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依頼

「どちら様?」


 そのキリッとした意思の強さを感じさせる瞳に、なんとなく見覚えがあるが、思い出せない。


「初めまして、ではないのだけどね。私はテルトナ=サウスアウト。黄金の双樹ギルドですれ違っているわ」

「ああ……」


 俺はそれで目の前の女性のことを思い出す。ちょうど面接終わりに面接官たちの話を聞いてしまったあとに、確かにすれ違っていた。

 そしてそれと同時に、テルトナの一見すると冒険者然とした姿に、思わず身構えてしまう。


「黄金の双樹の方、ですか?」

「違うわ。あの時はたまたま用事があって訪れていただけ。ねえ、私の依頼を受けてみない? 私、フリーの冒険者兼、錬金術師もしているの」


 俺が警戒したのが伝わったのか、すぐに否定してくるテルトナ。そして、羽織ったマントを少し開いて見せてくる。錬金術師らしく、テルトナの腰に巻かれたベルトにはガラス瓶が等間隔で固定されているのが隙間から見える。

 そのまま、いきなりの依頼だ。


「ずいぶんと唐突ですね。だいたい俺の名前も知らないのでは?」

「確かに。名前、教えてくれるかな」


 くっとあごを上げながら、俺の指摘に素直に名前を聞いてくるテルトナ。変なところで実直なようだ。


「……レキ=バクシー」

「そうか、バクシーさん、ね。改めてよろしく」


 瞳を輝かせて、開いていたマントから手を離すと、握手しようと手を差し出してくるテルトナ。

 俺はしぶしぶテルトナの手を握る。

 テルトナの手は、冒険者とは思えないほど滑らかで、ヒヤリとしていた。


 ──これは本業は、錬金術師の方かな。


「それでどうやって俺を見つけたんですか。それになんで俺に依頼しようと?」

「ふふ。バクシーさんと会えたのは偶然、幸運だったみたいね。私、なんとなく勘がいいのよ。で、バクシーさんに依頼をお願いしたい理由は、あなたが特別に見えたから。詳しくは少し長くなるわ。バクシーさんは時間はある? ねえ、場所を変えない?」


 俺は悩む。やりたいことはいろいろある。テルトナの誘いは断ってしまいたかった。しかし、テルトナのいった幸運、というフレーズが引っ掛かる。

 そっと自分のステータスを確認してみる。


 ──幸運の効果は、まだ続いているみたいだ。俺が特別に見えたって、もしかしてシストメア様のこと、何かばれている可能性がある? まあ、それを探るためにも話だけでも聞いてみるか。


「わかった。少しなら」


 俺は警戒を解かないまま同意する。


「よかった。こっちよ」


 すたすたと歩き出すテルトナ。俺はその後ろ姿をしぶしぶ追いかけた。

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