表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色魔道士の世界消失(ロストレガリア)  作者: GACKT
第一章、神守学園編
20/34

第20話:勝利

身体が軽い…。


今なら何でもできそうだ…。


アタルの中の不必要な感情が消えてゆく。


残ったのはサタンの原動力である怒りと、大切な物を守り抜くという決意。


360°、全方位からのナイフによる攻撃が近付いてくる。


「アタル!危ない!」


紗音が叫ぶ。


ドォォン!!


爆音が轟く。


アタルの周囲は黒い煙に覆われていてその存在を確認できない。


「やったか?」


「そんな…」


彰が振り向いて紗音に近づいて行く。


「この戦いも、もう幕を下ろす時が来たようだね」


紗音は逃げようともせず、ただただ座っている。


「逃げないなんて潔がいいね。それも武士道ってやつなの?」


「……」


紗音は何も語ろうともしない。


「はぁ…、もういいや。バイバイ」


ナイフにマナを込める。


それでも紗音は逃げようとしない。


右手を引き、紗音に向けて投擲…。


する前に右手に強い衝撃。

地面に組み敷かれる。


「紗音に、手を出すな…」


「アタル…」


自分の上から、倒したはずのアタルの声がする。


「あれを耐えれるわけないでしょ、成績優秀者でもない君が!」


地面にワームホールを生成。


アタルから距離をとる。


「どうしたの?その目」


アタルの目は、紅く輝いていた。


「まるで魔族だ」


「黙れ、そんなことは関係ないだろ」


アタルの声は怒りで震えている。


「それもそうだね…」


『残り時間、1分』


次の攻防で全てが決まる。


そこでアタルを仕留められなければ、時間的に2人を倒すのは不可能に近い。


逆に、アタル達からしてみれば、ここで防ぎ切れば勝利が見えてくる。


その場を静寂が包む。



ダッ!!


アタルと彰、双方が互いに接近。


「はぁぁぁ!!」


片手で太刀を持ち、マナを込める。


普段のマナとは異なり、黒い色をしたマナが刃に纏わり付く。


彰が攻撃範囲内に入ってきた瞬間、前方に捻りながら突き出す。


「《虎旋(こせん)》!」


螺旋回転の太刀が大気を掻き分けて突き進む。


「食らうかァァ!」


ワームホールを左手と右手でそれぞれ造る。


左手ワームホールでアタルの突きを呑み込み、右手のワームホールから出してアタルにカウンターを決めるつもりだろう。


「アタルッ!ダメェェェ!」


しかしアタルは止まらない。


彰は勝利を確信した。


アタルの突きがワームホールと接触。


グサッ…。


深々と突き刺さる。


「なんで…、僕が…?」


彰が崩れ落ちる。


その胸部には、アタルの太刀が突き刺さっていた。


『仮想戦闘体損傷、致命傷により行動不能、イジェクトします』


(そうか、あの時の黒い煙は、身を守るために張ったその黒いマナだったんだね)


アナウンスが聞こえ、彰が光り始めた。


「やられちゃった…」


アタルに向けて言葉を発する。


見ると、アタルの目の色が元に戻っていた。


「楽しかったよ、アタル君…」


「あぁ、俺もだ」


2人して笑いあう。


さっきまでの戦いが嘘のようだ。


彰が光の結晶となり散ってゆく。


「勝ったんだよね…」


紗音がアタルに問い掛ける。


「あぁ、俺達の勝ちだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ