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84.33  作者: ゴリラ
2026 三月
61/69

三月二十日 金曜日

春風に きみの笑顔を 透かし見る

はるかぜに きみのえがおを すかしみる


「炒飯を作るぞ!」

昼前、台所に立ちました。

具には、昨日の焼き鮭をほぐして使います。

「味付けは何がいいかな」

呟きながら、冷蔵庫を開けました。

卵を一つ掴み、コンロ脇にそっと置きます。

「そうそう、葱だ、ねぎ」

野菜室から葱を取り出しました。

「今度こそは美味しく作ろう」

腕まくりをします。

その時、頭の中に電球がつきました。

ずっと、買い忘れていたものがありました。

豚肉を焼くのにも、野菜炒めにも、「今度、ね」と言いました。

友達に、「またね、バイバイ」というような、あの感じです。

でも、胡椒がないと、何かが足りませんでした。

赤いキャップの小瓶は、隠れた実力者です。

「あー、胡椒がない」

私は葱を持ったまま、立っていました。

シンクの縁に両手を付いて考えます。

「塩味だけで調理するか」と、自分に聞いてみます。

私の作る炒飯は、どちらかというと、湿っぽいのです。

所々が、パラパラになることもあります。

「胡椒がなくても、食べられる」と胸を張れませんでした。

午前中の早い時間に、買い物をしたばかりです。

それでも、また出かけることにしました。

財布一つを持ち、歩いて行きます。

「胡椒、されど、コショウ、yo, yo」

猫背になり、リズムに合わせて首を振りました。

そのうち、手も動かしました。

車も人もいないので、そのまま、反対側の歩道へ渡りました。

一台のバイクが角を曲がって来たので、私は慌てて「yo,yo」の手を引っ込めました。


春風が髪を撫でていきます。

「食べて欲しいな」

不意に、好きな人の笑顔が浮かびました。

エクボが「テヘ」と言うんです。

ベタついた炒飯をひと口食べると、きっと「テヘ」します。

そして、私は水を飲みながら、頬を少し赤くするんです。


春風に、きみを想う日。


英語

Spring breeze

Looking through the air

your fading smile


中国語

春风中

想起你的样子

你的笑容





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