三月二十六日 木曜日
今日の季語は、「春朝日」です。
夕陽のような朝日、見たことはありますか?
ぽってりと 赤いひと垂れ 春朝日
ぽってりと あかいひとたれ はるあさひ
早朝、駅の駐車場に車を停めました。
周りには、一台もいません。
私は、助手席に手を伸ばし、水のボトルを探しました。
コンビニで、500mlの水と菓子パンを一つ、買ってきていました。
キャップを捻り、飲もうと顔を上げた時、私を見るものがいました。
フロントガラスの向こうで、私の顔を凝視しています。
飲み口に合わせて、鼻の下を伸ばしたままの私は、幼子のように見返しました。
それは、線香花火の残火のようでした。
触れると大火傷をしそうな赤です。
朝日なのに、夕陽の色でした。
今日、この時、静かな始まりの空に、天から一雫、垂らされた光です。
私は、自分の中に、その雫を入れたくなりました。
スプーンで陽をひと掬いして、パクリと食べるのです。
お日様は匙の上で、ゼリーのように揺れますから、そっと口へ運びます。
舌の上でジリリと熱く震えるので、喉の奥へ急いで流します。
ああ、これで、きっと、自分を信じて生きていけます。
英語
plump and rounded drops
dripping in a crimson hue
the spring morning sun
中国語
春日朝阳升
红滴圆润垂落时
色满晨光中
スペイン語
el sol de primavera
gota roja y redonda
cae lentamente
美味しそうな朝日でした。
あなたは、食べますか?




