決まってません
仮想20世紀、日本は亜人と呼ばれる異世界人に支配されていた。
亜人は太平洋戦争敗北という絶望感に浸っていた隙を突き突如襲ってきたのだ。
どのようにこの世界へ、そして日本へ来たのかはいまだ不明である。
日本人は亜人の独裁政治によって苦しい生活を送らざるを得なかった。
ある年、日本人は
「こんな生活はもうおくれん!」
「そうだ!俺たちはもう我慢の限界だ!」
という声を発する人々を集め{人民自由戦線}という対抗組織を作り亜人に戦争を仕掛けた。
これがきっかけで大東亜戦争が始まったのだった。
とある民家に住んでいた我臥丸は大東亜戦争を引き起こした人民自由戦線の一員だった。これから我臥丸は、犯罪者として亜人に追われる身になるのだがそれはまだ先のこと・・・・・
「我臥丸!」と熟睡していた我臥丸を起こしに来た少女、彼女の名はアニーミ。
彼女はもともと亜人の子だったが我臥丸が大東亜戦争に行ったとき衰弱しているのを発見して仲間に内緒で親代りをしてやっているのだ。
「我・臥・丸!起きろ」
と言った瞬間アニーミーキック炸裂、我臥丸はその場に倒れた。
三秒後
「痛ってーなー、いきなり何すんだよ人がせっかく眠ってるのに。」
と強烈なキックをもろともせず眠たそうな表情で布団から起きた。
するとアニーミは怒鳴るように
「何すんだよじゃないわよ!もう昼よ!」
と言った。
そしたら我臥丸は慌てて
「それ早く言えよ!今日は集会があるんだから!」
と言い支度を始めた。
「だから起こしたんでしょうが、この分からずや」
と説教をする。
「はいはい、分かりました!じゃあ時間ねえから飯はいって食うわ。」
とさらっと聞き流し出かけて行った
「はぁ、あれだから日本人は困るのよね」
とため息をつきながら言ったアニーミだった。
その頃我臥丸は集会所のある{例の場所}を目指していた。
息が上がりきった我臥丸がついた場所は森の奥の扉で石を組み込まないと入れない仕組みになっていた。
「あんにゃろー、また改造しやがったな。」
と言いそこら辺にある石を組み込んだ。
そしたら簡単に開いた
{仕組み弱すぎだろこれ}
と思いつつも集会所に入って行った、そしたらもう大勢のメンバーがそろっていた。
「おせーぞ我臥丸」
出迎えたのは大東亜戦争で右手を失っても戦った戦友、真十郎だった。
「おい、真十郎てめーまた扉の仕掛け代えたろ」
と少し怒った口調で言った。
すると真十郎は
「すまんすまん、最近ここも亜人どもにばれはじめてなそれで仕掛けを変えたんだよ。」
我臥丸はまだ納得していない様子だった。
「ったくお前は名前のとうりホント自己中だな。」
その言葉が我臥丸は一番気に入らなかった、もちろん我臥丸は、
「なんだと!俺が自己中だ?その言葉が嫌いだってこと忘れたのか!」
真十郎はなぜか逆切れして、
「俺はありのままの事言ったまでじゃねえか!」
と怒鳴るように言い殴りにかかった。
我臥丸は日ごろ鍛えていた戦闘力を生かしスラリと交わした、そして少し調子に乗った口調で、
「はん!お前最近鍛えてないんじゃないの?まあ家族がいるからしょうがねえかはははっ。」
そして真十郎もついに怒って殴り合いになった。
数分後その情景を見かねてある一人の老人が止めに入った。
「止めんかい!」
言葉を発しただけで気迫が伝わってくるほどすごい衝撃が部屋一面を覆った。
「ジ・・・・ジフニール隊長!?」
ジフニールとは大東亜戦争の時に亜人でありながら日本人側につき戦った唯一の亜人だった。
「お前ら今日は重要な会議じゃろが!神妙にせんか!」
と言った瞬間、部屋に漂っていた気迫が一層強まった。そして全員静かに座った。
「皆揃ったようじゃな、では第五百六十回人民自由戦線定例会議を始める。礼!」
と言うと先ほどまでの気迫とは打って変わり、重苦しい神妙な空気に変わった。
「ではまず初めに現状報告をしてもらう、真十郎。」
と呼ぶと真十郎が立ち、
「最近この集会所の場所を大亜人評議会がかぎつけ始めました。」
大亜人評議会とは亜人だけで構成された組織で政治の実権を握っている組織でもある。
「そうか・・・ならばこの場所も変えねばならんな、他に誰か報告する事があるやつは居らぬか。」
そうジフニールが言ったら、我臥丸が静かに手を挙げた。
「おい、じっちゃん。そこの後ろにいる亜人はどこのどいつだ。」
皆がまさかと思いジフニールの後ろを見ると亜人がいた。
「なんじゃと、亜人がおるじゃとそんなバカな・・・・・!?。」
ジフニールのにぶった感もようやく気付き、皆一斉に剣を構えた。
「お主なに者じゃ!」
スパイだろうか、その亜人は口をあけ、
「ようやく気付いたか、俺の名はシークだ、貴様らを大東亜評議会の権限で逮捕する!」
と声を張り上げた瞬間我臥丸が一気にシークとの間合いを詰めた。
「ふざけるものたいがいにしろよ、俺様を誰だと思っているんだ?雷光の我臥丸と恐れられた我臥丸様だぞ!」
シークは少し考えた。
「雷光の我臥丸?・・・・・はっ!まさか、貴様が雷光だと。」
と言ったシークは腰が引けたような態勢だった。
我臥丸は剣を引き、
「おい、お前シークとかいったなお前の本名まさかシーク・アストイースじゃねえだろうな。」
シークは驚いた表情で、
「なぜおまえが俺の本名を知っているんだよ!」
我臥丸はため息をつき、
「やっぱりか、それじゃ大空のアストイースと恐れられ俺と互角、いやそれ以上に戦ったお前の父の名が泣くぜ。」
周りのメンバーは、アストイースと聞き、
「あの伝説の四翼の一人の息子か・・・。」
と呟いていた。
四翼とは亜人軍の中でダントツに強かった将校たちのことを言う、今生き残ってるのは一人もいないといわれている、いわば伝説だ。
シークはまたも驚ろき、
「そんな昔のことを知っているんだ!もう10年も前の話だぞ!」
我臥丸は呆れた顔で、
「忘れるかよ。あの惨劇を・・・・」
10年前大東亜戦争は終盤を迎えていた。
我臥丸たちは第5小隊として日本とは離れた島で戦っていた。
「お、おいこんな状況で物資が来ないってどうなんだよ!」
と当時の真十郎が言った、そしたら当時未だ雷光とは呼ばれていなかった我臥丸が
「んなもん知るか!今は目の前の亜人たちに集中すんだけしかできねえだろ!」
と焦っているのか怒っているのかわからないしゃべり方でしゃべった。
真十郎もその言葉につられたのか、
「やっぱそうだよな・・・じゃあチャンバラでも仕掛けてみるか?」
我臥丸はにこやかに笑って
「それいいね、じゃあ剣を久しぶりに抜いてっと・・・行くぜ!」
と亜人小隊の切りかかった、それから我臥丸はその俊敏さから雷光の我臥丸と呼ばれるようになった。
亜人小隊もそれに対抗した、だがただ一人我臥丸と互角に戦った亜人がいた・・・
「こ・・・こいつ強いっ!」
その亜人は戦闘をしながらも高らかと笑い、
「そうか!がはははっ、気に入った!名はなんと申す。」
我臥丸は相手が少し力を抜いたすきを突き、答えながら素早く首元に剣を置いた。
「雷光の我臥丸だ。貴様はなんて言うんだ。」
相手の亜人はまた笑いながら、
「俺の名はアストイース、今じゃ四翼って異名も付けられてるけどな。」
我臥丸は腰が引けた態勢のようだった。
「四翼だって!?」
当時の四翼は、出会ったら生きては帰れないといわれていた。
「まあそんな腰引くなって、貴様は敵だが今日は見逃してやるからさ。」
アストイースは笑いながら言った。
我臥丸は、
「ふざけるな!ここは戦場だぞ!」
アストイースは少しこわばった顔で、
「しっ、静かにしろ俺が見逃してやると言ったことがもうばれたようだ。」
我臥丸はあたりを見回すと敵に囲まれていた。数はざっと100前後だろうか
「こんな数がこの島にいたのか!?」
アストイースは一層顔をこわばらせ、
「そりゃそうさ、だって俺ら四翼は亜人軍の最強だからな。」
剣を構えつつも話を聞いていた我臥丸は敵の異変に気がついた、亜人の形がまるで獣のような形に変わっていった。
「やはり亜獣化したか。」
亜獣化は当時亜人軍の玉砕命令が下った時に発動するはずだった技である。
「亜獣化・・・・そんな恐ろしい技を持っていたのか。」
この戦局の中でそんな技を使われたら日本軍は全滅するであろうと我臥丸は考えた。
アストイースは、
「四翼の俺でもこんな数はさすがに倒すのは困難だな・・・おまえ雷光とかいったな、そんなに早いのか?」
我臥丸は不思議そうな顔で、
「そうだが・・・まさか俺を利用しようなんて思ってないだろうな。」
アストイースは微笑し、
「そのまさかだよ、俺は四翼のほかに大空なんて異名も付けられてんだけどその理由は、俺の能力がどんな生物の感情も調和させることができるからなんだと・・・俺にはさっぱりだけど俺が力入れて戦闘するとなぜか敵の動きが3秒だけ止まるんだ、そこでだお前にその3秒間でこの周りの奴を倒してほしいんだ。」
我臥丸は、この状況を考え、
「・・・・・いいだろう、ただし何か俺と貴様が無事にこの敵を振りきれる根拠はあるのか?」
アストイースは高らかに笑い、
「ない!」
と声を張り上げた。我臥丸は呆れて、
{これが本当に四翼のひとりなのか?}
と考えてしまった。そんな暇もなく、敵が押し寄せてきた。
「いいか雷光、俺の能力は持つのは3秒だそれを忘れるな、俺も後方からだが支援する。行くぞ!調和しろこの者たちの感情よ!」
とアストイースが怒声の様な声を発したら本当に敵の動きが止まった。
我臥丸は雷光のごとく敵を次々に切り倒していった。
アストイースはまた何か技を発動した、
「我の元へと降れ!ソーラーレイ!」
と唱えるように言ったら、光の筋の様なものが降ってきた。地表に到達したのはちょうど敵の動きが戻った3秒後だった。敵は動けると気付き、アストイースに一斉に攻撃を仕掛けた。アストイースは、これまでかと思い
「雷光よ!君の人生は長い!だからお前の速さで逃げるんだ!」
我臥丸はアストイースの言葉に答え、
「なんでですか!どうして敵なのに助けるんですか!」
我臥丸は無意識に言葉遣いが敬語に変わっていた。
アストイースは消える間際にこう言った。
「おれが大空って呼ばれてる理由がもう一つあるんだ!それはな俺の心が大空のように広いからだよ!」
我臥丸は、なぜか敵のアストイースに対してすまないという感情を持ってしまった、自分を抑えながらも走った。
それからというもの、我臥丸たち第五小隊はその島での戦闘に敗北し、捕虜という形で日本に帰ってきたのだった。
そんなことを長々と話した我臥丸は一息つき、
「過去にあったことはざっとこんな感じだ、って何でおれこんなこと話してたんだっけ。」
その周りの奴ら全員で突っ込んだ。
「おい!」
我臥丸は頭を抱え込んだ後開き直った顔で、
「あ、思い出したわ、俺がそこのシークって言うアストイースさんの息子に話すために話してたんだっけ?」
シークもつられて
「違う!ただお前が虎視眈々と話してただけだろ!」
と突っ込んでしまった。
すると我臥丸はまた開き直り、
「お、それもそうか・・・・いや~すまんすまん。」
シークは続けて、
「だから開き直るな!」
とまたも突っ込んでしまった。




