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異界の荒鷲  作者: 飛桜京
第三章
43/51

ジェット戦闘機との戦い

 ○荒鷲傭兵団三三三飛行戦闘隊・ベニート=フェリーニ


 ちいっ、なんでこんなに多いんだ! サンニイ、サンロクが来てもこれなんて!

「敵機の解析はまだなのかい!?」

『…………完了しました。敵はMig-19というソビエトの機体のようです。主翼下の鉄の棒のようなものに注意してください』

「あれはなんなんだい?」

『わかりません。ですが、増槽ではないのは確かです』

 サンロクの金橋君からの通信があった直後、その鉄の棒がボクに向かって飛んできた。

「ちょっ! のわあ!」

『隊長! 大丈夫か!』『隊長!』

 隊員たちの声が聞こえた。よかった、まだ生きてる!

「大丈夫って、まさかの追尾型!?」

 鉄の棒の背後からの急襲。こんなの、まるで、

「サジタリウスの矢だ……」

 そして、爆発した。


 ○荒鷲傭兵団二二二飛行戦闘隊・アイラ=ヴィルヘルム


 ベニート隊長が撃墜された!?

「そんな、ベニート隊長!」

 返事がない。そんな! 戦死、したの?

「サジタリウス……。絶対外れない矢……。そんなの、撃たれる前に倒せばいいんだ!」

 自分にそう言い聞かせて敵の大編隊に突っ込み、掻き回す。

『アイラ隊長! 無理しないでください!』『姉さん!』『隊長!』

「私は大丈夫です! けど、彼らは絶対に、許せません!」

 五、六機を一気に撃墜して離脱。アフターバーナーでさらに二機撃墜。敵の誤射でさらに三機の撃墜、四機が誘爆で墜落したのを確認しました。


 チュンッ!


「あっ!」

 撃たれた! 右後方? 右主翼先端に穴が開いている。オイルは漏れていない。良かった。

『隊長! だから言ったのに!』

「ごめんなさい! けど、許せなかったんです!」

『わかるけど、無理しないで!』

 ううっ、皆に言われると少し心に刺さります。


 ○荒鷲傭兵団六六六飛行戦闘隊・高円三笠


 ようやく追いついた!

「待たせたな」

『三笠さん!』『高円中佐! って、五式戦!?』

「当たり前だろ。紫電改は撃墜されたんだからな。なら奪うしかないだろ?」

『『…………』』

「なんだその沈黙は?」

『いえ、何でもありませんよ? で、元搭乗員は?』

「捕虜としてここで寝てもらってるが? いやあ、カタリナ。お前、この娘と随分似てるんだな」

『やっぱり、お姉ちゃんでしたか』

「だろうな。似ているとはいえ、出るところは出てるし」

『中佐、こんな時に言うのもなんですけど、中佐はもっと女心を学んだほうがいいと思いますよ? デリカシーなさすぎ。カタリナちゃん、しゅんってなってますよ!』

「…………悪かった。今あんまり辛辣な言葉を投げないでくれるか? ストレートで心にグサッとくる」

 ただでさえ急がないといけないのに。

『あ、見えてきました。けど、味方機が、撃墜、された?』

「『なんだって!?』」

 カタリナの簡単な報告に俺たちは耳を疑う。

『本当です! 多分、いたりあ? の人です!』

「フェリーニか?」

『いや、そこまではわかりませんけど……』

 とにかく、こうしちゃいられない!

「急ぐぞ!!」

『『はいっ!』』


 ○???・Mig-19


 くそっ、奴ら、強い。これが本当に大戦期の代物なのか? ジェット戦闘機の時代にわざわざこんなボロいレシプロ機なんて使う奴、普通いないぞ?

 だが、この強さはなんなんだ。相手はジェット戦闘機相手の戦い方を知っているのか?

 試しにこっちに尻を向けて飛んでいる日の丸をつけたゼロに照準を合わせる。

「よけてみな! フォックス・ツー!」

 空対空ミサイル発射。ちゃんとホーミングしてくれる高性能な奴だ。おそらく敵はまだこいつがどんなものか知らないはずだ。僚機が一機撃墜されたのは分かっているだろうけどな。

『それくらいで、俺を倒すことができるとでも思ってんのかぃ?』

 なっ!? あのゼロ、後ろに目でもあるってのか!?

『僚機もろとも大地に叩き付けられなあ!』

 ふわりとゼロが浮かぶような動きをする。

「やってみやがれ! よし、フォックス・スリー!」

 それに追いつき機銃掃射でも仕掛けてやろうとして機首を上に向けた時、そこにあったのは同じように垂直上昇する僚機の姿があり、アフターバーナーを焚いていたためにキャノピーが白く濁る。間一髪だ!

『おいおい、運が良かったと思ってんじゃあねえだろうなぁ?』

 急に僚機が落ちてきた。そして、今度こそアフターバーナーで機体ごと焼かれる。

「『緊急脱出(ベイルアウト)する!』」

 間一髪僚機とともに抜け出したまでは良かった。だが、そこに悪魔のごときゼロが迫っていた。

『終わりだ』もう無線がついていないから何を言っているのかはわからない。だが、そう聞こえた。

 パラシュートを開いたところに穴が開けられ、俺たちは森に落ちて、その視界はブラックアウトした。

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