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霊研の探偵さま  作者: とど
二章
26/74

11 子供だから

 愁は大丈夫だろうか。

 霊研のキッチンで使い終わったコーヒーカップを洗いながら、千理の脳内はそのことばかりに占められていた。


 先日キャンプ中に起こったとんでもない化け物との遭遇。愁はその際大怪我を負ってしまい、戻った後からずっと大人しく眠り続けていた。

 桑原愁は強い。けれどこの世の誰よりも強い訳ではない。愁自身も自身の強さを驕る訳ではなかったし千理もそう理解していた。……けれど実際に彼が大怪我を負ったのを見たら、そんな冷静なことを考えている余裕など全くなかった。


「櫟さん、愁は大丈夫なんですか」


 急いで帰った後すぐに櫟に愁を見てもらうと、彼はじっと愁を観察してから「大丈夫だよ」と千理を安心させるように微笑んだ。


「怪我は多いが深いものは少ない。特に命を削っているようには見えないね」

「霊体が怪我をした場合治るんですか」

「時間が経てば魂は自然と修復されていく。……ただ、今回は大丈夫だがこれ以上怪我が酷かった場合どうしようもない可能性もある」


 櫟は霊体の愁の胸に手を置く。何度も幽霊を成仏させて来たその手が触れたことで千理は僅かに反応した。


「修復不可能な程ばらばらにされた場合、自然に治せはしないし治療ができる訳でもない。それこそ神様でもない限り治せないよ」

「神様……」

「そしてそうなった場合……魂が壊れてしまえば当然体の方にも影響が出る。魂を失った体は朽ちるだけだ。つまり死ぬ」


 気を付けなければね、と肩に手を置かれた千理は黙って眠る愁を見つめることしかできなかった。




「……あれ、」


 カップを洗い終えて手を拭いていると、不意に事務所の方が騒がしくなった。声を聞く限り英二だということはすぐに分かったが、彼が騒がしくしているところなど見たことがない。


「英二、今の君の言葉は要領を得ないと思うんだが。言いたいことははっきりと言ってくれるかな」

「――だから、イリスを辞めさせろと言っているんだ!」

「!」


 扉に近付いたところで聞こえてきた会話に千理は驚いて動きを止めた。英二と話しているのは櫟だ。ドンと机か何かを叩く音が聞こえ、それに僅かにコガネの驚くような声も聞こえる。


「英二……少し落ち着いて下さい。櫟に当たっても仕方がありません」

「そもそもこいつが許可を出さなかったら良かったんだ。むしろ元凶だろ」

「元凶とは随分な言われようだね? 僕はただイリスの気持ちを尊重しただけさ」

「あいつがまだ十歳だと分かっててそんなことを言うのか!」


 微かに開いていた扉を音を立てないように少しだけ開く。ちらりと様子を窺ってみればやはり英二が櫟の机の前で彼に詰め寄っているようだった。怒鳴る英二とは裏腹に櫟は酷く平然と彼を見据えていて、傍にいるコガネはそんな二人をおろおろと窺っている。


「あいつはまだ子供だ。こんな危険な仕事をする必要も理由もない」

「年齢なんて関係あるかな。あの子は賢いよ。お前が思っている以上にちゃんと考えてる。そんなイリスが自分からやりたいと言ったんだ。僕たちが止める権利はあるかな」

「少なくともお前は霊研の所長だ。そんなのお前の一存で好きに決められる」

「その一存で僕はあの子を受け入れた。それだけのことじゃないか」


 櫟は足を組み直して、「そもそもなんだけど」と不思議そうな顔で首を傾げる。


「どうして今になってそんなこと言い始めたんだ? イリスが入る時だって大反対していたが最終的に黙ったじゃないか」

「……この前のキャンプ、随分とやばいのが出たらしいな」

「あれか? 或真が対処してくれたが……けどあれは仕事でも何でもないただのキャンプだよ。霊研は関係ないんじゃないかな」

「今回はプライベートで偶然だった。だがこの先、いやこれまでだってそうだ。仕事なら偶然では済まされなくなる。自らそんな危険に何度も飛び込まなくちゃならねえ。そんなの叔父として認める訳にはいかない」

「叔父として、ねえ」

「お前はイリスを買い被り過ぎだ。あれはただの小学生だぞ。判断だって甘い、大人が止めてやらなきゃならねえんだよ」


 千理の脳内に、以前警視庁を訪れた際に速水が零した言葉が過ぎった。彼は英二と同じで子供が、イリスどころか千理が霊研に居ることさえ気にしているようだった。

 千理から見てもイリスは子供だ。特殊な能力があろうとまだ小学生で、最初はこんな子供が所属しているなんて大丈夫かと心配になった。


「……それとも何か? それほどまでにあいつの能力を手放すのが惜しいってことか」

「イリスが居ようが居まいが霊研のやることは変わらないよ。まあ居た方が助かるというのは事実だけどね。あの子の広範囲調査能力は素晴らしい」

「櫟、お前」

「英二、君はイリスが子供だから危険に晒したくないと言っているが……僕は子供だからといって特別過保護になる理由はないと思ってる。子供も大人も命は平等だ。子供を守る為に大人が犠牲になるのが当然だという方がおかしいと思うね」

「何だと!」


 その瞬間英二が櫟に掴み掛かった。強く胸ぐらを掴まれた櫟は依然として涼しい顔しており、ただただ冷静に英二を見上げている。


「僕はただあの子を霊研の一員として、一人の人間として扱っているだけだ。子供だろうが関係ない。……ねえコガネ。黙っているけど君もあの時イリスに賛成したはずだろう」

「コガネ? どういうことだ」

「それは……」

「話はここまでにしようか」


 櫟がさらりと英二の手を外して立ち上がる。彼は悠々とした足取りで歩き出すと、そのままキッチンの方へと近付いて来た。


「イリスの保護者だと名乗るのなら、僕にいちゃもん付ける前にあの子とちゃんと話し合うべきだよ。――ねえ、千理もそう思わないかな?」

「え、ちょ」


 逃げる間もなく目の前の扉が開かれ、千理の姿が英二達にも見えるようになる。いきなり現れた彼女の姿に驚く英二とコガネの顔を見て、千理はとても居たたまれない気持ちになって思わず櫟を睨み付けた。


「まあそういう訳で予定通り今から三人で仕事よろしくね」


 三人に気まずさなど全く意に介さず櫟が微笑む。そのまま行った行ったと背中を押され、三人は呆気にとられている内にあっという間に霊研を追い出されてしまった。




「……まだ子供、ね。僕からしてみれば英二だって大して変わらないけど」


 そして追い出した本人である櫟は自分の席に戻ると背もたれに寄りかかりながら静かに目を閉じた。



「――イリスも英二もコガネも、年齢も種族も関係なく全員、僕が守るべき存在に変わりない」




    □ □ □  □ □ □




(……めちゃくちゃ空気がギスギスしてる)


 車のエンジン音だけが聞こえる車内。千理は後部座席で身を縮めながら沈黙に耐えて前方の二人を窺った。

 英二は黙って前を見てハンドルを握り、コガネは俯いて全く動かない。確かに今日は元々彼らと一緒に仕事をする予定だったが、それでも無理矢理送り出した櫟に抗議したい。


「悪かったな、色々と騒がしくして」


 早く目的地に着けとひたすら考えていたその時、不意に沈黙が破られた。千理がはっと顔を上げると、赤信号で車を止めた英二がちらりとこちらを見ているところだった。


「いえ、こっちも盗み聞きしてしまってすみませんでした」

「しょうがねえよ。俺だって霊研で誰かが言い争ってたら気になる」

「……イリスのこと、辞めさせたいんですよね」

「そりゃあそうだよ。こんな危ない仕事をさせたい保護者がいるか。……コガネ、お前が賛成してたのは初耳だがな」

「っ、」

「きちんと説明してもらおうか」


 不意打ちで話を振られたコガネがびくりと体を揺らす。コガネを見る英二は先程のように憤ってはいなかったが、しかしその視線の温度は低い。

 だがそれは千理も気になったことだ。てっきりコガネも英二と同じ意見だろうと思っていたのだが、まさか賛成していたとは。


「吐け。お前櫟のやつに何を吹き込んだ」

「別に、吹き込んだとかそういうことでは……ただ僕は、イリスの気持ちを無碍に出来なかっただけです」

「へえ? 俺の気持ちは平気で無碍にするくせに?」

「……イリスはあなたの役に立ちたいと言っていました」

「そんなの家事でもなんでも良いはずだ。なんでわざわざ霊研の仕事なんざ」

「英二。あの子は多分、覚えています」

「……は?」

「うわっ、」


 ギギ、といきなり急ブレーキが掛かり千理の体が前方に投げ出される。シートベルトで圧迫されて胸が苦しくなりながら、千理は顔を上げた。

 ブレーキを踏んだ英二の顔が驚愕に染まっている。しばらくコガネを凝視していた彼は、後ろの車からクラクションを鳴らされてようやく我に返り車を発進させた。


「……どういうことだ」

「僕も確証はありません。……が、ところどころ引っ掛かる部分があるのは事実です。英二の役に立ちたい……いえ、立たないといけない。そうしないと捨てられると、イリスが言っていました」

「馬鹿かあいつは、そんなの」

「ええ。僕も否定しましたが、あの子は聞く耳を持たなかった。それどころかあの子はこう言ったんですよ。『コガネだって同じことを考えてるくせに』と。確かに当時の僕は役立たずになれば人間界に居る意味なんてないと考えていました。いや、今も思っています」

「おい」

「だから僕にイリスを否定することは出来ませんでした。イリスの気持ちを否定するということは、自分の存在価値を否定することですから」

「……どいつもこいつも面倒な考え方しやがって。ちっとは俺の気持ちってやつを考えられねえのかよ」

「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。僕はともかく、イリスに対する態度については」

「ああ? 何だって!?」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 落ち着いて下さいって!」


 どんどん険悪な空気になっていく車内に堪らず千理が割り込んだ。空気が悪くなっていくのは分かるのに全く話が見えて来ない。千理が声を上げると、睨み合っていた二人がようやく彼女の存在を思い出して両者とも気まずそうに押し黙った。


「あの……聞いてもいいか分からないんですけど、ただどうしても気になることがあって」

「……何だよ、言ってみろ」

「『仕事の邪魔をしたらますます嫌われる』……少し前にイリスが言ってたんです。イリスは英二さんに嫌われていると思ってるみたいで、その言葉がずっと引っ掛かってたんです」

「……」

「だから言ったでしょう英二。イリスは覚えています。いえ覚えていなくても、ある程度は察していますよ」


 コガネが溜め息交じりにそう言うと、英二の表情が大いに歪んだ。千理はその様子を見ながら、どうやら彼らには随分と複雑な関係性がありそうだと脳内で考え始めた。

 英二とイリス、叔父と姪。そもそも、イリスが危険な仕事をすることに真っ先に反対しそうな人達の話題が一切出てこない。


「イリスの両親は、もしかして」

「……は、流石は探偵様は違うな」

「茶化さないで下さい」

「悪い。……兄貴と姉貴、イリスの親はお前の想像通りもうこの世には居ない」

「その死に、イリスが関わっている?」

「違えよ。あいつは何も悪くねえ」

「けどイリスはそう思っている。違いますか」

「……」


 捨てられることを恐れるということは、英二に捨てられたらもう他に居場所がないということだ。覚えている云々は恐らくその死の状況について。だからこそイリスは自分が英二に嫌われていると思い込んでいる。千理がそこまで告げると、コガネが酷く疲れたように肩を落として「千理に隠し事はできませんね」と諦めたように呟いた。


「歩きながら話しましょうか」


 ちょうど目的地に着き車が止まった。そこでちょうど話は途切れ、先程まで早く到着しろと思っていたのにタイミングが悪いと、千理はもどかしく思いながら素早く調査の準備を始めた。

 今回の仕事は惨殺死体が見つかった場所で悪魔が関係しているかの調査だ。事前に貰った資料によると付近の幽霊が悪魔を見たと証言しているらしい。ちなみにその幽霊から情報を得たのはイリスが使役する動物霊の一体である。


 人が寄りつかない郊外の廃墟。その中を懐中電灯片手に進みながら、千理は待ちきれずにコガネの顔を覗き込んだ。


「五年前、とある強力な怨霊が英二の兄の家を襲いました」


 コツコツと鳴る靴音をBGMにコガネが口を開いた。


「その怨霊は子供を失った母親の霊だったようで、当時から幽霊に好かれていたイリスが無理矢理連れて行かれそうになったんです」

「イリスが好かれるのって動物霊だけじゃないんですか」

「ええ。何でも関係なく引き寄せます。今は他の動物霊がイリスを守ってくれるので比較的平和ですが」

「それとあのウサギもだろ」

「ウサギって、あのイリスがいつも持ってる」

「あれに悪魔の力を僅かに込めています。強い霊には効果がありませんが、弱い霊ならばそれで大体近付こうとしません。動物達に関してはもう慣れてしまったようで効果はありませんが」

「どうして僅かなんですか?」

「あまり強くし過ぎると、それはそれで悪魔の力を求めて良くないものを引きつけてしまうんです。そういう輩はただの霊よりも余程厄介だ」


 あのウサギのぬいぐるみにそんな効果があったとは。


「僕達が駆けつけた時には、もう手遅れでした。イリスを守ろうとした両親は怨霊に殺され、連れて行かれそうになっていたイリスを抱えて必死に逃げました。……英二の足に後遺症が残ったのもその時の怪我が原因です」

「イリスは、それを覚えている」

「もしくは察しています。両親の死が自分の所為だと」


 足音が止まる。目の前には大量の血痕が床一面に広がっており、此処が事件現場であることは明白だ。遺体は運び出されているが、それでも漂う不快な匂いに気持ち悪さがこみ上げてくる。

 これは一人分の血ではない。資料によると此処で亡くなったのは三人、全員が暴力団組員だという。その三人の遺体は酷く損壊しており魔法陣が残されていたかは定かではない。また周囲にはドラム缶がいくつか置かれており、千理は脳内の資料と照らし合わせながら当時の状況を分析した。


「このドラム缶の中身……水酸化ナトリウムですか」

「どうやら此処は元々その暴力団の隠れ家だったらしいな」

「この転がってるドラム缶の所為で殆ど情報が見えて来ませんね」


 遺体に魔法陣があるか定かではなかったのはこの水酸化ナトリウムを浴びて皮膚が溶けている所為だ。おまけに発見されるまでかなりの時間が経っており、暑い季節だということもあって身元が確認出来ただけましというレベルである。


「鈴子さんに見てもらうのは……難しいですかね」

「多分2週間以上は経っているからな。それにあまりえげつないものを見せるのもあれだろ。……コガネ、悪魔の力の痕跡は?」

「こちらも魔法陣が無い以上なんとも言えませんね。付近で悪魔を見たという証言も、直接この事件に関与しているかどうか確証を得るに至りません」

「何も分からずか」

「その悪魔を見たという幽霊に話を聞くことは出来ないんですか?」

「話すだけ話して成仏したと」

「なんだか運が悪いで」


『あくま、アクマめえええ!』

「!?」

「コガネ!」


 調査が完全に行き詰まった矢先、突如コガネの目の前に黒い影が過ぎった。一体何だと千理が確認するよりずっと早く、その黒い影は咄嗟にコガネが作り出した障壁に阻まれて吹き飛んでしまう。


『アクマ、コロしてやる――』

「こいつ、資料にあったうちの一人か!」


 その黒い影は、よく見れば禍々しい黒い靄を纏った男の幽霊だった。此処で亡くなった一人である暴力団員と顔が一致している。彼は千理と英二には目もくれず、ただコガネだけを狙って手に持っているナイフを彼に突き刺そうとしていた。


「アクマ、アクマアクマアクマァァァ!!」

「っ、」

「コガネ!」

「大丈夫です! 大丈夫ですが……!」


 ナイフを障壁で防ぎ続けるコガネが苦々しい表情になる。この幽霊自体はちっとも強くなく、ナイフも最低限の力で防げてしまう。ただ問題なのは、こちらも逆に幽霊に対して攻撃できないということである。

 千理は論外、英二の拳銃は悪魔、そうでなくても物理的な相手にしか効果はない。幽霊に触れられるコガネだけが唯一対処可能だが――。


「コガネ! いいから攻撃するな!」

「ですが――」

「お前は守るだけだと言ったはずだ! 一旦逃げるぞ!」


 本人の気質でどうしても攻撃を躊躇うコガネに英二が叫ぶ。自分だけが攻撃可能なのだと焦るコガネを止め、英二は彼の腕を掴んで急ぎ廃墟から撤退し始めた。


「千理! 着いて来てるか!」

「大丈夫です!」

「……」


 英二に引き摺られる形で走るコガネが何度も後ろを振り返る。依然としてコガネばかりを付け狙うナイフを防ぎながら廃墟を飛び出すと、場所に縛られているのかそれ以上霊が追って来ることはなかった。

 ようやく足を止めた千理が体力の限界を感じてその場に座り込んだ。


「はあっ、はあ……」

「千理、お前チョコばっかり食ってねえでもうちょい体力つけろ」

「分かってますよ……チョコは食べますけど」

「英二……」

「コガネ、櫟の野郎に此処の霊について連絡しとけ。俺だとまた口論になりかねん」

「それは構いませんが……すみません、いつもいつも」

「別にいいっつってんだろうが」

「ですが」

「ああ?」

「……英二の足のことがなければ、イリスも余計な罪悪感を背負わなくて良かったんじゃないかと」


 コガネは視線を下げて英二の右足を見る。平気そうな顔をしているが走った後ならばかなりの激痛を感じていてもおかしくない。これもコガネの罪で、そしてイリスが感じている罪だ。

 英二は黙ってコガネの言葉を聞いていた。卑屈なコガネに苛立つことも叱ることもなく、静かに自分の右足を見下ろしている。そんな英二を千理は少し意外そうな顔で見ていた。


「……だからこそ、だろ」

「!」

「戻るぞ。それでさっさとあれを完成させる。過去を悔やむのはそれからだ」


 ふらつきながら歩き出した英二をコガネと千理が支える。車まで戻りながら、千理は足の痛みで脂汗を流す英二を見上げた。


「英二さん、あれっていうのは」

「……五年前俺が後遺症を負ったのは、悪霊に対して何も対処するすべが無かったからだ。そして今日みたいに突発的に幽霊との戦闘になる場合もある。だからその時どう対処するべきか考えて、そして今それを研究している真っ最中だ」


 今、英二達の考え得る最良の一手。調査室も巻き込んで、キャンプも取り止めて今作っている物。




「対霊特効弾。――コガネの悪魔としての力を使って作る特別な銃弾だ」


 それが、もうコガネもイリスも苦しまずに済む為のとっておきの秘策だった。


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