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メール選  作者: 歩野
1/4

その1

 どういう事情か分かりませんが大変そうですね。

 あまり思いつめない事です。

 以前、俺のHPに書いた事だけど、自分の人生の主人公は自分自身です。自分が死んでしまえば地球が滅ぼうがなんだろうが知ったこっちゃありません。

 空間的にみても歴史的にみても自分の存在なんてちっぽけなものです。

 それに、世のなか馬鹿野郎ばかりです。

 自虐的に生きている所が俺と似ているので気になります。



00/0三/一二

―― 歩野さんって結構クールな感じがするんですけど、取り乱してしまうこととかあるのですか?


 クールって言葉の響きがいいから抵抗があるけど、冷めているのは事実ですね。取り乱すことはあまりありません。何年かに一度そういう事がありますが、後になってそれを楽しんでいます。自分を笑いのネタにするのが好きなので。


―― 歩野さんは恋愛にはまり込んだり、もしくは恋愛にどっぷりつかり過ぎて傷ついたりしたことってありますか??


 そりゃあるさ。もともとは惚れやすい性質だし、感情の起伏も激しいほうだったから。全然いい事じゃないんだけれど、今はそれが思考に抑えつけられています。たまにたがが緩みそうになる事もあるけどね。



00/0三/一六

 当時は死ぬほどつらかった、というのはあるよ。こんなに苦しいのなら死んだほうがマシだと思った事も。でも後になってみるといい思い出だし、傷つく分にはいいと思っている。

 相手を傷つけるほうがよっぽど嫌だね。相手を振るぐらいなら振られたほうが精神的に楽だよ。



00/0四/0一

―― 約束を簡単に破ったり、思わせぶりなことを言ってみて、裏切ってみたり…。


 男に限らず人間は余裕がでるとつけ上がり易い生き物です。惚れられていると感じているので、多少の横着は許してくれるだろうと無意識の計算が働いているのでしょう。彼氏が若い男ならそういった傾向が強いと思います。人間性が発展途上だし、遊びたい盛りですから。

 注意すべきは彼氏の内面です。 

 恋愛感情が働いていないところで(友達関係とか)どういう付き合いをしているのか。本来の人間性を好きになれるようでしたら、大きな目でみて我慢したほうが良いと思います。いずれ落ち着きますから。

 彼氏がある程度年を重ねた人なら、とっととポイしたほうがいいでしょう。ろくでなしです。


―― 本当に好きな人だったら、どんなに遠くに離れていても、時間を裂いて逢いに行こうとするのが、本当の愛だと言えると思いますか?


 ケースバイケースだね。好きな人とはどんなに離れていても、そりゃ逢いたいさ。でも仕事の都合だとか経済的な事情で、逢うのが非常に難しい場合、お互いに信頼しあっていたら逢えない事も納得しあえるんじゃないの。

「逢えない時間が 愛育てるのさ」なんて歌がありましたね。たしか、ヒロミGO、だったでしょうか。

 でも現実的な話、遠くの良い女より近くのコーマンっていうのもありますからね。

 オスの悲しいサガです。

 コーマンを求めて歩く男なら、捨て、だけど、イイ女に誘惑されたら大抵の男はイッちゃいます。

 離婚しないという前提で話すと、死ぬまでその男と一緒に暮らすわけだから結婚をあせる必要はないと思います。



00/0五/一二

 誰にでも新しい未来が待っています。素敵な日々になるかどうかは美穂さん次第。

 なにかに書いてあったけど、

「世の中には幸せな馬鹿と不幸な馬鹿しかいない」

 踊る阿呆に見る阿呆、じゃないけどさ、同じ馬鹿なら楽しまなきゃ損だよ。

 一日も同じ。思い悩んで過ごしても、楽しんで過ごしても、同じ一日。って事は、一生も同じ。



00/0五/一七

 HPはいずれ再開すると思います。

 今、あまり精神状態が良くないんですよ。といっても、医者にかかるほどのものじゃないんだけどね。

 このまま日記を書き続けるとネガティブな事ばかり書きそうなので中断します。あまり人に弱いところを見せたくないし。

 再開する時は、URLアドレスもメールアドレスも変更しているかもしれません。どちらにしろ、その時はお知らせします。

 ~ 中略 ~

 俺が辛口の意見を書いている時は、過去に出会ったゲスな人間を思い出して書いてます。アホ、なんて汚い言葉を使っていますが、それは人間性の事です。どんなに頭が良くても、性格が悪ければ俺の中ではアホになります。逆に頭が悪くても、性格のいい人は大好きです。まあ俺自身、頭が悪いんだけどね。


 なんだか今はとても弱気です。軽い鬱状態です。

 はやく元の状態に戻さなくては。



00/0五/二八

 駅で人ごみを眺めるというのは俺もやっていました。

 今は、海に浮かんで空を眺めたりしています。

 あと、心の許せる友達と喋ることですね。他には、能天気な馬鹿野郎と喋る、という手もあります。悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなるから。

 今は精神状態がよくないので、いいアドバイスができません。

 美穂さんが男なら、「女でも抱きにいけ」と言えるのだけど、女の人がそれをすると、後々、鬱を引き起こす原因になってしまいます。セックスは心の許せる人とだけしましょう。

 アメリカの大学教授が発表した論文では、脳内のなんとかという物質が少ない人はマイナス思考になり易いみたいです。

 それでその教授が言うには、人の幸せはその物質の量ではじめから決まっている、という残酷なものです。後になって、「勿論、努力によってそれは改善される」と、手遅れのフォローをしていました。



00/0五/三一

―― 自分が正しいことをしていれば堂々と生き抜くべきだという強いものにすごく憧れる。


 う~ん、どうだろうねえ。結論からいうと、やめといたほうがいいよ。

 俺がそういう生き方をしてきた経験から書かせて貰います。

 たとえ自分が正論を言っていようと、それに反論してくる輩はいます。その相手がある程度のレベルをクリアした理性的な人間なら問題ないのだけど、自分の価値観しか認められない視野の狭い馬鹿野郎が相手だと疲れます。

 自分を貫き通すには、そいつらをねじ伏せ続けなければなりません。これはかなりエネルギーのいる事です。

 それと、馬鹿にかぎってよく筋違いな暴言を吐きます。その時は、馬鹿の言う事なので別に気にもならないのだけど、鬱状態になった時に、そういった暴言が一気に自分を襲ってきます。

 普段はまったく気にならないのだけど、鬱の精神状態って最悪じゃない。

 自分が正しい、相手が間違えている、とわかっていても、自分に放たれた暴言にかなり傷つけられます。

 単に俺が精神的に弱いと言われればそれまでなんだけどね。

 俺はそういう経験が数多くあるから言うけど、やめといたほうがいいよ、そういう生き方は。

 無理をしないことです。



00/一0/二五

―― ホントに心から好きだったら、どんなに疲れていても声が聞きたいとか、逢いたいとかってフツー思わないのでしょうか?


 いろんなタイプの人がいるので一概には答えられません。以下、俺の勝手な意見です。

 美穂さんのような情熱型の人もいれば、クールなタイプの人もいます。毎日一緒に居たいと思う人もいれば、ある程度の距離を置いて付き合いたいと思う人もいるだろうし。

 男がある程度歳をとっていて、それなりに恋愛経験があるのなら情熱的な付き合い方はしないと思います。何度かの別れを経験すると、哀しいかな、情熱的になれなくなるんだよね。

 美穂さんの彼氏を知らないので、こうだとはまったく言い切れません。なので一意見として受け取ってください。

 恋愛に何を求めているかも人によって異なります。好きという情熱だけで付き合う人もいるし、恋愛に刺激を求める人もいます。安らぎを求める人も。

 好きという情熱だけで突っ走れるのは、美穂さんの恋愛経験が浅いからだと思います。機嫌を悪くしたと思いますが、怒らないでください。それは悪い事ではなく良い事ですから。

 以前、俺のHPで書いた事だけど、人間は何に対しても順応してしまうんです。誰でも最初の恋は燃え上がると思うけど、何度かそれを経験すると、最初のようには情熱的にならなくなるんだよね。

 理科の実験で、電池は直列でつなぐより並列でつなぐほうが長持ちする、っていうのがあったよね。直列は電気の力が強いのだけど、すぐに切れてしまう。並列は電気の力は弱いけど、長持ちするっていうやつ。

 恋愛も割とそれに似てるよ。

 適度に距離を保ったほうが上手くいくんじゃないかな。なんて、今の美穂さんに言うのは酷かな。

 私事だけど、俺がお付き合いする際に心掛けているのは、相手の価値観を認めるという事です。自分のスタイルと相手のスタイルがまったく同じなんてありえないので、うまくバランスを取るようにしています。そうしないとエゴのぶつかりあいになって、すぐに駄目になってしまうから。

 相手の付き合い方が自分の望み通りじゃないのはむしろ当然だと思います。それで嘆く事はないと思うよ。

 ひとつ疑問なのは、彼氏は美穂さんがそれだけ好きでいるという事を知っているのかな? こういう事は案外と伝わっていない事が多いので、ちゃんと伝えた方が良いのでは?

 ただ、人間の習性として、追えば逃げる、逃げれば追ってくる、というのがあるので、適度に好意を伝えた方がいいかな。


―― 寂しくて悲しくてしょうがないです。


 うらやましいです。

 怒らないでください。どれだけつらいか、俺も経験があるのでよくわかります。その時は死にたいぐらいにつらくても、後になるといい思い出になります。

 むしろあれだけ辛かったのに、もう一度そういう気持ちになりたいと思えてしまうから不思議です。



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