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履歴書爆死18 side黄金の双樹

「オリジンの討伐に失敗した、だと! カロラッタ、お前が指揮をとりながらなんてことだっ」


 どんと机に拳を打ち付け、どなり声をあげる大柄の男性。黄金の双樹のギルドマスター、トロリアン=アングだ。その前に立って俯いているのは、黄金の双樹の副ギルドマスターのカロラッタ。


「と、トロリアン。これには訳が……」

「言い訳などききたくもない! お前もわかっているのはずだっ。事は、聖遺物に関わるのだぞっ。聖遺物の発見には、オリジンの魔石が絶対に必須なのだ。そのためにようやく見つけた、ワーウルフのオリジンだったのに。いったい何人が犠牲になったと思っている!」


 そこへ、がちゃりとドアがあく。入ってきたのは黄金の双樹の事務責任者のハローニだ。彼女がのんびりとした声音で告げる。


「ギルドマスタ~。報告がありました~。何でもワーウルフの存在が大迷宮から消えた可能性が高いと~」


 部屋にいた男二人の視線が自然とハローニへと集まる。


「なにぃ!」「……それはつまり」

「討伐、されちゃったみたいです~?」

「カロラッタ、わかるな!」

「オリジンの魔石の確保だな! 当然だ。全力で当たる」

「いいか。今この街には加護持ちの殲滅聖女が一人潜伏していると、雇い主殿が言っていた。絶対に先を越されるなよ! このギルドのありったけを使え」

「わかった、トロリアン」


 そういって部屋を出ていくカロラッタ。


「私も、いきますね~」

「──ああ。ハローニも、よろしく頼む」

「はい~」


 カロラッタには強気だったトロリアンも、ハローニには語気が弱くなる。事務を一手に引き受けるハローニには、ギルドマスターだからこそ頭が上がらない様子だ。


 すたすたと部屋を出たハローニは、生き残ったギルドメンバーを召集しているカロラッタを見つける。


「カロラッタ」

「ああ、ハローニか。さっきはすまない。助かったよ」

「どういたしまして~。それで目処はあるの~?」

「──いや、まだだ」

「お見舞いに行ったら、セルシオが面白いことを言ってたわ~」


 オリジンの討伐に向かいながらも返り討ちにあい、命からがら生き残ったギルドメンバーの一人の名前を出すハローニ。


「やつは何て?」

「迷宮から出るときに、ちょうど大物の清掃をしていたみたい」

「親方か。しかし、そこらにいるのは非正規のクズばっかりだろ? 到底、オリジンを倒せるとは思えんが……」

「大物は綺麗に清掃済みだったみたいよ~」

「なるほど。その大物を倒したやつが、清掃終わりのタイミングで回収に戻ってきていた可能性があるのか。助かる、ハローニ。おい、お前ら、いくぞっ!」

「どういたしまして~」


 カロラッタにこたえるハローニの瞳が、キラリとひかる。

 しかしそんな様子に気づかぬまま、カロラッタはギルドメンバーを連れて、大迷宮の入口へと向かって出発していった。





もし、面白い、続きが読みたいと思われましたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると幸いです!


 何卒よろしくお願いいたします!

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