幕間 登場人物紹介②
サンイチ飛戦の紹介です。
○クルック・スミス
急にうちの控室にサンロクのエースがやってきた。珍しいこともあるもんだ。しかも、後ろに女の子を連れているじゃあないか。これはいったいどういう風の吹き回しだ?
「おい、お前の班、今全員揃ってるか?」
「まあ、揃ってるけど。我々に何か用かな?」
「こいつに自己紹介してやってくれ」
随分陰険な頼みじゃないか。まあ構わないけど。レディに名を覚えてもらえるのならそれでいいさ。
「僕の名前はクルック・スミス。このサンイチ飛戦のリーダーで、TACネームはHEROさ。そこのJOKERとは対になるような名前だね」
「どうして対なんですか?」
「JOKERって、敵役みたいだろ?」
「お前、俺に喧嘩売ってるだろ。上等だ、買ってやるよ」
「「あーもー! そうやってすぐ喧嘩するな!」」
まさか立ち上がった瞬間にジョージとジェームズに羽交い絞めされるとは。まあ、ミカサもマリアとジェーンに羽交い絞めされて……。なぜ奴のことを麗しい美女が止めて僕のことをむさ苦しい男が止めるんだっ!
「は、離せっ! 僕は男に抱きつかれる趣味なんてないっ!」
「「俺たちにもない! 少し黙ってろ!」」
こきゅっ、と音がして、ふっと目の前が暗くなった。
○マリア・ワシントン
気絶した隊長は置いといて。
「すみませんね、タカマド中佐。後でこってり絞っておくんでどうかお許しを」
「まあいいか。じゃあ、紹介を続けてくれ」
「私はセオドア・ジェーン。階級は大尉で乗機はP-47サンダーボルト。TACネームはTHUNDERよ。よろしく」
「あ、この前はご指導、ありがとうございました」
ぴょこんと頭を下げるカタリナ。可愛いわね、この子。
「別にあれくらいなら構わないわ。暇な時はいつでも教えてあげるからいつでも来なさい?」
「はいっ。ありがとうございます!」
○セオドア・ジェーン
マリアの次はアタシ。正直言ってだるい。
「アタシはセオドア・ジェーン。TACネームはCATよ。よろしく」
「よろしくお願いします」
「アンタたちとじゃれあう気はないの。アタシは眠いからもう戻るわ。じゃあね」
罪悪感? そんなものはないわ。アタシは、日本が嫌いなの。アタシの大切な人を殺した日本が。
○ジョージ・フランクリン
おいおい、いくらなんでもあんなに邪険にしなくたっていいんじゃねえのか? カタリナって娘、困ってんじゃねえか。
「悪いね。アイツ、日本人のことを何よりも嫌いなんだ。だからあんなに態度が悪いんだが、実際はいい奴なんだ。許してやってくれ」
「い、いえ、大丈夫です」
健気だねえ。この娘。涙目だけど。
「おっと、俺の名前はジョージ・フランクリン。階級は大尉で、TACネームはBLADEだ。この名前は高円中佐の乗る紫電改から来てるんだ」
「? どういうことですか?」
「紫電改のコードネームはCEORUG。俺の名前と同じなんだ。で、紫電ってのは昔の伝説の宝剣の名前。そこからBLADEになったのさ。本当はSWORDになるはずだったんだが、サンロクの剣少佐に取られたからこうなったんだ」
「ジョージさんって、物知りなんですね」
「いやいや、そんなことはねえさ。俺よりもっと物知りな奴なんてこの世にゴマンといるさ」
実際、威張れるほどの事じゃねえし。これ、ギルドマスターの言ってたことだもんな。
「おっと、そうだ。俺が乗ってるのはP-38ライトニング。双胴の悪魔って奴だ。このゲテモノ機体はだな―――、」
○ ジェームズ・ロイド
実際、このあとのジョージのゲテモノ愛についての話は省略してもいいかな? カタリナちゃん寝てるし。ほっとけば何時間も続きそうだし。
「うん、カタリナちゃん。こっちおいで。僕の名前はジェームズ・ロイド。F4Uコルセアに乗る元空母ヨークタウンに乗ってたここにいる飛行戦闘員の中では唯一の元空母搭乗員だよ」
「ヨークタウンというのは、ジェームズさんの世界のものなんですか?」
「そう。日本とかでも結構有名だと思うよ? ねえ、高円中佐?」
「んー、まあ、そうだな。俺はその時ラエにいたからよくは分からんが、山口多聞少将の指揮により轟沈したと聞いたな。まさか、そのときあそこにいたのか?」
「そうですそうです。いやあ、あの時の攻撃はすごかった。もう少し着艦するのが遅かったら僕も今頃この世界にはいないでしょうね。一緒に沈んじゃいましたし?」
まあ、この後カタリナちゃんを放って話を続けてたら、結局カタリナちゃんは寝てましたとさ。
ここまでが第一章になるかと思われます。