第10話:期末試験開幕!
朝のホームルームが終わると、一年生は全員、モニタールームへの移動を指示された。各々が教室を後にする中、俺達は最後の作戦会議を開いていた。
「いよいよ本番だが、少し作戦を変えることにした。まず役割だが、赤神をアタッカーにしてアタルをサポートにまわす。異論はあるか?」
「フッ、やっぱり異能無しのアタルにはアタッカーは厳しいみたいだな!」
うぜぇなキム…。
「じゃあ決まりだ!作戦としては、キムが単騎で乗り込んで死ぬ。そして油断しきった相手を赤神・アタルが叩く。以上!」
「っておい!ちょっと待て、なんで俺が死ぬ前提で作戦立ててんだよ!言っとくけど、俺はこの数日間でまるで別人のように変わったんだよ!前とは比べ物にならないくらい…」
「弱くなったのか?」
「違ぇーよ!!なんでそういう答えに近づくんだよ!もういい!見てろよ優人!俺の生き様を!!」
(たかが試験なのにどうしたこいつ。)
そうこうしているうちにチャイムがなり始めたので俺達5人は急いでモニタールームに移動した。
モニタールームの全体は体育館程の広さを有しており、それぞれ用意された個室にチームごとに別れる。
優人と別れて個室に入ると目の前にモニターがありそこには、スーツを着たの男の姿が映っていた。
『こんにちは、1年生の諸君。私はここ神守学園の校長をしている明石透だ。知らない人がいたらぜひこの機会に覚えておいて欲しい』
明石透、魔法研究家の一人で、3年前に24歳の若さでこの学園の校長に抜擢された。この学園のOBで入学当初は、あまり目立った成績が得られなかったが、1年の後半からその頭角を現し、2年の時には学年主席、3年では生徒会長…、つまりこの学園のトップに君臨したエリート中のエリートだ。
『今回の試験のルールについてだが
4対4のトーナメント方式、異能の使用及び魔道具の使用可。上位5チーム、20名には、Dランクへの昇進。優勝者には特典として、レートA以上の魔道具を贈呈する』
「マジかっ!?」
魔道具にはそれぞれレート(貴重さ・強さなどで決まるランク)が定められており、レートA以上の魔道具となると一流の魔道士も使っているくらいの代物だ。さらにレートA以上の魔道具にはそれぞれ固有の能力が付いているらしい。
『景品がわかったことでより一層諸君らのやる気が出てきただろう。精進したまえ!』
放送が終わると、室内のスピーカーから放送が流れる。
『参加者は速やかに仮想媒体収束装置を頭部に装着して室内中央にあるカプセルの中に入ってください』
部屋の真ん中には大の大人が入ってもゆったりできる程の大きさのカプセル4つとその中に、ヘッドギアのような外見をしている装置、多分これが仮想媒体収束装置だろう。
アナウンスがあった通り、ヘッドギア型の装置を頭につけてカプセルの中に入る。
『生体反応を確認、今から仮想世界にワープします』
ヘッドギアからアナウンスが流れる。
『3…、2…、1…、仮想戦闘体構築完了。意識を移動します』
目の前が真っ暗な闇に閉ざされる。
「楽しみだよ、アタル。もうすぐボクを使う時がくる……」




