56/68
三月十一日 水曜日
春朝日 今を差し出し 目を伏せる
はるあさひ いまをさしだし めをふせる
小学校の図工の時間を思い出しました。
パレットの小部屋のような仕切りに、絵の具を出しました。
青を筆に取り、ほんの少しの白を混ぜます。
それが、今日の空色です。
ぼんやりとした春です。
太陽がはっきりとした輪郭を見せます。
向こうの家の屋根の端で、私を見下ろしました。
私は、目を伏せました。
オレンジ色が閉じた目の中に残りました。
それが、過去だとハッとしました。
お風呂掃除のとき、私はシャワーを眺めて動きません。
小さな穴から、水が細い線となり流れていきます。
それが、掴めない「今」の連続です。
「いま、いま、いま」
私は、数えるように見送ります。
そして、それらは瞬時に落ちていき、過去になってしまうのです。
「今」は、簡単には現れません。
晴天の朝陽は、「今」を私に差し出しました。
「あ、これが、今なんだ」
光の輪を数秒睨み、目を閉じました。
過去よりも未来よりも、眩しいのです。
英語
Spring morning sun
the present becomes clear
the dazzling light
中国語
早晨的太阳
此刻分明
格外耀眼
スペイン語
sol de primavera
el ahora es nitido
deslumbra




