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84.33  作者: ゴリラ
2026 三月
48/67

三月三日 火曜日

冴返り 宙ぶらりんの フウの実や 

さえかえり  ちゅうぶらりんの ふうのみや


朝から、小雨が降っています。

建物の屋根も、道路も濡れて光っています。

見上げれば、空は灰色です。

肌寒い一日が始まりました。

横断歩道で待つ人が、傘をささずに首をすくめていました。

自転車が猛スピードで走り去ります。


棘のある実が街路樹に、ぶら下がっています。

冬を越し、幹と枝だけになったので、その実が露わになりました。

それが、癇癪玉のようにも、笑い玉のようにも見えます。


中学の時、バス停の通りに、雑貨店がありました。

その日、バスの待ち時間が寒くて、暖を取る為に、立ち寄ることにしました。

冷たくて動かなくなった指をガラスの引き戸にかけて、じりじりと音を立てて開けました。

髭面の小太りの店主が、溢れる品物の間に居ました。

私と目が合うと、「つまらねーな」というように顔を反らしました。

私は鼻水を啜りながら、体を斜めにして狭い通路を歩いていきます。

壁にも天井にも、売り物が隙間なく陳列されていました。

カッコ良さそうなプラスチックの看板や、ゾンビのマスク、外国の国旗、へんてこな灰皿、置物、派手なジャケットなど、私は絶対買わないようなものばかりでした。

探し物を装い、店内をゆっくりと移動します。

黄色の小さな袋が程よい所に掛けられていたので、手に取りました。

そして、うっかり握り締め、ボタンを押してしまったのです。

心底笑う声が突然割れるように響き、私は「おおっ」と叫び、その袋を落としそうになりました。

これが、私と「笑い袋」の出会いでした。

今も、その屈託のない馬鹿らしさには、にやけてしまいます。


憂鬱な天気でしたが、私には、フウの実が笑い玉のように見えました。

「どうでもいいんだ」と、全てが軽く楽しげです。


英語

The cold returns

Dangling hanging loosely in the sky

Sweetgum seed pods thinking


中国語

春寒起

摇曳在风中

枫香果







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