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罪人と皇女

 パメラは固定観念や紋切り型をあまり嫌うことはない。


 紋切り型ということはつまり検証されたということで、長年安定的に活用されたということ。だから感謝することが当然で、嫌がる理由はないというのが彼女の考えだった。


 しかし、そんな彼女も典型的な地下監獄の薄暗い雰囲気だけは気に入らなかった。


「お久しぶりですわ。と言っても間もないですが」


 眉をひそめてそう言ったのも、実は相手に対する不快感ではなくこの場所自体への感情のためだった。


 もちろん相手の立場ではどちらにしても知る方法がないし、調べても意味がない事実でもあった。


「……どうしたのですか」


 刑務所に閉じ込められた男は弱々しい声で言った。


 エルヴィン・カーライル。ティステ公女の取り巻きでベインを陰謀に利用しようとした男。前回の事件の後、彼はここに投獄された。


 ただ正式に裁判を受けたわけではなかった。


「ぶっきらぼうですわね。表面的には貴方に罪を問わない形で処理してくれたはずですが」


「投獄された立場にそんなことが意味があると思いますか?」


「貴方がここから出るようになれば十分意味があるでしょう」


 話しながらもパメラは苦笑いした。今のカーライルには自分がどういう立場なのか明確に知る手段がないということをパメラ自身もよく知っているから。


 事件後、パメラはコネの力で公式的な記録を全く残さずカーライルを直ちにここに投獄した。対外的に彼は現在行方不明として処理されており、皇帝にさえカーライルがどんなことをやらかしてどんな処罰を受けたのか報告が上がらなかった。


 ……皇帝が別途の情報網を通じて事態を把握している可能性もなくはないが、少なくともパメラはひとまずカーライルの事件が皇帝の耳に入らないよう最善を尽くした。


 投獄の初日にカーライルに説明したが、カーライルは不信に満ちた目でパメラを睨みつけるだけだった。今のように。


 もちろんパメラも口先だけの説明をカーライルが信じてくれるとは期待しなかった。


「私の言うことを信じた方が貴方にもいいと思いますが」


「何がいいというのですか? 貴方は敵の娘です」


「貴方が返すと思う恨みの主は私だと教えてくれたでしょう」


「荒唐無稽な妄想で私の心まで侮辱すると言うのですか?」


 なんだか時間が経つほど不信がもっと強くなるようだね――パメラはそう思って、こぼれそうとするため息を押さえた。


 むしろ最初は信じるというか、信じたがるような反応があった。そうだったのがむしろ時間が経つほど肯定より否定がさらに強くなっていた。


 まぁ、転生という現象を簡単に信じることはできないだろう。


 前世の記憶を持つパメラでさえ時々自分の記憶が本当に前世のものなのか、それともただ突然思い浮かんだ妄想なのか区別がつかない時がある。ましてそれをただ言葉で聞いただけのカーライルはさぞかし。


 パメラがそのようなことを悩んでいる間も、カーライルは口元を引き上げながら嘲笑を描いた。


「あの御方だけが知るはずのことをどうやって突き止めたのかは分かりませんが、方法がないわけではないでしょう。死者の記憶や場所に刻まれた過去のことも魔法でいくらでも蘇らせることができますから」


「私はティステでした。今は違うとしても。貴方がどのように疑ってもそれは明白な事実ですの」


「明白な事実という言葉は小娘の荒唐無稽な妄想に付けられるものではありません」


 カーライルは嘲笑しながら鋭い目でパメラの周りを確認した。


 この区画の入口には護衛としてついてきたアレクシスと騎士たちが立っているが、ここの周囲には誰もいなかった。パメラが二人だけで話すと意地を張って人を退けたからだ。


 もちろんカーライルには魔法を封印する足かせをはじめ、万が一でも暴れないようにあらゆる措置が取られた状態だ。だがそれでも妄想に陥った小娘は不注意だと嘲笑したくなるほどの行動だった。


 パメラはそのような心の内を察するからより堂々と微笑んだ。


「まぁいいですわ。どうせいつかは信じるようになる事実ですから。それより今日は用件を優先しますわ」


「騒ぎたければ勝手に騒ぎなさい。いつも言いたいことばかり言っていたのでしょう」


「あいにく今日は貴方が言わなきゃなりません」


 パメラはかがんだ。床に座り込んでいるカーライルと目の高さがぴったりだった。


「貴方の協力者について知っていることを言いなさい。全部」


 その言葉にカーライルはプッとさっきとは違う意味で笑った。


「何かと思ったら。私の仲間たちを探すということですか? 言うことは……」


「何か勘違いしたみたいですけれども」


 パメラはそう言った直後、数十個の名前を次々と言った。それを聞いたカーライルは目を丸くした。


 パメラはその姿を少し笑いたい衝動に耐え、無表情を維持した。


「貴方の仲間といっても、かつての私に追従した友人たちでしょう。その程度は貴方の口から聞く必要もありません。誰か分かったら調査する方法もいくらでもあります」


「……何を言っているのか分かりませんね。卒業した後はほとんど連絡をしなかったのですが」


「言い訳は通じません。そもそも言い訳を出す意味もないですし。私が聞きたいのは彼らのことじゃなく別の方です。貴方に協力していた謎の少年がいたでしょう?」


 カーライルは眉をひそめた。


 謎の少年。その言葉を聞いて心当たりのある存在がたった一人いた。


 しかし、なぜパメラは彼のことを気にするのか。いや、どうして知っているのか。


 カーライル自身、その少年の正体は知らない。いつも顔をはじめとする正体が現れないようにしたまま会ったからだ。陰で密かに少年の正体や背景を突き止めようと試みたこともあったが、すべて無駄だった。


 何も突き止められなかったが、その徹底した手腕がむしろただの有象無象ではないだろうと推察させてくれただけだった。


 付け加えるとその徹底した能力のためにむしろ推察する正体がいくつかあるが、すべて推測の領域を抜けなかった。


 カーライル自身にもそのような存在だから、当然会う時は誰の目にも付かなかった存在。そのような存在をパメラがどうやって突き止めたのだろうか。

突然プロットに変更が生じて、昨日は更新できませんでした。申し訳ございません。

現在、第二章の中間部分のプロットが少し不安定ですが、できるだけ早くストーリーを安定させるようにします。

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