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ホモガキと淫夢厨に集団感染

朝。E塔裏。

昨日の撤去跡が残っていた。

テントの杭穴。延長コードの跡。

雅紀が腕を組んで言った。

「再建しよう。"漢の楽園Rev"だ」

「"Rev"って書くとちょっとかっこいいな」と細田。

「Rev……つまりレブリミット……回せ、我らの魂を」と準。

「今回こそSafetyで行こうね?」とマイケル。

加賀が少し間を置いた。

「……行かない予感しかしない」

「なんで」と雅紀。

「前回が12分だったから」

「今回は計画がある」

「前回も計画があった」

「今回の計画は前回より精度が高い」

「どう高いんだ」

「……細田がSNSで告知する」

「それは計画じゃなくてリスクだ」と加賀。

「告知した方が同志が集まる」と細田。

「集まる同志の質が問題だ」

「走り屋仲間が来るだろ」

「お前のSNSのフォロワーは何が多いんだ」

細田が少し間を置いた。

「……アニメ系と、あと少し変なインターネットの人たち」

「変な、というのは」

「……まあ、インターネットの人たち」

「具体的に」

「……えー、あの、ニコニコ系というか」

加賀がため息をついた。

「告知するな」

「でも拡散力があるんだよ」

「告知するな」

「聞いてないし」と細田(既に投稿していた)。


数時間後。

E塔裏に、見慣れない人影が増えていた。

「……おい」と雅紀。「なんかおかしくないか」

「うん、完全に"おかしいインターネットの人たち"が来てるね」とマイケル。

一人目:「アッー♂」と言いながら入ってきた。

二人目:「やりますねぇ……」と言った。

三人目:「やっぱり野獣先輩は実在したんだ」と言った。

四人目:何も言わずに「114514」とホワイトボードに書いた。

五人目:「ニッコニコニコ」と言いながら隅に座った。

準が固まった。

「……え、なんか来た」

「来たね」とマイケル。「文化的ショックを受けたYO」

「どこから来たんだこいつら」

「細田のSNSからだろ」と雅紀。

「細田」

「……俺じゃない可能性もある」

「俺じゃない可能性はあるか」

「……ない」


感染が始まった。

「おい待て、壁に"114514"ってスプレーされてる」と細田。

「なんで持ってきてるんだそいつスプレーを」

「やりますねぇ……やりますねぇ……」と誰か。

「やめろその語録を連呼するな」と準。

「アッー♂」

「知ってるのか準」と雅紀。

「知ってる。これはインターネットの深淵だ。触れたら戻れない」

「お前が知ってる時点で既に感染してるじゃないか」

「……俺は免疫がある」

「ない、絶対ない」

マイケルが加賀の隣に来た。

「レン、何これ?」

「日本のインターネットの一部だ。説明できない」

「アメリカにもこういう文化あるの?」

「ある。でもこれは特に説明が難しい領域だ」

「……理解不能ヨ」

「俺も理解しない」

加賀がセリカのキーを握った。

「帰る」

「待ってレン、一緒にいてくれないと俺も感染するYO」

「お前は既に感染してる」

「してない」

「"アッー♂"に笑ってたろ」

「……文化理解の範囲ヨ」

「違う。感染だ」


細田の変容が始まった。

「ちょっと待ってくれよ、俺は"真夏の夜の淫夢ごっこ"がしたかったわけじゃなくて——」

「してるじゃないか」と雅紀。

「してない、これは文化交流だ」

「114514とスプレーされた壁の前で何を言ってるんだ」

「そのスプレーは俺じゃない」

「でも消してない」

「……消し方を考えてた」

「消せ」

「やりますねぇ……」と細田(感染した)。

「お前も言い始めた」と雅紀。

「違う違う、ただ口をついて——」

「感染してる」

「してない」

「"やりますねぇ"と言った」

「……アッー」

「完全感染だ」


鉄研の佐野が現れた。

望遠レンズを構えていた。

「こっ、これは資料映像としての価値がですね……歴史的な集会として記録に——フヒヒww」

「何しに来た」と加賀。

「撮影です」

「帰れ」

「でもこれ撮ったらRT数すごいことになりますよフヒヒww」

「撮るな。帰れ」

「いいシャッターチャンスで——」

「帰れ」

佐野が加賀の顔を見た。

加賀が佐野の目を見た。

佐野が帰った。

5秒だった。

軽音の阿部が通りかかった。

「ちょ、なにあの集団。マジでキモすぎwww」と阿部。

「そう思うなら近づくな」と加賀。

「でも面白そうで——」

「近づくな」

「……わかりました」

阿部が少し離れた場所で遠目に見ていた。

「近づいてるじゃないか」と加賀。

「ちょっとだけです」


凛が来た。

現場を見た。

「……滅菌」

「灰島さんこれを滅菌するのは難しいぞ」と準。

「……燃やせ」

「物理的解決は最後の手段だと舞花先輩が言ってた」

「……文化、滅べ」

「三段活用だ」と雅紀。

安藤がその後ろから来た。

現場を見た。

「……これは何?」

「説明できない」と凛。

「説明できないものが大学の中庭にある」

「……そう」

安藤が少し考えた。

「灰島さん、帰ろうか」

「……うん」

二人が帰った。

「安藤と凛が自然に会話して帰った」と雅紀。

「珍しいな」と準。

「この惨状を前にすると人間は協力するらしい」と加賀。


治安維持部隊が来た。

舞花が現場を見た。

「……もうやだ、この大学」

「"漢の楽園Rev"が実質ホモの巣窟だったわけですね」と朱音(メモを取りながら)。

「違います」と準。「俺はただ文化的な——」

「114514とスプレーされた壁の前で言うな」

「……ニッコニコニコ」と誰か(まだいた)。

舞花が額に手を当てた。

「解体。二度目だけど今回は全員追い出しから始める」

「待ってください」とマイケル。「これは文化的多様性の——」

「多様性に114514は含まれない」と朱音。

「含まれてほしい」

「含まれない」

感染者たちが、一人ずつ追い出された。

「アッー♂」と言いながら帰る人。

「やりますねぇ……」と言いながら帰る人。

全員が帰った。

最後に細田が残っていた。

「……俺も感染したのかな」

「した」と全員。

「戻れるかな」

「時間が解決する」と加賀。

「本当に?」

「知らない。俺は最初から感染しなかったから」

「なんで加賀は感染しないんだ」

「走ることしか考えてないから」

細田が少し間を置いた。

「……走り屋って最強の免疫だな」

「違う。ただ関心がないだけだ」


夜。E塔裏。

再び瓦礫エンドだった。

「俺たち、何がしたかったんだろうな」と雅紀。

「夢だろ」と細田。

「夢は儚く、ミームは永遠……」と準。

「お前まだ感染してるぞ」と加賀。

「なんでそう思う」

「今の言い方が淫夢構文だった」

「……治るかな」

「走れ。汗をかけ。エンジンをかけろ。それで治る」

準がセリカを見た。

「……本当に?」

「知らない。でも俺は走ってるから感染しない」

「試してみる」

準がエンジンをかけた。

ノートNISMOが目を覚ました。

HR16DEが、夜の駐車場に響いた。

「……なんか、頭がクリアになった気がする」と準。

「気のせいだ」と加賀。

「気のせいでも効果があった」

「気のせいに効果はない」

「走り屋論だと効果がある」

加賀がため息をついた。

呉が電話をかけてきた。

「お前ら、今回の修理費は壁のスプレー落とし含めて3万上乗せな」

「「「「「アッー……」」」」」と全員(細田以外)。

「お前らまで感染したんか」と呉。

「違います」と全員。

「違わないだろ」

朱音がメモ帳に書いた。

「漢の楽園Rev:設営から解体まで今回は4時間。前回の12分より長かったが内容は悪化した。細田が感染源。加賀のみ完全免疫——理由:走ることしか考えていないから。これは走り屋の強みとして記録しておく」

「凛と安藤:惨状を前に自然に協力して帰った。これも記録しておく」

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