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決闘

「何か、もめているみたいっすよ」


 隣を歩くシジーが、俺の肩を叩いて教えてくれる。

 迷宮にはいってすぐの広場。俺とシジーのよく働いていた親方のところの清掃作業場に、人だかりが出来ていた。


「話だけでも聞いた方がいい気がするわ、レキ」


 背後からテルトナがすすめてくる。どうやらいつもの直感が告げているようだ。


「そうするか。ちょうど親方に挨拶はしようと思ってたところだ。いいかな。シスター・リニ」

「構いませんが、深入りはしないでくださいね」

「りょーかい。親方ー!」


 俺は人だかりの外で腕組みしている親方を見つけて、近寄りながら声をかける。


「おう、バクシーかっ。聞いたぞ。ギルドを立ち上げるんだってな。目出度いな」


 ばしっと肩をつかみ、祝福をしてくれる親方。


「さすがに耳がはやいですね。そうなんです。それで俺と。あと、シジーも……。これまで本当にお世話になりました」「お世話になったっす」


 俺たちは二人して親方に頭を下げる。


「おう。仕事の出来るお前に居なくなられるのは本当に辛いがな。シジーもいてくれると場が明るくなって得難い人材だったんだぞ。しかし、バクシーもシジーも、その頑張りを見てきたからな。感慨深いもんだ。頑張れよ」

「うっす」「はい。それで、これって一体なんの騒ぎ何ですか」


 声を潜めて俺は親方に質問をする。


「どうやら、ギルド「黄金の双樹」の連中が、ギルド「深淵の道化師」にいちゃもんをつけているみたいでな」


 ぐっと、親指で指し示すと、ささやき声で教えてくれる親方。


「深淵の道化師って言うと……」

「そうだ。この前、大型のトカゲのモンスターを持ち込んでくれたとこだ。大手だな。ちょうどこれから、モンスターを搬出してお披露目ってところだったんだがな……」


 そっと俺もそちらを伺う。俺が先日、腸の破れを縫い合わせたトカゲのモンスターの前で深淵の道化師のギルドマスターらしき、白銀の鎧をまとった女性剣士に、誰かが怒鳴っていた。


 ──あれ、たしか黄金の双樹の副ギルドマスターの……カロラッタか。


 それは面接のときに見た顔だった。

 端から見ていると、まるでカロラッタがキャンキャンと、吠えかかる子犬のようだ。

 それに対して、白銀の鎧の女性は端然としている。


 ──これは、格の違いが一目瞭然だな。


 俺がそんなことを考えながら眺めていると、両者を取り囲むようにして人垣が円を作り始める。


「ふん、決闘で決着をつけるのか。バカらしい」


 親方がボソッと呟く。

 親方はそういうが、迷宮内の冒険者同士のトラブル解決としては、決闘は一般的だ。強いものが正義というやつだ。


「親方、そもそも原因はなんなんすか?」

「あ? さあなあ。ワーウルフがどうとか言ってたがな。道化師のギルマスのヴァルキュアは知らんの一点張りみたいだが」


 肩をすくめてシジーに答える親方。

 ちょうどそのタイミングでカロラッタとヴァルキュアの決闘が始まった。



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