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霊研の探偵さま  作者: とど
四章
60/74

25 羨ましいから俺もしたい


 シオンのごたごたも落ち着き、そして気が付けば年が明けていた。


「早いな」


 学校に行けない為日付の感覚が薄れている愁は、町中で新年に浮かれる人達を眺めながら一人誰にも聞こえない声で呟いた。今日は特にやることもなく暇だ。こういう時に暇つぶしが出来ないのが霊体の辛いところである。


 ふわふわと漂いながら何か面白そうなことは無いかと辺りを見回していた愁は、しかし駅の付近に辿り着いたところでぴたりとその動きを止めた。


「あれは……千理?」


 その視線は離れた所に立っている一人の少女に向けられている。つばの広い帽子を目深に被り顔を隠してはいるが愁に分からないはずがない。見たことの無い帽子だ。時計に目を落としていることから誰かを待っているのだろうか。

 愁がそれを尋ねようと彼女に近付こうとする。しかしその直前、はっと千理が顔を上げたかと思うと、改札から出てくる人々を見て笑顔になった。

 待て、この笑顔は見覚えがあるぞ。

 愁がそう思った瞬間、雑踏の中から一人の男が彼女に歩み寄っていた。


「お兄様!」

「こら、外でお兄様は駄目だろう」

「あ……ごめん、つい。折角顔も隠してるのに。……天宮君」

「うん。伊野神さん、待たせたね」


 嫌というほど見覚えのある明るい茶髪と同色の目を持つ男が千理の元へ近付いて綺麗に微笑む。そう、彼女の兄である天宮万理だ。

 死にかけていたが回復したのかと愁が考えていると、彼らはにっこりと微笑み合って何も言わずとも手を繋いで歩き出した。


「!??」

「天宮君、体は大丈夫?」

「ああ。もうすっかり元気だよ。お前のおかげだね」


 千理が心配そうな顔で尋ねると、万理は繋がっていない方の手で彼女の頭をぽんぽんと撫で、その流れで髪を梳いた。


「……」


 歩いて行く二人の後ろ姿を見ながら愁はしばらく硬直していた。

 いや、彼らが兄妹だということは十二分に知っているし、七年も会えなかった上にようやく落ち着いて顔を合わせることが出来たのだから喜びもひとしおだろう。

 だが客観的に彼らを遠目で見ると、これはもう。


「「恋人にしか見えない」」


 ぼそっと呟いた言葉が何故か綺麗に重なって愁は首を傾げた。二人から視線を逸らして辺りを見回してみれば、割と近い場所で一人の少女が愁と同じく千理達を凝視している。愁にも見覚えのある人間だ。


「針谷さんだったか」

「確かに伊野神さんと会うとは聞いてたけど……まさか偶然見つけちゃうなんて」


 一人でぶつぶつと呟いているのは針谷舞、万理の恋人であった。彼女も衰弱していたが回復したみたいだと愁が見ていると、舞は何度か躊躇う仕草を見せながらも歩き出し、ちらちらと前方にいる兄妹を窺っている。


「二人を付けるのか?」

「やっぱやめ……でも、気になるし」

「俺も気になるから行こう」


 舞には愁の声が聞こえていないはずなのだが妙に噛み合っている会話をしながら二人が動き出す。見えない万理はともかく千理は愁に関しては非常に目敏いので、愁はできるだけ距離を取って舞の後ろを進んだ。


「……というかあれ」

「ん?」


 前方を歩く舞がぼそりと小声を上げる。その視線を追えば、先程まで手を繋いでいた二人がいつの間にか腕を組んでいた。しかも千理が抱き付くように腕をぎゅっと握りしめているのが分かり、思わず舞も愁も虚無顔になる。


「私、あんなことしたことない」

「俺、あんなことされたことがない」


 再び同時に二人が呟いた。舞は恋人同士だと言っても気恥ずかしさで中々万理と密着することは珍しかったし、“親友”である愁は言わずもがなだ。一体何を見せられているのか。


「あの二人……ホントにホントの兄妹?? 兄妹ってあんなに距離が近いものだっけ?」

「いや多分あの二人が特殊なだけだ」


 そうでなければ今頃世の中の兄妹は修羅場を生み出しまくっているはずである。最早嫉妬を通り越して感心までしてしまいそうになりながら、舞と愁はそのまま二人を尾行し続けた。




    □ □ □  □ □ □




「此処のケーキ、あんまり知られて無いんだけど実はかなり美味しいんだよ。ほら、伊野神さんも」

「いただきまーす。……おいしい!」

「やっぱり。お前はこれが好きだと思ったんだ」


 古びた雰囲気の喫茶店に案内された千理は、ずっと会いたくて会いたくて仕方の無かった兄を前にして満面の笑みで彼から差し出されたフォークを口に入れた。


 シオンの件が片付いた千理がまずしたことと言えば万理の安否確認である。七年振りに兄と再会したかと思えば彼は死の間際まで追い詰められていたのだ。原因を取り除いたとはいえ衰弱した体がすぐに治る訳もなく、千理は実家の近くでこっそりとじいやを捕まえて兄の状態について情報を得ていた。

 そして年も明けた今日ようやく二人で会う目処が立ち、こうして改めて外で再会出来たのだ。


「流石に七年も経ってると味の好みも変わってそうだと思ったけど杞憂だったみたいだ」

「それって成長してないって言ってる?」

「まあ僕の中ではお前は相変わらずだからね。どれだけ月日が経とうが可愛い可愛い妹であることに変わりない」

「お……天宮君駄目だよ。私は今伊野神千理なんだから、妹じゃないよ」

「そうだった、ごめん。可愛い妹みたいな存在だよ」


 きらきら笑顔で微笑まれた千理が釣られて笑う。今は外なので口には出さないが彼女の容量が余りまくっている脳内は今『お兄様大好き』という言葉で埋め尽くされていた。


 千理はそれを一旦落ち着けようと息を吐く。あまり冷静でないと我慢出来ずに口から出てしまいそうだ。改めて俯瞰する気持ちになって今の状況を振り返ってみる。

 今の万理は健康体で、強いていうのなら筋力が落ちてしまっているぐらいだという。千理も薊に殺され掛けたが無事で、首を絞められた時の痣ももう消えている。

 やっと、やっとこうして兄妹であることは隠さなくてはいけないが何の憂いもなく会うことができるようになったのだ。千理は目頭が熱くなるのを感じてこっそりと零れ掛けた涙を拭った。


「この前は落ち着いて話も出来なかったし色々と話を聞かせて欲しいな。天宮を出てからどうしてたとか、それにあの霊研とかいう所のことも」

「うん。ちょっと長くなるけど」

「お前の話ならいくらでも聞けるよ」


 万理に促されて、千理は七年前からの記憶を少しずつ引き出して話し始めた。学校のこと、友達のこと、愁のこと、模試で万理の名前を見つけて自分も頑張ろうと思ったこと、そして……どうして霊研に入ったのか。


「幽霊、妖怪……僕も自分が被害を受けなければ一生信じることはなかっただろうね」

「私もだよ。愁が霊体になってからどんどん他の幽霊も見えるようになっちゃって、もう信じざるを得なくなったっていうか」

「しかし、お前の世界が広がってくれたのは嬉しいけどやっぱり心配だよ。そんな危ないところで働いて……その霊研や警察に任せるのでは駄目なのか」

「嫌。駄目じゃなくて嫌なの」

「僕が心配して心配して寿命が縮みそうだと言っても?」

「そ……そう言われても、辞めない。私、絶対に愁を自分の手で探したいの。もし他の誰かが見つけてくれたって勿論構わないけど、でも何もせずに待ってるだけっていうのは無理。……結局、まだろくな手がかりもないけどね」

「やっぱり、悩んでいるのはそれだったか」

「悩んでいるように見えた?」

「ちょっとだけね。僕に会えて嬉しくて堪らないのも事実だろうけど、何か気にしているところがあるように見えただけだ」

「すごい」

「当然だよ。だって僕はお前のお兄様だからね」


 万理は顔を近付けて周りに聞こえないように声を潜める。端から見れば危うい雰囲気だったが千理は当然そんなことは気に留めず、ただただ自分を十二分に理解してくれている兄に喜びを覚えた。


「その悩みだけど、やっぱり――」

「うっわ天宮! 浮気か!?」

「!?」


 近付けていた顔を離そうとしたその時、突然近くから浴びせられた大声に思わず二人ともそっくりな仕草で驚いて大きく体を揺らした。

 千理と万理が同時に振り返ると、そこには大柄な男がこちらも酷く驚いた顔で万理を凝視しているところだった。


「七瀬……」

「おっまえ見損なったぞ! 針谷というものがありながら他の女子とキスするとか!」

「は? そんなのしてな」

「いやたった今してただろ! っていうか誰だよその子。前に言ってた初恋の子か!?」

「初恋? 初恋って?」

「……頼むから落ち着いてくれるか、七瀬生徒会長。千理、お前も気にならなくていいから」


 七瀬と呼ばれた男が千理を敵視するように軽く睨む。彼は万理が通う高校の生徒会長で舞とも親交のある男だ。人望がありとリーダーシップも持っているがちょっと暴走しやすい面もある時々頭の痛い人間である。


「浮気というのは全くの誤解だ。そもそも今日この子と会うことはあらかじめ舞に話してある」

「は? つまり彼女公認で二股ってことかよ!」

「そんな訳あるか!」

「じゃあやっぱり隠れて浮気かよ! せっかく良い雰囲気のカフェ紹介してやったのに浮気に使いやがって! 心配したのか針谷見に来てるぞ!」

「だから……は? 見に来てる?」

「ほらあそこの席!」


 七瀬が万理の頭を両手で掴んで無理矢理動かす。強制的に左方向を見ることになった万理はそこで、離れた席で必死にテーブルの影に隠れようとしている恋人の姿を見つけてぽかんと口を開けた。

 同じく、千理もそちらを見て最早隠れる気すらなく宙に浮いている愁の姿を見つけて呆れた顔になった。


「舞?」

「ち、違うの万理君! 別に偶然見つけたからつい尾行しちゃった訳じゃ」

「すまん、つい尾行してしまった」


 わたわたと首を横に振って弁解する舞に対して、千理にしか見えていない愁は見つかってしまったのなら仕方が無いと、堂々と言い放った。千理の顔が更に呆れたものになる。ちょっとは悪びれろ。

 千理の表情が自分に向けられたものだと思った舞は申し訳なさそうに身を縮めて二人の元へと近付いてきた。


「伊野神さん、ごめんなさい。邪魔しちゃって」

「え? いやこちらこそお、じゃない天宮君をお借りしちゃって」

「……やっぱり公認で」

「じゃ、ない。お前はもういいから。……この子は親戚だ。髪の色とか似てるだろ」

「そう言われて見れば……?」


 万理はまだ誤解を続けている七瀬に少し迷った後そう伝えた。少しばかり疑念の色が残っているものの落ち着いて千理を見始めた彼はしばらく万理と千理を見比べて納得したように頷いた。


「へーなんだよかった。何かちょっと前まで針谷が思い詰めた顔してたし天宮ともあんまり話さなくなってた時期あっただろ? しかもその後から二人とも体調崩して入院してたし、だからすげえ心配してたんだよ」

「ああ……」

「ま、その子と異様に距離が近いのは確かだが針谷が納得してるんだったらいいよ。認めてやる」

「誰目線だ??」

「あの、七瀬さんでしたよね? 天宮君を心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です! この人は針谷さん一筋なので! この前結婚も考えてたし!」

「いやちょっと待て千理」

「ほう? それは面白そうな話だな?」


 自分達のことを心配してくれていた友人に感動してたのもつかの間、思わぬ爆弾を落とされた万理は慌てて千理の口を塞いだ。七瀬の目がきらりと光るのを見て思わずうげ、と声が出た。


「ふーん? そうかそうか。まああんまり邪魔しても悪いから俺はもう行くよ」


 これは次学校に行った時にとんでもない冷やかしをぶつけられると確信したものの、にやにやと去って行く七瀬に今から弁解したところでどうにもならない。万理は大きく溜め息を吐いて、おろおろと顔を青くしたり赤くしたりしている舞を見た。


「舞」

「万理君、ホントにごめんなさい」

「? いや何も謝ることは無いんだが。こっちに来て座ったらどうだ?」

「だってせっかく伊野神さんと二人で会うって聞いてたのにこれ以上邪魔するなんて」

「それは、勝手に会ったらまた舞が気になるかなと思って一応言っておいただけだよ。別に邪魔だなんて全く思わないからおいで」

「でも」

「そもそも既にもう一人いるんで全く気にしなくて大丈夫です」

「え?」


 千理の視線が宙に投げられる。万理はその視線の先を見て何もないのを確認して――そして、彼女の言葉の意図を理解した。


「桑原君もいるのか」

「え? 桑原君って」

「そういうことです。この人も勝手に着いてきたみたいなので針谷さんも気にせずどうぞ」

「そうだ、もう見つかってしまったんだから気にするな」

「愁は少しは申し訳なさそうな顔をしろ」


 テーブルに置かれていたフォークが誰も触れていないのに宙に浮かんだ。それを見て舞は「ひい」と小さく悲鳴を上げながら万理の上着を掴み、そして万理は興味深そうにまじまじとその現象を見つめた。

 そのフォークは千理の皿に置かれていたケーキを一切れ掬うとそれを彼女の口元に持って行く。


「愁、何してるの?」

「食べないのか」

「いや食べるけど」


 不思議そうに首を傾げた千理が宙に浮くフォークを手に取ってケーキを口に入れる。ちゃんと見えずとも本当に愁がいることを二人にアピールしたんだろうなと考えていると、何故か愁は「解せぬ」とばかりに不可解な表情になっていた。


「さっきは何も言わずともそのまま食べてたくせに」

「何の話?」


 愁の言葉を聞き返したものの、ふて腐れたような顔をして返事が返ってくることはなかった。


「ところで、私のことは話したけど天宮君はこの七年どうしてたの? 私一人先に逃げ出しちゃってたからその、家のこととか……」

「ああ、それはちっとも気にしなくていい。元々僕は家の方針は気に入らないものの経営者になること自体は嫌じゃなかったからね。僕も中学からは親が選んだとはいえ学校に通うことも出来るようになったし、それに……ね?」

「ね!」


 万理が隣に座った舞をちらりと見て意味深に微笑むと、すぐに千理がそれに同意して大きく頷いた。


「……万理君達って本当に七年も離ればなれだったの?」

「ああ、そうだけど」

「最後にまともに話したのがいつかって考えるともう十年ぐらいは疎遠になってたよね」

「うん。あの頃は辛かった。千理がいくら可愛くても冷たい態度を取らなくちゃいけなくて……勿論自分で決めたことだし千理の方が辛かったと思うけど」

「お兄様、私の為に無理をさせてごめんね。でも、おかげで今の私があるよ」

「そうだね。それに今の千理があるから僕達も助かったんだ。こっちこそありがとう」


 万理の方へ椅子を近付けた千理がそのまま彼に抱き付く。当然ながらそれを快く受け入れた万理は、いとおしそうに目を細めて妹の頭を撫でた。


「……桑原君、聞いてるか分からないけど」

「ああ」

「私はもう何かこの兄妹はこういうものなんだなって納得しちゃったよ」

「俺もだ。まあ全く思うところがないとは言わないが、それでも千理が幸せそうならそれが一番だ」


 目の前で大いにいちゃつく兄妹を眺めながら、二人は何とも言えない表情で小さく肩を竦めた。




    □ □ □  □ □ □




「病院内連続失踪事件」

「え?」


 舞がお手洗いに行き、愁が店内のインテリアを見回っていたその時、万理がふと思い出したようにその言葉を口にした。


「約半年毎に病院から患者が失踪し、その後の消息は一切掴めていない。だったね」

「うん、そうだけど」

「最後に事件があったのが五月、そこから新たな事件は起こっていない。お前が気がかりなのはその辺りだろう?」

「!」

「もう少し当てようか。また事件が起こってくれたら新しい手がかりが得られたかもしれないのに、とちょっと考えていたことに気付いて落ち込んだか?」

「……お兄様って、ホントになんでも分かっちゃうね」


 千理はもう感心すらせずに笑みを浮かべた。彼は何故そこまで分かるのだろうか。


「お前のことだからね。それに僕も、桑原君には元に戻ってもらわなければ困るんだ。そうしないとお前を任せられないからね。だから千理、僕も彼の捜索に協力しよう」

「え?」

「これでも次期社長内定済み、色んなところに伝手はある。半年以上意識の無い人間を誰にも見つからずに隠すにはそれなりの設備が必要だ。見つけられなかったとしても数多ある可能性のいくつかを潰すことは僕にもできる。任せてくれ」

「いいの?」

「ああ。僕はオカルトに詳しくはないからこうした情報提供しかできないが、少しでも千理の役に立てるように頑張るよ」

「ありがとうお兄様!……あ」

「いいよお兄様で。できる限り早く天宮を乗っ取ってその腐った風習も変えなければいけないからね。……あ、それとひとつ。千理、事件が無かったことで手がかり増えなくなったんじゃないよ。事件が無いってことは無くなった理由があるんだ。四人以上必要なかったのか、単に飽きたのか、それとも別の理由があるのか。一つ、考える手がかりが増えたんじゃないかな」

「!」

「僕から言えるのはそれくらいかな。それじゃあ舞も戻って来たことだし今日はそろそろ解散しようか。何かあればいつでも連絡をくれ」


 はっと顔を上げた千理の頭を撫でて万理が立ち上がる。戻って来た舞と一言二言話した万理は、さらっと伝票を持って会計の方へと歩いて行った。


「伊野神さん、今日はホントに邪魔してごめ」

「針谷さん、今後もお兄様のことよろしくお願いします! お姉様と呼べる日を楽しみにしてます!」

「えっ、はあ!?」

「お兄様ごめんご馳走様! 先行くね!」


 千理はばたばたと慌ただしく上着を羽織って鞄を持つと、万理達よりも早くカフェを飛び出した。その後を少し驚いた顔で愁が追いかけて来る。


「千理、どうした」

「色々調べなきゃいけないことがあるの! 愁!」

「なんだ?」

「私絶対に何が何でも愁の体見つけるからね! それまでに体に戻ったらやりたいこと考えておいて!」


 ふとした時に冷静になってもう流石に見つからないだろうと思う時もあった。だがそれももう終わりだ。もう一度改めて捜査資料を見返してみよう。まだ希望はある。

 だって愁はまだ生きているのだから。


「とりあえずやりたいことがある」

「え、なに?」

「お前を抱きしめて頭を撫でることだ」

「…………えっ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] ふぉう! 舞と愁のなんとも言えない気持ちが伝わってくる様で第三者目線だととても楽しいです! ラストの関係性が大きく進展してもおかしくないやり取りにテンション上がって今急に感想書いております…
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