表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界の荒鷲  作者: 飛桜京
第二章
32/51

幕間 登場人物紹介④

 ○ツァリコフ=コンラッド


 扉が開いた。誰かと思えば三の字じゃあねえか。いったい何の用だ?


「よう、三の字。どうした?」

「三の字って呼ぶな。で、こいつに自己紹介してやってくれねえか?」

「ん? こりゃあ随分小せえ娘だな。娘、いや、姪っ子か?」

「前に拾ったんだよ。元奴隷の娘だ」

「おいおい、幼女の魅力に魅入られて駆け落ちかあ?」


 高い高いをするように持ち上げてやる。随分と軽い。ちゃんと食べてんのかあ? っと、飛行帽が……。


「狼!?」

「あ! か、返してください!」

「その通り、カタリナはフェンリルだ」

「ずいぶん面白いな。よし、気に入った。俺はツァリコフ=コンラッド。この巨人隊の隊長で、Mig-3に乗る中佐だ。この前は酒飲ませて悪かったな。お前みたいな娘がいたとはわからなかったんだ。何しろ相当酔ってたからなあ」

「あ、いえ、大丈夫です。気にしないでください」

「そうかい。ありがとよ。じゃ、次はドミトリ、お前だ」

「うぃーっす」


 ○ドミトリ=マヤコフスキー少佐


 おれかあ。めえんど臭いねえ。

「おれん名前はあ、ドミトリ=マヤコフスキー。ソ連からあ、来たんだあ、よろしくなあ」

「あの、酔っぱらってるんですか?」

「んああ? こいつぁキャラってやつだよキャラ。こうしときゃあ、おもしれーだろぃ?」

「呑んだくれキャラってか。まあ、嫌いじゃあないが、上に上がれば豹変するんだよなあ、こいつ」


 おいおい、三笠の旦那、そいつぁ言っちゃあだめなことですよぉ?


「下じゃあ面白く、上では真面目に、が、俺のモットーなんでねぇ。ちなみに、おれぁ酒では酔わねえから、こうして気分だけでも味わいてぇのさぁ」

「そうなんですか。真面目なときのドミトリさんも見てみたいです」

「そいつぁ上に上がった時にでも見てみなぁ。下だとこんなんだから、上に上がった時はぁ、結構かっこよく見えるかもねぇ。ほれるなよぅ。おれぁ幼女にゃあ興味がねぇからなぁ」

「は、はあ」

「うぃっく。んじゃあ、次ぁイーゴリな」


 ○イーゴリ=ポステルナーク


「俺の名前はイーゴリ。イーゴリ=ポステルナーク大尉だ。Mig-11に乗っている。ソ連から来た。よろしくな」

「おい、ナナフシ。それだけで終わろうとしてんじゃねえぞ。スカしてんのかあ?」

「おい隊長、それは俺に喧嘩売ってんのか?」

「あ? やるかあ?」

「上等だコラ。ちょっと表出ろや」


 決着つけようじゃねえか、隊長殿よお。


 ○ヴェルシーニン=トルストイ

 

 まったく、イーゴリの奴め、まともに自分の紹介もしないで行っちまったよ。喧嘩もそこそこにしろよな。


「あー。悪いね、お嬢ちゃん。俺の名前はヴェルシーニン=トルストイ。Yak-9に乗る大尉だ。あのイーゴリは<ナナフシ>って呼ぶとキレるから気をつけろよ?」

「たしか、イーゴリの勝率が七十五パーセントだったか?」

Да(はい)。なんなら、隊長が負けるに今夜の晩飯のおかず一品、賭けてもいいですぜ?」

「おいおい、それだと賭けにならねえ。俺もイーゴリに賭けるからな」

「ちぇっ、分かりましたよ。俺は隊長に煙草を一本賭けましょう」

「じゃあ、俺はイーゴリに日本酒一瓶賭けてやるよ」

「あ、あの……」

「おっと、悪いね。放っておいたわけじゃないんだ。要するに俺は、賭けが好きな人間なのさ。サンロクの高円大佐の逆の奴だと思っておけばいい。俺はあの人と似てるが、趣味嗜好は逆だからな」

「分かりました。覚えておきます」

「よしよし、いい子だ。じゃ、ウラジミールな」

「了解」


 ○ウラジミール=シャラーホフ

 本当に小さいなこの子は。故郷に残してきた娘みたいだ。

「私の名前はウラジミール=シャラーホフ。この中では唯一の少尉だ。I-185戦闘機に乗っている。1945年の、日本が無条件降伏した後にやってきた裏切り者の国の尖兵さ」

「? どういうことですか?」

「1945年、世界を敵に戦った日本は米英中に敗れた。ソ連は日本と中立条約を結んでいたが、その条約を破って、日本が無条件降伏した八月十五日の翌日、八月十六日に我々の国ソ連は、日本の北方領土に攻め込んだ。その時に私はやってきたんだ。要するに、この中ではおそらく唯一の第二次世界大戦終結後の世界からやってきた人間なのさ」

「そんなことが……」

「私以外の人間は少なくとも日米終戦までにこの世界にやってきているからな、そこの高円中佐ですらこのことは知らなかったかもしれない」

「ああ、知らなかったな。まあ、もう過ぎたことだろうし、気にしないがな」

「感謝します」

「じゃ、俺たちは戻るよ。そろそろなんか呼び出されそうだしな」


 二人が出て行った。


 ○カタリナ


「さ、次はサンサンだ。うわ、あの変態どもに会うの嫌だー」

「ど、どういうことですか?」

「そのままの意味。まあ、ついてこい」


 また三笠さんは隣の部屋に入りました。



 追記:巨人部隊というだけあって、みなさんとても大きな人たちでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ