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灰色魔道士の世界消失(ロストレガリア)  作者: GACKT
第一章、神守学園編
21/34

第21話:侵入者

優人は、魔族が侵入したと思われる地点にいた。


「ここら辺か…」


場所は裏門付近。

普段は南京錠で施錠されているし、魔力結界が施されているため魔族と人間の両方の出入りは阻害されている。


この結界を突破してくるということは、上位階級の魔族だろう。


「おい!出てこいよ!」


答えが返ってこないところをみると考えられることは2つ。


1.敵が馬鹿じゃない。

2.ここにいない。


「どっちだ…」


魔力結界を破るのには、相当な時間を要する。

移動したとしてもそこまで遠くないと思うのだが…。


ガキッ!



背後からの斬撃を察知し、咄嗟に出したハンドガンの銃身が斬撃を防ぐ。


「怖いねぇ〜、いきなり命狙ってくんのか」


「我の攻撃を防ぐとはな。貴様、何者だ?」

魔族が口を開く。


「俺は、通りすがりの高校生だけど」


「あくまで白を切るつもりか、いいだろう…、我は第二魔王候補、ブラドリクス・ルシファー様に仕えし者、ティアマト!」


山羊のような容姿をした巨大な魔族は、野太い声でたかだかと叫んだ。


「そうか…、ティアマトねぇ〜…」

優人が俯く。


「どうした?我の声に腰を抜かしたか?白魔道士のガキが!」


ガハハっと大声で笑う。


「……せぇ…」


優人が何かつぶやく。


「どうした?もっと大きな声で言わんと聞こえぬぞ?」


耳に手を当てて聞こえぬ振りをして優人をおちょくる。


「うるせぇって言ってんだよ!声と体と態度だけはデカイ三流魔族のくせによ!」


「な…、貴様、我を愚弄する気か!?それはつまり、我が主のブラドリクス・ルシファー様への挑発ということだぞ!わかっているのか!?」


「だぁ〜かぁ〜らぁ、その馬鹿でかい声をどうにかしろって言ってんだよ!ってかいちいちフルネームでウゼーんだよ!」


優人の罵倒がティアマトを襲う。


「ぐっ…、いいだろう!ならばその身にブラドリクス・ルシファー様の恐ろしさを刻んだんでやろう!」


「だからフルネームウゼェしうっせぇ!」


ティアマトが、右手に黒いマナを集中させる。


「フン!」


コンクリートの地面に拳を打ち付け、礫を飛ばす。


優人は、銃にマナを込めて、発砲。

破壊できない分はシールドでガードする。


「ほらほら、足が止まっているぞ!」


真横からティアマトが接近。

ラリアットで優人をシールドごと吹っ飛ばす。


ドガッ!


校舎に突っ込む。


シールドで衝突の威力を軽減したので、致命傷はなかった。


「あの力は、異能(レガリアなのか元からなのかどっちだ?」


(まぁキムの相手をしてるって考えればいいか)


「どうした小僧、もう降参か?」


下からティアマトが見上げてくる。


「今から凄ぇの撃つけどいいか?」

眼下のティアマトに問い掛ける。


「いいだろう!我は強いからな!」


馬鹿な奴だ。

こんな奴だから出世もろくにできないんだろうな。


「フラグ建設乙…」


「ん?なんか言ったか?よく聞こえんぞ!」


「顕現せよ、フェンリル!」


銃身が銀色に輝き、形態が変化する。


「あれは、レートA以上の魔道具だと!?」


まずいと思ったときにはもう遅かった。


「捕縛しろ、フェンリル!」


放たれた6発の弾丸がティアマトの周りの地面にめり込む。

めり込んだ6発の弾丸からシールドを展開、ティアマトの動きを完全の封じた。


「なっ…」


山羊の顔でも驚いた顔ってわかるもんだな。


「お前らの目的はなんだ?」

シールドに手を添えて優人が問い掛ける。


「そんなもの知らぬ!我はただ攻めてこいと命令されただけで…」


ティアマトを注視するがとても嘘をついているようには思えない。


「捨て駒か…、ならもう用はない」


シールドに添えた手にマナを込める。


「我は捨て駒などではけしてッグァァァ!」


内部のティアマトが悲鳴を上げる。

ティアマトの腕がバキバキと音を立てて折りたたまれていく。


「待て、我を殺せば、すぐにブラドリクス・ルシファー様が駆けつけて人間界を地獄に変えるぞ!いいのか!!」


「フルネーム、うざいんだけど…」


グシャ…


シールドを解くと足元に赤い液体が流れ混んできた。


「うぇぇ、気持ち悪っ!」


「自分でやっておいてそれはないだろ!」


背後からツッコミが聞こえてくる。


「謙也か…、そっちは終わったようだな…」


「あぁ、瞬殺だったよ。君と違って」


こいつは魔族の動向を探ったりとかそういうことしないから困る。


「情報は何もなしか…」


「さっさと戻ろっか。さっきの勝負の結果も気になるし」


「あぁ、そうだな…」


なぜだ、魔族の意図が読めない。

後で校長に相談してみるか。


急かす謙也を適当にあしらい、モニタールームへと二人は向かった。

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