第15話:学年次席
「おーい、キム〜!」
目の前から、親友が戻ってくる。
単騎突入してやられずに戻ってくるなんて、やっぱ俺の見越した通りだ。
キムの身体が光を失う。
身体強化を解除したのだろう。
しかし、突如キムの前に黒いモヤのような物が出現し、消えていった。
キムの姿が見当たらない。
今度は、はるか上空からなにか降ってくる。
「え?」
それは、見紛うことなく、キムだった。
キムは負けてしまったと呟き空中に溶けていった。
そして、俺達の目の前にまたあの黒い物が出現、中から一人長身の男が出てきた。
「ラッキ〜、探す手間が省けた♪」
「…っ!アンラッキーすぎ…」
紗音が、苦しい表情で奴を睨む。
「あれれ〜、赤神さんだ!おーい♪」
「できれば会いたくなかったんだけどね、黒羽君…」
「酷いな〜、僕は会いたくてしょうがなかったよ〜♪」
「んな!?いきなり何言いだすんだお前!?」
「僕の本心だよ♪」
そう言った瞬間、彰はワームホールから無数のナイフを取り出す。
「いくよ、楽しい戦いにしようね♪」
取り出されたナイフは、重力に従って、下に出現したワームホールに呑まれてゆく。
「千本ナイフ!」
アタル達の上空にワームホールが出現し、無数のナイフが降り注ぐ。
「アタル危ない!」
紗音が炎の斬撃を放ち、アタルの頭上のナイフ諸共弾く。
「うおっ!危な!!」
もう少しで、頭部に喰らってたな…。
万里花も氷のシールドで身体を庇ったのでダメージは無いようだ。
「流石学年主席、それぐらいはやってくれないとね」
「黒羽君こそ、最初っからえぐい攻撃してくるのね…!」
「紗音さん、あの方と御知り合いのようですけど、いったいどちら様なのですか?」
「そっか、万里花ちゃんはまだ転校して間もないから知らないのか」
「学年次席、黒羽彰…」
「次席、ですか…」
つまり、1年の中で2位ということだ。
「アタル、万里花ちゃん、全速力で逃げて!!私が食い止めるから。」
紗音が必死に二人に言う。
「は?何言ってんだよ!!お前一人だけを置いて行けるかよ!」
「そうです!それに相手より紗音さんの方が上ですし、こっちは3人です!勝機は充分にあります!」
「違うの…。黒羽君はただの2位じゃない…」
「どういうことですか?」
学年の順位っていうのは、学力と戦闘力の合計した成績で決まる。
「黒羽君はね…、戦闘力だけで学年次席の座を勝ち取ったの…」
「それってつまり…」
「戦闘に関しては、紗音さんを抜くかもしれないってことですか…」
そんな化け物にどうやって勝てばいいんだよ…!
「あのさ〜、先に言っとくけど、一人も逃がす気ないから♪」
笑顔で彰が告げる。
もう腹をくくるようしかないみたいだな。
「安心しろ、どのみち逃げる気はねぇーよ!キムの仇だ」
「ちょっと、アタル!?」
「逃げて散り散りになった所を狩られるよりもこっちの方が生存率高いと思います」
「万里花ちゃんまで!?」
彰は、以外だといった表情を一瞬見せるが、また笑顔に戻る。
「いいね〜、そう来なくっちゃ♪」
『残り時間、8分』




