなかったでしょ?
「それすらも覚えてねーよ。ってかお前は一体何なんだ?なんで俺の中にいる?なんで俺に力を貸す?お前の目的はなんだ?」
なにからいえばいいかな…。
じゃあ一つだけ答えてあげる。
なんで君に力を貸すのかだけど、君に強くなってもらわないといけないから、今よりももっとね。
「なんで!?」
ボクの目的と君の目的が限りなく近いからさ。
「おい、それってどういう…」
いずれわかるよ…。
サタンの声が遠くなっていき、浮遊感も失っていく。




