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しるし(詩集)

黒のうた

作者: さゆみ

利口なカラスがダイヤをしゃぶって笑ってる

蒸気機関車は煙りが目に染みて啼いている

墨汁は筆に暗を運び寡黙に掠れる

喪服は刹那に魂を回顧し久遠に祈る

日傘は太陽の恩恵を蓄えて白身を守る

洞窟は静かに呼吸して靴音を招き入れる

夜の海は空の鏡となって月影を映しとる


暗闇は世界中の造形物の生命力を一層強くする

美しい華も

穢い金も

あたたかいポケットも

冷たいアパートも

優しいベッドも

意地悪な枕も


眠る

目覚める

暮れて

昇る

朽ちて

ひらく


暗闇があるからこそ輝きが見えてくる

暗闇を知るからこそ強さを見いだせる

明るさに惑わされて不確かだったものが

くっきりと浮かび上がり

はっきりと弧を描く

煌々と光り続ける


私たちはそこから

いくつもの光明を捉えようとする

それぞれの指標を探し続ける

此処に在ることを知ろうとする

そしてまた新しい明日を生きる

そしてまた暗闇の中を模索する

そしてまた……




暗闇だらけの利口なカラスが視界を横切った







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― 新着の感想 ―
[一言] 黒の寂しさと優しさを感じました 黒から見た光と影みたいなものを考えてしまいました 本当に表現の仕方が美しいです‼ ついつい余韻に浸ってしまいます(^^) 「私たちはそこから〜そしてまた……
2013/08/21 21:48 退会済み
管理
[一言] 暗闇があるからこそ… 暗闇を知るからこそ… の章が好きです。 黒の良さや儚さみたいなのを感じました。 なんか、ちょっとホロリときました(^-^)/
2013/08/21 20:10 退会済み
管理
[一言] 後1つ! そして蘭菊のお腹も真っ黒。 さゆみ樣の詩心が欲しぃ〜! щ(゜▽゜щ) ☆傷まみれの蘭菊(笑)
2013/08/21 11:09 退会済み
管理
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