エピソード9 断片の記憶
Episode9
登場人物
濱平 万里:主人公
カイト:ピンチ
背の高い方のトレンチコートがカイトに気付いた。
直ぐさまトレンチコートの男は懐から何かを取り出す。…エアガン?
万里:やっぱり!
警官:「貴様!」
「パスっ!」
エアガンは至近距離から警官に命中。 …警官、その場に倒れる。
辺りが騒がしくなる。
学生1:「なんや、一体。」
学生2:「どないしたんや。」
駅前のゲームセンターからガタイのでかい、丸坊主で顔の穏やかな体育会系青年が出て来る。
学生3:「警察がやられたって、」
学生2:「なんやと!」
体育会系:「ちょお、おっさん、おとなしいせいや。」
体育会系、隆々な筋骨でトレンチコートの腕を締め上げるが 、…びくともしない。
体育会系:「なんやこいつ、 …ちょう、手伝え!」
学生3人掛かりで取り囲む。
トレンチコート、カイトの方を確認しながら…体育会系の二の腕を折る。 …いとも簡単に。
「バキっ」
本当にそう言う音がした様な気がする。
体育会系:「はあああぁぁ…」
悲鳴を上げながらその場にしゃがみ込む。
続いて空手部らしい連中がトレンチコートを取り囲む
先輩:「二人で同時にかかれ、急所狙っていい、俺が許す。」
後輩二人:「押忍!」
後輩二人、鼻の下やら鳩尾やらを散々殴りつけるが、びくともしない。
背の高い方のトレンチコート、例のエアガンで 「パスっ!」、「パスッ!」
後輩二人、その場に倒れる。
女の悲鳴が響き渡る。
誰かが、倒れている警官の腰のホルダーから拳銃を取り出す。
誰か:「見てろよ!」
「パン!」 「パン!」 「パン!」
誰か、トレンチコート目掛けて拳銃を発射!
一発目は空砲、ニ発目と三発目が見事トレンチコートに命中する。
…なのに、動じていない。
誰か、逆にエアガンで撃たれる。 「パスッ!」
辺りは逃げ惑う人々で戦々恐々している。
背の高い方のトレンチコート、徐に懐から刀を取り出す。 そして…
カイト目掛けて、突進して来る!
万里:「カイト! 危ない!」
カイト、スライディングの要領で剣先を躱しつつ、トレンチコートのすねを蹴る。
又、金属同士がぶつかる様な重低音が響く。
トレンチコート、つんのめる。 と言うか、足の骨が折れている。
カイト:「こいつら、前に襲って来た奴らの仲間や!」
背の高い方のトレンチコート、膝をつきながらも左腕の仕込み銃を展開、カイトを射撃する。
「パン!」「パン!」
続けざまに2発!
カイト、絶妙なステップで弾を避ける?
背の高い方のトレンチコート、片脚で立ち上がる。 カイトに再び照準を合わせ、撃つ。
「パン!」「パン!」「パン!」
カイト、ジグザグに避けながら急接近。 力任せのパンチをトレンチコートの腹に叩き付ける。
よろけて尻餅を付くトレンチコート。
テンガロンハットが飛んで、額のナンバープレートが露になる、…CLVIII…。
野次馬1:「凄い、あのちび…。」
野次馬2:「すげえ…」
背の高い方のトレンチコート、転びながらも更に射撃。
「パン!」「パン!」「パン!」
カイト、サイドステップで回避するも、
一発が、通行人に命中する。
女1:「きゃあ…」
カイト、回り込んでトレンチコートの左腕を取り、膝蹴り!
鈍い金属音がして、トレンチコートの左腕が変な方向に折れ曲がる。
そのまま、左腕を引っ張りつつ、踵でトレンチコートの頭を蹴る!
トレンチコートの首が折れて、首の皮でぶら下がる。
女2:「きゃああ!」
背の低い方のトレンチコートが出て来る。
何故だか、いきなりレンチコートを脱ぎ、テンガロンハットを外す。
カイト、急に動きが止まる。
トレンチコートの中身は…少女?
額には銀のナンバープレート …CCLVII… 。
カイト、大きく目を見開き、数字女を凝視したまま、金縛りに遭った様に動けなくなる。
万里:「カイト! どうしたの?」
カイト、しゃがみ込む。そしていきなり! 叫び声を上げる。
カイト:「うあああああぁぁあああああぁぁぁあああああああああぁぁ…」
万里:「カイト!」
カイト、瀕死の形相! 奇妙な声で叫び続けている、…いや泣いている?
カイト、頭をかきむしる、その目からは涙が溢れている?
カイト:「ウウゥアあああああぁああアァァ…あああぁウァアああ…」
カイト:「あかん、あかん、あかん!」
カイト、地面に転がり、自分の頭をアスファルトにガンガン叩き付ける。
カイト:「許してくれ!」
カイト:「許してくれ!!」
カイト:「あかん!」
カイト:「許されん!」
カイト:「許さん!」
カイト:「殺す!」
カイト:「殺す!!」
カイト:「殺す!!!」
カイト:「覚えとけ!」
カイト:「絶対、殺す!!!!」
アスファルトがカイトの血で黒く濡れて行く。
万里:カイト、一体どうしちゃったの…?
万里、呆然と立ち尽くす
数字女、いきなり左手を展開! 中からガトリングガンが出て来る。
高速回転するガトリングガンをカイトの顔面に押し付け、 発射!
「タタタタタタタタタタ…!」
見る見る何かが、カイトの顔面に突き刺さって行く。
何本か跳ね返って地面に落ちたそれは、10cmばかりの長さの…細い金属の 釘?
カイトの目に、口に、鼻に、確実に頭蓋骨を貫通する深さ迄、めり込んでいく。
万里:「止めて! カイトにひどい事しないで!」
背の高い方のトレンチコートが万里を遮る
何かを、首に撃ち込まれた気がする。
一瞬で力が抜けて、足がもつれ、地面に転がる。
万里:源! 助けてくれるんじゃなかったの? 話が違うじゃん。
意識が薄れる中、数字女が刀でカイトの腕を切り落とすのが見えた。