二月二十二日 日曜日
西の空 三日月笑う 春灯や
にしのそら みかづきわらう しゅんとうや
午後四時過ぎ、用事で外出しました。
駐車場を早足で歩いていると、どこからか視線を感じます。
自分の車の側で立ち止まりました。
辺りを見回しましたが、誰もいません。
私の靴底がアスファルトで擦れる音だけが聞こえます。
右上が気になり、顔を向けました。
そこには、日暮れ前の空が広がっていました。
ぼんやりとした水色で、春の眠りのようです。
爪の先の形をした天体がその中程に、白く浮かんでいました。
丸い影との弧のずれが光っているのです。
私は運転席のドアに手をかけ、首を傾げながら乗り込みました。
帰宅する頃には、昼間の天体をすっかり忘れていました。
車を降りると、もう群青色の宵の口でした。
三日月が声を立てずに、口角を上げています。
その薄笑いが悪戯です。
私はあの「爪の先の形をした天体」が、この三日月だとわかりました。
昼はかくれんぼをして、姿を現さないだけなのです。
「全て知っているんだよ」と、私に胸を張って言いたそうです。
私は三日月の軌跡の行方を目で追いました。
西の空に消えていく、春の夜の夢です。
英語
in the western sky
a crescent moon is smiling
spring light
中国語
西边天空上
新月正在笑
春灯亮起来
スペイン語
en el cielo del oeste
la luna creciente sonríe
luces de primavera




