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選択

「では、選ぶが良い。そなたが新たに手にするもの、二つなり。選択なき可能性は、ついえるもの。心してのぞめ」


 そう告げて、たおやかに片手を前にあげるシストメア。その動きにあわせ、俺の目の前にステータスが現れる。


 それはしかし、いつも見ているものとは表示が異なっていた。

 ずらずらと、選択肢が並んでいる。パッと見て20個弱ほど。


 ──これが、お祈りポイントのランクアップか! なるほど、この中から選べるのか。ふーん……どれも2ポイントで交換、ね。


 俺は上から順に目を通していく。

 そうしていると、なぜだか、徐々に体が熱を持ってくるような感覚に襲われる。


「し、シストメア様。あの、体が……」

「神界はいくら加護を持つ身でも、只人には負担なり。疾く、選ぶがよい」


 どうやら、時間制限があるようだ。

 俺は焦って選択肢をみていく速度をあげる。


 ──一定時間筋力増強(小)に、一定時間敏捷強化(小)……ここら辺は無難そうだ。消耗品っぽいものも並んでいる。ネクタルというのはお酒、かな。死の水、とは物騒だな。うーん、ダメだ、ふらふらしてきた。


 限界が近い。

 そんな俺の視界に飛び込んできた選択肢。俺は直感でその二つを選ぶことにする。


「し、シストメア様。決まりました。『燃える水』と、『眷属強化』でお願いします」


 眷属強化は唯一、時間制限の表示も何もないものだった。その分、効果が少ない可能性は高い。それでも、ガルナタタンへの強化を積みあげていける可能性を感じる。なら将来的には凄いことになるかもしれない。


 そしてもうひとつの、燃える水。こちらは本当に直感だった。応用が効きやすいことを祈る。


「あいわかった。レキ=バクシーよ。以後も励むがよい」


 そういってシストメアが一歩近づいてくると、伸ばした指先で俺の額に触れる。


 次の瞬間、俺はパッと目を開ける。頬に感じる冷たい石の感触。どうやら倒れていたようだ。俺は急いで起き上がろうとする。


 そこは、さっきまで俺が祈りを捧げていた礼拝堂だった。


「あら、お昼ぶりですね? バクシーさん。何を、なされているのですか」


 それは昼間も聞いた声。

 シスター・レニが起き上がろうとする俺を上から覗き込むように見ていた。


「あ、いや。祈りを捧げていたらつい、うとうとしてしまってな」


 かなり気まずい。こうしてはち合わせする可能性は考えていなかった。


「ふーん。夜の床は冷えますよ。お茶でも飲んでいかれますか?」


 意味深な笑みを浮かべているシスター・リニ。

 彼女の加護が、どういうものかはわからない。しかし、俺がただ祈りを捧げていただけでは無いことに気づかれている風だ。


「いや、遠慮しておくよ。俺はこれでかえる。また明日」

「そうですか、残念です。バクシーさんに神のご加護を」


 そこは本当に残念そうな感じで伝えてくるシスター・リニ。


「……ああ。シスター・リニにも神のご加護を」


 なんなんだろうとは思いつつも俺はシスター・リニと別れると、礼拝堂を出て帰路についた。



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