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異界の荒鷲  作者: 飛桜京
第三章
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三笠の左目

 ○荒鷲傭兵団ギルド内廊下・高円三笠


 はあ、ようやく今日の仕事終わった。結局、カタリナはどこへ行ったんだ? 昼飯になっても出てこねえし、もう晩飯も過ぎたぞ? なんか、アイラとギルドマスターもいねえらしいし、三人で何かやってるのか?

 そんなことを考えながら、廊下を歩き、自分の個室に戻る。本当に今日は妙なことが多かった。

 金橋の壁通り抜け疑惑。男湯にカタリナが現れた。カタリナとアイラとギルドマスターが消えた。女湯のギルドマスター。フラフラのジョージとハンナ、エトセトラエトセトラ……。

「まったく、そんなしょうもないことで走り回らされるこっちの身にもなれってんだ」

 ひとりごちる。が、なぜか反応があった。

『大変だよねー。まあ、若ちゃんの苦労が分かったでしょ?』

『彼女の苦労はこんなものではないがな』

 甲高い元気な声と男らしい渋い声。

「まあな。で、なんで顕現してるんだお前ら」

『顕現したというよりさせられたんですよ』

『そーなんだよねー。だからこうやってー、この部屋にいるんだよー』

 今度は落ち着いた女性の声と、のんびりとした少年の声。

「おいおい、四大精霊王ともあろうお前らがそんなんでいいのか?」

 目の前に小さな人影が四つ現れる。風の精霊王シルフィードと、炎の精霊王イフリート、水の精霊王ウンディーネに土の精霊王ノーム。

 この世界に来た時にどうも気に入られてしまったらしく、なぜかそれ以来ずっと分身がついてきていて、鬱陶しいことこの上ない。

 まあ、おかげで普通の戦闘機にはできないこともできるようになたから、感謝してるっちゃあしてるんだが、結局は相殺してるんだ。やたら話しかけてくるから。いちいち反応してたらイタイ子扱いされかねん。

『ほら、あの人。ギルドマスターだよ。あの人にやられたらしょうがないよね』

「ああ、あの方ならしょうがねえ。で、なんで?」


「その答えは、面白そうだったからですよ!」


 ベットから一人の男が飛び出し、俺を押し倒す。そしてもう二人、物陰から現れて俺を床に押さえつけた。

「うおおっ!?」

「さあ、おとなしく君のその左目を見せるんだ!」

「なぜに!?」

「面白いから!」

 ……。このギルドマスターもうダメだ。


 ○三笠の個室・カタリナ


 必死の抵抗もむなしくついに眼帯を取られてしまった三笠さんの左目が、ついにあらわになりました。そこには、縦に一本生々しい切り傷が入っていて、三笠さんの目をつぶしていました。その目をギルドマスターさんが無理やりこじ開けようとしています。

「痛い痛い痛い痛い!!」

「じゃあ抵抗を諦めてその目を開けるのです!」

「断る! 見たくもねえもん見ちまうからこうやって閉じてるんでしょうが!」

『それって私たちのことなのかなー? うわー、心外』

「大当たりだよくそ野郎共!」

『野郎じゃないもーん。女の子だもーん』

 小さな妖精さんが三笠さんをからかって遊んでいる間に、あ、開かれました。真っ赤な瞳がのぞいています。昔何かあったのでしょうか。

「うがああああああっ!! マジでやめろお前ら!!」

「「ひゃあああああっ、ごめんなさい!」」

「『アッハッハッハッハッハ!!』」

 すごく怒った三笠さん。とても怖いです。もう絶対に怒らせないようにしようと私とアイラさんは心に決めました。


 けど、今日の探検はとても楽しかったです。ほどほどにならまたやりたいなあ、と思いました。

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