表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界の荒鷲  作者: 飛桜京
第一章
8/51

 ○侵入者


 奴隷小屋が盛り上がっている頃、侵入者は、十五人目の衛兵を戦闘不能にしたところだった。


「き、貴様、何者なんだ」

「…………」


 だが、侵入者は答えない。そのまま主の部屋に向かって進んでいく。


「誰だ!! ガアッ!!」「ウッ」「きさ―――ぐふっ」


 次々に倒していく。しかし、ここまでで怪我人は出ても死者は出ていなかった。ただ戦闘不能にしていくだけ。しかし、追いつくことのできないように。


「殺せ!! 情けのつもりか!」


 衛兵の一人が叫んだ。しかし、侵入者はやはり答えずに、その衛兵にバイバイと手を振って去っていく。睡眠魔法をかけて。


 そして、あっさりと主の部屋にたどり着いた。扉に耳を当てて聞き耳を立てる。すると、中年の男の下卑た声と、複数の女性の嬌声が聞こえた。


『もっと寄れ、もっと』『嫌ですわ、旦那様』


「…………」


 侵入者は後悔した。なぜこんな屋敷に自分は侵入したのかと。衛兵の腕はよかった。しかし、それだけだった。自分と互角にやり合えるような者はいない。


 だが、後悔しても始まらなかった。


 驚かしてやろうと、扉をそっと開けるのではなく、バアン!! と完璧で、いっそ流麗ともとれるようなフォームで蹴り破る。


「な、何だ!?」『キャアアアァァァァアアア!!』


 女性の叫びがうるさい。これでは話もできない。


 逃げる女性たちのことは放っておき、まだ事態を把握せずに、うろたえている男に近づき、面を被ったままなのでくぐもったままだが、第一声を放った。


『お久しぶりです。伯爵』

「な、だ、誰だ?」

『察してほしいものですな。そろそろ溜まりに溜まりまくった報酬金、総額で金貨二十枚分。耳をそろえてきっちりと返してもらいましょうか』

「き、貴様、あの時の暗殺者か!」

『そのとおり。で、答えは? 返すなら命は見逃しましょう。返さないのなら、外の衛兵とは違って殺してでも、奪う。それでよろしいでしょうか?』


 返答は、しばらく経ってからだった。


「……わ、わかった。返す……、とでも言うと思ったか!! 出てこい!」


 恐縮したようなっ先ほどの姿とは打って変わって、急に傲岸不遜な態度をとる。急に現れたのはまだ残っていた衛兵たちと、傭兵、奴隷たち、総勢五十人。


 その中には、昼の少女、七十五番もいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ