表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

0話。

これは、僕が子供の頃のお話。




周りを見渡せば一面の緑。


空を見上げれば広がる青。


高い建物などテレビの中の存在で、携帯電話なんて欲しいと思った事がない。


耳に聞こえるのは虫や木の囁き。


都会の人から見れば羨ましがられるかもしれないが、僕からしてみれば何の楽しみもないド田舎。


僕はこの場所が嫌いだ。


変わることのない風景、人の顔、何もかもが嫌で。



そんなある日、小学校の卒業を前に父から報告があった。

田舎を出て都会で昔からの夢だった喫茶店を開きたい、だから都会に引っ越すと。

こんな田舎から抜け出せる、そう思うとワクワクが止まらなかった。



卒業の日、式が終わり友達である二人の幼馴染に別れの挨拶をした。



寂しさなど微塵もない。


悲しさなど欠片もない。


ただ、ワクワクしていた。



父親の運転する車に乗り


周りの風景を見ながら


新しい場所へと向かう


見渡す野山の田舎からモノに溢れた街へつ移っていく。





この街に住んで4年目の夏を迎えようとしていた。夏休みを4日後に控えた学校の帰り道、俺の隣には彼女と呼ぶのかもしれない女。

彼女と言ってもたまたま田舎で住んでいた時の知り合い。名前は大道葵(おおみちあおい)

俺は曖昧であったが、彼女はしっかりと覚えていたようで、出会って二日で告白されその場の流れで付き合ってしまった。

だから好き?と聞かれたらなんて答えていいかわからない。そんな関係を3ヶ月も続けている。

しかし葵はそんな俺を試すように言った。


太祐(たすけ)君はさ、私の事好きで付き合ったの?」


まさかの質問。しかし俺は迷う事無く


「わからない」


と答えた。嘘ではない。好きで付き合ったわけでないし、嫌いだっら一緒に居ないし。だから分からないと答えた。


「・・・・・・ひどい」


そう言葉を残し、葵は走って行ってしまった。

いつからだろう、何に対してもやる気が感じなくなったのは。この世界に魅力を感じなくなったのは。

田舎が嫌で抜け出せて、この都会では楽しい生活が待っているはずだったのに。

住めば都。あそこにいた時となんら変わらない生活。

なんてつまらない世界なんだろう。そんな事を思いながら、一人家路に着く。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ