第2話:サボりを賭けた仁義無き戦い
キーンコーンカーンコーン…
ホームルーム終了のチャイムが鳴り、クラスのみんなは次の授業の準備をしている中、俺は机に突っ伏していた。
「し、死ぬかと思った…」
登校時の浮遊魔法、《スニーク》の使い過ぎにより、多大な披露を抱えていた。
「あんたのマナの使い方が下手すぎなの!授業中寝てるから使える物も使えないのよ!」
「寝るのは、俺のせいじゃないんだ。理解しづらい授業をする教師がだな…ってか、なんでお前寝てるのわかるんだよ!?俺よりも前の席なのに!?」
「それはっ…!その…たまたま後ろ向いたら寝てて…
たまたまなんだからっ!」
「お、おぅ…」
こいつには俺の居眠りセンサーでもついているのだろうか?
「朝から、うるさいぞ…」
「うぉっ!?なんだ優人か〜ビックリさせんなよ!」
俺は、そう言いながら小学校からの親友、灰崎優人の背中を叩く。
こいつは、容姿端麗、運動神経抜群、誰にでも優しく接するという三拍子揃っていて、なおかつこの学園のエリートが集められた生徒会の序列4位という非の打ち所のない超人なのだが、1つ問題点を上げるとすれば…。
「迷惑なのはこっちだ!朝から万里花とスウィートなひとときを楽しんでいたのに、目の前で夫婦喧嘩しやがって…、マイハニーのボイスをノイズでかき消すなっ!!」
そう言いながら、手に持っている携帯ゲーム機に映る美少女と会話をしている。
これが彼の素顔である。
「夫婦…」
こいつなんで罵られて笑ってんだ?
「まぁまぁ、そんな怒んなって〜」
優人にそう言い聞かせたのは
これまた俺の幼なじみの黄村将樹、通称キム。
こいつは、なんというか…そう、言葉に困るが、まぁオブラートに包むなら、母性愛に目覚めた警察の顔見知りってところだ。
「アタルー!早くしないと実技の授業遅れちゃうよ〜!」
いつの間にか、教室の中には俺達四人だけになっていた
実技の授業といっても、スポーツとかそういうものではなく、魔法のだ。
俺達の通う、ここ神守学園は主に魔法使いの専門学校だ。
座学から実技まですべての勉強において魔法の勉強をする。
「よし、全員出席しているな〜!体調が悪かったりする奴はいるか?」
「「はい」」
俺と優人の手が同時に上がる
「またお前らか〜…紫藤、お前はダメだ。朝からスニークで元気に登校してたのを俺は知っている」
「………はぃ…」
「そして、灰崎!授業中にゲームは禁止だ!しまえ!!」
「万里花!万里花!万里花!」
ゴスッ!
教師の拳が優人の頭にたんこぶを作る
「ゲームやる元気があるならお前も平気だな…?」
「……はぃ…」
「まずは、マナを使った簡単な武術を教える
簡単とはいっても、これに磨きをかければ…」
そう言いながら右手にマナを込め始める。
やがて、手に青白い光が纏わる。
「危ないから、離れてろよっ!!」
そう言い切って腕を振りかぶると、自分の真下にパンチを放った!
ドゴッ!
爆音と砂煙が宙を舞う。
視界を覆った砂煙が消えると教師の足元には、1m弱の窪みが出来ていた
「これが、基本魔法の初歩、《セロ》を応用した《セロ・ブレイク》だ。
自分の身体にマナを溜める動作をセロというのは知っているな?
セロの状態から近接攻撃を繰り出すことで、威力を高めている。
仕組みは単純だが、応用も効くため使用する魔道士も少なくはない」
魔法は、大きく分けると2種類存在する。
マナを媒体として、個々が持っている異能を使用するものと俺達が今習っている、マナ自体を使う基本魔法だ。
マナの扱いに不慣れな俺達1年生は異能の使用を禁止されてるが、生徒会に所属している優人と、学年主席の紗音は、例外として使用を許可されている。
「それでは、二人一組になって練習をするぞ!
一人がシールドを張って、もう一人がシールド目掛けて放て!シールド側は、怪我をしたくなければ全力で守れよ!」
そう言って、教師は、不敵な笑みを浮かべる
「紫藤、灰崎、お前らは、俺の特別授業だ!喜べ、可愛がってやる!!」
「「う、嬉しくね〜…」」
またしても俺と優人の声が重なる。
「まずは俺が、そうだな…。
紫藤!お前にセロ・ブレイクを放つから、全力で防ぎに来いよ…!!」
そう言いながら右手にマナ溜める。
「アタル、よく聞け」
優人が俺に耳打ちをしてきた。
「あの教師をノックアウトにすれば、この時間はサボり放題だ!
多分、お前のシールドじゃ奴の攻撃を防ぎきれないだろう。
守りは俺がなんとかするから、お前は最初からセロの状態でいろ。
俺が奴の隙を作るから、思いっきりぶっ放せ!!」
「わかった、けどどうやって防ぐつもり?いくら優人でも、教師相手はきついだろ?」
「問題ない。
パンチの威力が低ければ楽勝だ」
「いや、その威力を高める魔法だよ!?わかってる?」
「大丈夫だ!俺を信じろ!!」
どうして、こいつはこんなに自信満々なんだ?
「もうおしゃべりは、終わったか?」
「はい、終わりまし…たぁあ!?」
振り返ると、教師は既にセロの状態になっていた。
問題は、雰囲気からして伝わってくる本気度だ。
間違いない…殺られる……
「なぁ、優人!本当に大丈夫なんだな!?」
「問題ない、何度も言わせるな!俺を信じろ!!」
「行くぞっ!!」
教師は、俺に向かって走り間合いを詰める。
「もう、どうにでもなれっ!!」
俺は右手にマナを込める。
「お前もセロ・ブレイクを撃って相殺する気か!?
残念だが、お前の力でどうこうできるほど俺は衰えていないぞ!そして、マナを溜めるのが遅すぎだ!!間に合わん!!」
教師が跳躍し、右腕を振り上げた。
万事休すか!?
教師が、パンチを放ったと思われた束の間、セロ状態にあった右手が、爆発をした。
優人がシールドを張って、教師の一撃を防ぐことに成功した!
教師がセロ・ブレイクを放つために拳を突き出そうとした瞬間、優人がシールドを張ったのだ!
パンチにおいて一番パワーが乗らない、パンチの軌道上の始動直後の空間に!!
自身の攻撃を逆手に取った防ぎ方をされ、教師は怯んでいた。
そして、マナを溜め終え、俺はセロ状態になっていた。
「いけ!アタルー!!」
「うぉぉぉぉっ!喰らえ〜っ!!」
ドッゴォォン
激しい怒号と砂煙が宙を舞う。




