俺と君。 ~叶わなかった初恋~
ある寒い日の夕方。ここは人気のない公園。
俺はそこである人を待っていた。
「ごめん・・・待たせたかな?」
「いや、そんなに待って無いよ!」
俺は、一人の女子を待っていたのだ。
彼女の名前は、冬花・・。
俺の好きな人だ。
「それで話って何なの?」
俺と冬花は小学生からの付き合いで、友達だった。
だが、俺は冬花と友達以上になりたいと中学生になった時に思った。
冬花は、学校で一位を争う可愛さで、一緒によく居る俺は男子から羨ましく思われていた。
一方俺は、見た目パッとしない、普通の中学生。
唯一良いところは、記憶力だ。
そんな、記憶力なんかを好きになる人などいなく、俺はこの年まで彼女無しだ。
「あのさ、冬花、よく聞いてくれ。」
俺が告白しようと思い始めたのは、まだプールの授業がある頃だった。
プールの授業が終わり、教室に戻った俺は冬花に会った。
その時、冬花は髪を降ろしていて、とても・・・可愛いと思った。
しかも、こっちを見て笑って来たんだ。
俺はどんな顔をしていただろうか?
多分真っ赤だったろうな。
「俺は、冬花の事が・・・」
その後も周りから見ればいつも通りに見える光景も俺には全く違って見えた。
例えば、体育祭ではついつい冬花を探していたし、合唱コンクールでは冬花の歌声だけを聞いていたいと思った。
他の奴らにそれを見られる事自体、嫌だった。
だがそれを言葉には出せなかった。
それから、冬花が他の男子と喋っているのを見てもイライラした。
冬花はただの友達だと思ってる事は知っているが、何故か心がもやもやしたんだ。
「好きだ。付き合ってくれないか?」
だから、俺はこうして自分の物にしようとしてたのかもしれないな。
「・・・・。」
冬花は絶句してしまっていた。
まさか、友達それも一番の男「友達」から好きだなんて言われるとは思ってなかっただろう。
「いきなりでごめん。。」
俺は、心から思った事を声に出した。
「ううん、大丈夫。」
「だけど、ごめんね。」
俺はその言葉の意味を把握するのに時間がかかった。
・・・・俺はフラレたのか。
そう思うと笑いが込み上げてきた。
「ははははっ、フラレたのかぁー」
「ごめん。」
「いいの、いいの。成功すると思ってなかったし。」
でも、成功するといいなとは思っていたが。
「これから、ちょっと気まずいかもな。」
「そうだね、これも君のせいだよっ!」
そんなことを笑いながら言う冬花に、ドキッとしたのは永遠に俺の心の中だ。
これが、俺の初恋物語。
半分本当で、半分が理想です。