第23話:第二魔王候補
「ただ今戻りました!ルシファー様!」
ビシッとした声が宮殿の中に響く。
「そうか、ご苦労。役目は果たしたか?アスタルテ」
「はっ!仰せのとおりに」
「そうか、ならば良い。奴らが所有者に憑いてなければ良いのだが…」
アスタルテと呼ばれた女の悪魔は持っていたレポート用紙をめくる。
「先日失踪したベルゼブブは未だ発見されておらず、10年前に失踪したサタン、マモンに関しても情報がありません」
「厄介な奴らが逃げたものだ…。サタン、マモンの捜索を断念し、ベルゼブブに総力を挙げろ!」
「はっ!」
「見つけた場合は早急に殺せ、受容者に取られる前に!」
「はっ!仰せのままに!」
「それと、精鋭を5体連れていけ、白魔道士の足止めをしろ!現場の指揮はアスタルテ、君に任せるよ。くれぐれも私の期待を裏切らぬようにな」
「は、はい!」
そう言うと、女型の悪魔はその場を後にした。
「次期魔王候補が3人も居なくなるなんて魔族も末だね〜」
柱の影から男が出てくる。
「黙れ、人間には関係の無いことだ!」
「まぁまぁ、僕ら協力関係なんだしさ」
つかつかと物怖じもせずに近づいていく。
「それに、僕がいなきゃ人間界の情報も得られないでしょ…」
くっ!嫌な奴だ。
「それはそうと、学校には行かなくていいのか?」
「行かなくても、僕は咎められないよ。強いから…」
好戦的な目でルシファーを睨みつける。
「そうか、案ずるな。次期魔王は私だ。他の魔王候補などただの肩書きに過ぎない!第一魔王候補も第三魔王候補も第六魔王候補も私が殺す。不安要素は全て排除する!全ては、魔族が為に!」
たかだかと声を上げると同時に、宮殿の外に雷が1つ落ちた。




