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手合わせと話

 騎士科の授業には教養や学術ももちろんあるが、やはりメインは身体鍛錬をはじめとする戦闘に関連している。


 その中でも多様な種目を修練するが、生徒は幼いため現役ほど多様な分野を扱ってはいない。核心分野だけに集中して技量を高めるのが先だから。


 その中で最もメインとなるのは剣術で――剣術のメインは他の生徒との手合わせだ。


「今日は剣先が不安定だぜ。何かあったんかよ?」


 ロナンはタオルで汗をぬぐいながら言った。しかしアレクシスは沈黙で答えた。


 剣術の手合わせは実力が近い人同士でペアを合わせる場合が多い。そして学年の首席であるアレクシスのペースについてくることができる生徒は次席のロナンだけ。そのため、アレクシスが助手の役割を担う場合でなければ通常彼の手合わせペアはロナンが務める。


 そのため、ロナンは誰よりもアレクシスを長く見守ってきた友人でもあった。


 アレクシスは何も言わずにタオルで顔をぬぐったが、ロナンがずっとじっと見つめると結局ため息をついた。


「そんなにバレバレだったのか?」


「まぁ、他の奴らは知らなかっただろ。そもそもテメェの剣から何かを感じるほど耐える実力がねぇから。でも俺は誰だ? この学園でテメェと一番親しい友達じゃねぇか!」


 ロナンはニヤリと笑ってアレクシスの傍にぴったりと寄り添った。


「で? 何だ? もしかして姫様のことか?」


「……いきなり何を言ってる」


「いやまぁ、なんだか深刻な感じじゃねぇんだけど~って思ったんだよ。もし姫様と何か甘酸っぺぇこととかねぇかなって思ってさ」


「深刻なことでなければ無条件でそちらかよ? 頭の中がおかしいのは相変わらずだな」


「いやいや、こんな方では俺の勘がよく合う方だぜ? この前も俺様が愛のキューピッドの役割をしたって!」


「お前はただ早合点であちこち突いてたまに合ってるだけだろ」


 アレクシスは魔法で剣の手入れをし始めた。


 ロナンを見向きもせず、剣に集中する姿は一見やり取りの拒絶のように見えた。だがロナンはむしろニヤリと笑った。


「へぇ。相談が必要だねぇ?」


「……そんなことを言った覚えはない」


「知ってんのかよ? テメェは本当に話を断りてぇ時はただ黙って席を離れる奴だぜ。こんなにグズグズするのはむしろ声をかけてほしいって意味だよ」


「それは何の戯言だ?」


「この学園でテメェの一番古ぇダチの経験談だ、野郎が」


 ロナンはにこやかに肩を組んだ。


 アレクシスは眉をひそめながらもロナンの行動を放置した。その姿がロナンの笑顔をさらに深めた。


「で? 何だよ? ここで言うのがイヤなら後で別に話してもいいぜ」


「……」


 アレクシスは横目であたりを見回した。


 生徒は多いが、彼らのことを気にする人はいなかった。手合わせをする時は学年首席と次席の手合わせを観戦するために耳目が集中したりもするが、終わった後まで関心を持つ生徒はほとんどいない。すでに他の生徒たちも二人のパターンをよく知っているのだ。


 同じ生徒ではない上位成績者に教えを求めるケースはかなり多いが、手合わせの直後にすぐにそうするのはアレクシスがかなり嫌がる。それを知っているので、他の生徒たちも今は二人をタッチしない。


 いつも通りの光景を見た後、アレクシスはタオルを投げ捨てた。


「剣持ってろ」


「は?」


「とりあえずもう一回やる」


 突拍子もない話だったが、ロナンはプハッと笑った。こんな突然の行動も、そうする理由もすでにロナンには慣れているから。


「いいぜ。今日は熱ぇな!」


 豪快に笑いながら離れた直後――ロナンはいきなり剣を振り回した。


 先ほどまで肩を組んでいた至近距離での奇襲突き。しかしアレクシスはすでに予想して平然と受け流した。そして肘でロナンの脇腹を殴った後、痛みに歯を食いしばった彼を蹴って距離を広げた。


 ロナンは咳き込みながら好戦的に笑った。


「行くぞ!!」


 魔力を存分に含んだ足が地面を蹴った。


 同時に地に足跡を残して突進。同時に横振りになった刃がぶつかった。


 力で押し付けるロナンの刃をアレクシスの刃が軽く受け流し、鋭く速い追撃をロナンの魔力が込められた肘が弾いた。アレクシスは弾かれる勢いを利用して回転しながら足を狙った。


「おっとっと!」


 跳躍して避けたロナンはそのまま剣を振り下ろした。アレクシスはすぐに剣を上げて防ぎ、力でロナンを強く押した。ロナンは空中で回転――と判断した直後、魔力で足場を作って踏んで空中で完全に逆立ったまま強く剣を振り回した。アレクシスは後ろに下がって避けた――。


「ふぅっ!」


 ――とロナンが判断した直後。魔力が爆発する脚力で高速突進したアレクシスが剣を斜めに振り回した。空中で体勢を覆して着地しようとしたロナンの隙を正確に狙う奇襲だった。


「うおっ!?」


 ロナンは斬撃自体は防いだが、着地できなかったせいで力に押されて飛ばされた。


 ロナンはその勢いで地面を転がりながら距離を開いた。アレクシスが追い上げてきた時はすでに起き上がり、不安定ではあるが姿勢を取り戻すことができた。


 激しい勢いで振り回された剣と剣がぶつかり、金属音が鳴り響いた直後。ロナンは足を上げてキックをした。アレクシスはそれを前腕で弾いて隙間を作り、剣を引き寄せてから鋭い突きを放った。ロナンの鼻先に刃がかすめた。


 ロナンは左手でアレクシスの手首をつかんだ。突くため腕を伸ばした状態だったアレクシスの腕を引っ張る反動で自分の姿勢を戻し、前に体が傾くアレクシスの腹に向かって拳を突き出した。


「ふぅっ!」


 アレクシスは防げなかった。いや、腹筋に魔力を集中することで姿勢なしに防いだ。その直後アレクシスの拳がロナンの胸に炸裂したが、ロナンも同じ方式で防いだ。二人の距離が広がった。


 また同時に突進。ロナンは上から下に、アレクシスは下から上に剣を振り回した。刃がぶつかり、互いに力で押し合い始めた。


 その途中でロナンが口を開いた。


「……へっ、かなり動揺してんだな、テメェ」

読んでくださってありがとうございます!

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