表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

第1話

ソルが死んだ日、世界が静かに崩れた。


ニュース速報は唐突に現れた。

「人気K-POPグループ“Moonlight”のメンバー、ソルさんが今朝、自宅で……」

その先はもう聞いていなかった。


スマホを持った手が震えて、病室の天井が滲んだ。

私はもう、心臓の痛みさえ感じていなかった。



幼い頃から心臓が弱かった。

何度も手術を受け、入退院を繰り返した人生。

学校にもほとんど行けず、外に出ることも制限された生活の中で、

唯一、私に“世界”を見せてくれたのがソルだった。


彼の声に、歌に、表情に、

私は何度も救われた。



なのに、その彼が、苦しみの中で命を絶った。


誰にも助けてもらえなかった。

私にも、何もできなかった。


私の中で、世界が止まった。



その1年後、私は16歳で静かに息を引き取った。

ソルのいない世界で、これ以上生きていたくはなかった。


でも――

目を覚ましたとき、世界は始まっていた。



「もうすぐよ、奥様!」「赤ちゃんが……!」


まぶしい光と、必死な声。

私は……赤ちゃん?


意識がぼやける中、誰かが言った。


「おめでとうございます!女の子です!」



「ハン・ユナちゃん、1998年2月14日生まれです」


……ユナ? ハン・ユナ?


その名前に聞き覚えはなかった。

2025年の世界で、そんな人物は存在しなかったはず。


けれど、なぜだろう。

“彼のそばに立つ誰か”――そんな予感だけが、胸に残った。



わかった。

私はこの世界に、“初めて”生まれたハン・ユナなんだ。


私がここにいること自体が、未来を変えた証。



願ったんだ、あのとき。

「もう一度生きられるなら、ソルを救いたい」って。


なら、今度こそ。


私は、私の命を懸けて、

推しの未来を変えてみせる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ