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エピソード1 私の事情

濱平万里シリーズ第一弾

聖獣の尸童の続編…だったりします。

Episode1

登場人物

濱平 万里:主人公

寺西 紀子:数少ない友人

望月 唐子:ブルジョアなクラスメイト

空から振って来た男の子:誰これ??


私の名前は濱平万里。 面倒くさがり屋の大学一回生。 見た目中学生。


父の名は富山了、母は濱平京子。 二人は別居中。 それで娘の私は実家から新幹線で3時間半離れた祖母の家から大学に通っている。



時は11月、大学生活最初のクリスマス近し! でも今のところロマンスは無い。 だいたい理系の男子は格好よくない。 ダサい。 いやちょっと違う。 本当は男子のせいではないことくらい知っている。 


同期の寺西が数少ない友人。 寺西は英語サークルに入っているから暇さえあればサークル棟に入り浸っている。 私もサークルに誘われたけど結局面倒くさくって行ってない。 なんか、自分とは違う気がしたのだ。


という訳で講義が無い間は一人行き場がないから とりあえず生協とか自習室へ行く。 自習室ではノートのコピーとか小テストの過去問とかが出回っている。 これ結構貴重。 男子は空き缶潰したり、意味不明なことをやっている。 でも何だか楽しそう。


教室は冬休みの旅行の計画で持ちきり。 後期試験は1月だからとりあえず年末は平和な日々が約束されている。 もう受験勉強しなくていいんだ…と改めて実感する。


ブルジョアな望月たちは海外に行くらしい。 とてもそんなお金は無いし、私は自動車の免許を取らなきゃ。



いつの間にか私だけ周りから取り残されてる感じ。 違うな、私の居場所が、みんなとはちょっとずれているって感じ?




時々思う。

リア充嫌い

何が充実してれば偉いの? 何にも無い人間には価値が無いの? 家? 服? アクセ? 旅行? おしゃれな食器? 友達を招待してパーティ? 格好いい彼氏?

そんなものくだらない。 …様な気がする。 もちろん負け惜しみも入ってる。 でもリア充で無ければ幸せでないなんてのは幻想!


自分には真理がある。 (名前は万里だけど…) この世界の本当のこと、を、知ってる。 …様な気がする。 きっと皆が想っている様な幻想が真実ではないということを、知っている


こういうのを世間一般には中二病という。 現実に背を向け、自分の世界、空想の世界に浸る人間は病気。 でも、現実って何、空想って何?



空想じゃないけれど、小さい時からある夢を見る。


いつも同じ感じの夢。 私は知らない村を歩いている。 何だか中世のヨーロッパ的な雰囲気? (中世のヨーロッパ知らないけど)


その村には一人の少女が隠されている。 囚われの少女。 私は少女を訪ねる。 とても幻想的な少女。 小学生くらいだろうか? アンティーク人形の様な面立ち。 ウェイブした長い髪。 大きな瞳、長い睫、透き通るように白い小顔。 


少女はいつも悲しそうに私を見つめる。 何か言いたそうにするけれども声が届かない。 そんな夢。 あれは、もしかして本当の私? …なんだろうか。



こんな私の最近のお気に入りは、関西の美味しいもの。


まずは大学前通りのうどん屋。 店内には折り紙がたくさんぶら下がっていて、関係ないけれど兎に角味は絶品なのだ。 うどんは関西が美味いと太鼓判を押そう!


もうひとつは、祖母の家の最寄駅前商店街にある和菓子屋。 甘栗入り粒餡厚皮饅頭がスペシャルなお気に入り。 考えてたらどうしても食べたくなった。 今日は午前中で上がりだから、帰りに買って帰ろう。



梅田から 早くも年末商戦の雰囲気盛り上がりつつある地下街を辿って東西線に乗り換える。 




時々思う。

私、なんでこんな所に居るんだろう。


やがて地上に上がった電車の車窓から流れ行く町並みをぼんやり眺める。 帰ったら何しようかな。 私の人生は、こんなんで本当に良いのだろうか。


ふと見ると、昼下がりの空いた車内に一人の女性が座っている。 物憂げな表情、美人だ。 結構長身。陽の光が似合わない白い肌、切れ長の眼、ちょっと胸が寂しい感じが更に共感を呼ぶ。 特に髪が綺麗。 濡烏の髪って言うんだっけ…ああ言うの。 


格好良い…キャリアウーマンって感じ? 大学卒業したら、なんか変わるのかな? 私の人生も…。



駅を降りて商店街に向かう。 祖母の家とは反対方向だがまあ大した距離じゃ無い。 夕げの買い物で賑わうおばちゃん達の間をすり抜けてお目当ての和菓子屋の前にたどり着く。 隣はお好み焼き屋。 ここのお好み焼きも美味い。 でもまた今度。




さて、和菓子屋の暖簾をくぐろうとしたその時!

突然空から男の子が降って来た!


私の目の前に転がる。 中学生くらい? 綺麗な子。 気を失っている。



当然、辺りはにわかに騒がしくなる。 あっという間に集まる世話好きな人々。


和菓子屋店主:「なんや、どないしたんや?」

おばちゃん1:「なんかこの子飛んできたで。」

おばちゃん2:「倒れてるやん。」

おばちゃん3:「はよ救急車呼び!」

お好み焼き屋従業員:「病院すぐそこやねんから連れてった方が早いわ。 救急車なんかなかなかけえへんやろ。」

おばちゃん4:「生きてんの?」



やがて、もぞもぞ動き出す男の子。

何故か…私の足首を掴む。


男の子:「ねえちゃん…」

万里:「へっ?」



そして、いきなり、私の現実が音をたてて動き出した。

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