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霊研の探偵さま  作者: とど
一章
14/74

6 チョコレートホリック


 がやがやと騒がしい駅構内にある店通り。あらゆるジャンルのテナントが入っているその一角では、本日開店したばかりのチョコレート専門店の前で多くの人間が列を作っていた。


「買えた……!」


 開店時間の十時から十五分後、大量の袋を両手に持って店の外に出て来た小柄な眼鏡の少女――千理は充足感と感動と興奮と……様々な感情を溢れさせながら急ぎ足で一番近くにあるベンチへと腰掛けた。

 千理は急ぎ袋を漁ってその中から一つの箱を取り出す。包装紙を慌てながらも綺麗に剥がし、包まれていた箱の蓋を開けてみればそこには丁寧に敷き詰められた生チョコが彼女を待ち構えていた。千理の視界ではエフェクトが掛かったようにきらきらしているようにすら見える。

 震える手で恐る恐る付属のピックをチョコレートに差して口に運ぶ。緊張と期待でごくりと唾を飲み込んだ彼女はそっとそれを口の中に入れ――そして数秒間静止した。


「……」


 味わって味わって、ゆっくりと飲み込む。あらゆる想いで頭の中を埋め尽くしながら、しかし逆に思考は停止して何も考えられない。一分ほどしてからようやく動きを再開させた千理は再びチョコレートを口の中に入れ……また同じ感動に打ち震えた。


「……あの、大丈夫ですか」

「え?」


 無心になってチョコレートを食べていると、不意に彼女に心配そうな声が掛かった。我に返って顔を上げるとそこには駅員の男性が立っており、千理は一体何の用だろうかと首を傾げる。


「大丈夫って何が……?」

「は? いや……泣いてますけど」

「ん? あれ??」


 咄嗟に目元に手をやると、全く気が付かないうちに彼女の目から大粒の涙が零れていた。両目からだらだらと溢れた涙は首元まで濡らしており、ようやくそれに気付いた千理は慌ててハンカチを取り出して拭い始めた。


「すみません何でもないです!」

「そうですか? 気分が優れないのではれば医務室に案内しますが」

「本当に大丈夫です、あの、あれです……花粉症です多分」

「この時期に……?」

「私はイネ科とかそういうタイプなので!」


 まもなく夏休みに突入する時期なのだが、実際にこの時期でも花粉症の症状がある人はいる。……まあ千理はというと毎年苦しんでいる親友とは裏腹に全く花粉症でもなんでもないのだが。

 適当に誤魔化して駅員が去ったのを見ると千理はほっと息を吐いた。ベンチに座ってチョコを食べながら黙って号泣していたら確かに不審過ぎて声を掛けるだろう。気を付けなければ。

 しかしどうしても急いで食べなければならなかったのだ。千理はしっかりと涙を拭った後残ったチョコレートを袋の中に戻して立ち上がった。寝不足でくらくらする頭を押さえながら、彼女は駅の外に出て改めて両手に持つ袋を見て口元をにやけさせた。


「おいし、かった……!」




    □ □ □  □ □ □




「あー……喉渇いた」

「じゃあコーヒーでも淹れましょうか?」

「いえ、気にしないで下さい! むしろ俺が淹れますから!」

「そう? でも英二君にはいつもやってもらってる気がするし」

「それはそうですが」

「ふっ、ははは! ならば久方振りに私が振る舞おうではないか。最高のコーヒーを楽しみにしてくれたまえ!」


 その日霊研に居たのは三人。英二、鈴子、そして或真だった。今日は大きな依頼はなく、櫟とコガネは警視庁へ次の依頼の打ち合わせに、他の面子は休みだ。英二は報告書を書きに来ているが、鈴子と或真は編み物をしたり課題を片付けたりと好きに過ごしている。

 いつも通り派手にコートを翻して立ち上がった或真がキッチンの方へ向かうのを視線で見送りながら、英二は一つ欠伸をしてパソコン――ではなくテレビに向き直った。少し休憩だ、一人だけ仕事をしていると集中力に掛ける。


 付けっぱなしになっていたテレビからは午後のワイドショーが流れており、右上には『大手老舗和菓子店から新店舗!』とテロップが書かれていた。


「――今日は先週お伝えした老舗和菓子店『天宮あまみや』の新店舗、なんと和菓子店から全くの方向性を変えたチョコレート専門店の情報をいち早くお伝えしたいと思います」

「天宮グループは和菓子店から始まり今や様々な業界に進出していますが、今度はなんとチョコレートです! どんな商品があるか楽しみですね!」

「それでは早速お店の中に入ってみましょうか」


 二人のタレントが笑顔を振りまいて店の中へと入っていくのが映る。店は和風洋風が上手く組み合わされた建築がされており、看板には“Amamiya”と洒落た金色の文字が浮かんでいる。


「天宮……ああ、そういやそんな名前の飯屋あったな。和食専門店の」

「私も昔夫と一緒に行ったことがあったわね。……ああ、そういえば千理ちゃんが前にこの店のことを――」

「こんにちは! お邪魔します!!」


 壊れそうな程に勢いよく扉が開かれて大きな声が飛び込んで来たのはその時だった。反射的に英二と鈴子の視線が――鈴子は目を閉じているが――そちらに向き、奥に行っていた或真も「襲撃か!?」と妙に喜々とした表情で顔を出した。


「差入れ持ってきましたよ!」

「邪魔をする」

「って何だお前らか」

「千理ちゃん、今日は何だか元気が良いわねぇ」

「千理に愁か! ちょうどいい、今私が特製コーヒーを淹れているところだ。存分に味わって行くといい!」

「そうなんですね! お願いします!」

「……千理も或真もうるせえな。もう少し静かに喋れ」

「私はいつもこうだろう? 気にしないでくれ」

「すみません今日は無理です! 諦めて下さい!」

「いつもより騒音が二倍になってやがる……」


 英二が大きく溜め息を吐いて頭を抱える。或真は通常運転だが煩いものは煩いし、千理に至っては本当にどうしたのかと尋ねたくなるほどハイテンションだ。彼はちらりと千理の隣で彼女とは真逆でいつも通りの愁を窺った。


「愁、こいつ今日はどうした」

「たまにこうなるんだ。気にしないでくれ」

「たまになるのか……?」

「ああ。今日みたいに新しいチョコレートを買った日なんかは」

「そう! チョコレートの差入れなんですよ!!」


 愁の言葉を遮って千理は手に持った大きな袋を机の上に置いた。そこから次々と小箱を取り出して机の上に並べ始めた千理を眺めていると、ふとその袋につい今し方テレビで見たロゴが印字されていることに気付く。

 英二が改めてテレビを見れば、先程の二人のタレントがチョコレートの箱を手にして紹介しているところだった。


「千理ちゃん、Amamiyaのチョコレート買って来たの?」

「そうなんですよ! 今日開店で!」

「ちょうど今テレビでやってるぞ」


 千理の傍までやって来た鈴子の手が机に触れ、情報を読み取る。それにとても良い笑顔で大きく頷いた千理だったが、不意に英二の視線の先を追った彼女はそこに映されていた映像を見て途端にその満面の笑みを曇らせた。


「この人達……」


 いや曇らせたどころではない。まるで親の仇でも見たかのようにぎりぎりと歯を噛み締めてテレビを睨み始めたのである。


「私の敵……!」

「敵?」

「一昨日のロケで私よりも早く此処のチョコレート食べた許せない人達!!」

「は?」

「いや宣伝の為に仕方が無いことは分かっているんです。でも分かっていても許容できるかどうかは別問題なんです。この店の看板商品は店名が付いた生チョコなんですけど、もうとんでもなく美味しいんですよ。シンプルだけど全く隙が無い。とろける口溶けとべたべたと後に残らない喉越し感、甘いけど甘すぎず、何個食べてもクドくない至高の一品。何もかも私好みの、もう完全に私の為に作られたと言っても過言ではないそれ」

「いや過言だ落ち着け」

「だというのに私よりも先に食べて、しかも尺の関係上仕方が無いかもしれないけどろくに味わうことなく飲み込んでただ『美味しいですね』って! 美味しいのは十年前から分かってるの! 私より先に食べるんならせめてもっと真剣に食べろ! ……客で一番に食べたのは私だけど、それでもやっぱり許しがたい」

「なんだこいつ」


 いきなり早口で捲し立てられて英二は大量に脳内で突っ込みを入れたが最終的にその一言に集約された。ホントに何なんだこいつはと困惑しながら鈴子を見るが、彼女は「本当にチョコが好きなのね」とのほほんと頷いているだけだ。

 思わず彼は助けを求めるように再度愁を見上げた。


「愁、こいつのこと何とかしろ」

「何故だ? 千理が元気なのは良いことだ」

「おい」


 英二は思わず真顔になった。味方がいない。どいつもこいつもなんで今日の千理に突っ込みを入れないのか。鈴子は相変わらずだし愁は千理全肯定で、キッチンから或真が戻って来たところで役に立つとは思えない。

 コガネ、いやイリスや櫟でもいいから誰か来てくれとがっくりと肩を落としていると、不意に愁が千理を見ながら僅かに首を傾げた。


「だが確かに今日はいつにも増して勢いがすごいな。熱でもあるのか?」


 愁が暴れる千理の額に手をやるが勿論すり抜けてしまう。それに若干のもどかしさを感じていた愁だったが、ふとテレビから聞こえてきた声に気を取られてそちらを振り向いた。どうやら店のスタッフにインタビューしているところのようだ。


「さて、本日は開店当日ですがいかがですか?」

「はい。おかげさまで開店前から既に沢山のお客様に並んで頂いて……一番にいらっしゃった方は何でも昨日の夜から並んでいたとか」

「なるほど~大人気ですね!」


「おい、千理」

「……」


 無表情の中に険しさを混ぜた愁が千理を見ると、彼女は途端に騒ぐのを止めて罰の悪い顔でそっぽを向いた。しかし彼は逃がさないとばかりにわざわざそちらへ回り込み、少し怒ったような低い声を出す。


「一番目、お前だろう」

「……」

「昨日の夜から並んだ? どういうことだ」

「……どうも何も、その通りだから」

「開き直るな。夜中に一人で出歩いて何かあったらどうするんだ」

「で、でも駅の中だし! 実際何とも無かったし」

「結果論だ」

「だってどうしても一番が良かったんだもん! 絶対に他の人に先を越されたくなくて!」

「ならば何故俺を連れていかなかった」

「それは……」

「体がある時ならともかく、今の俺ならどんな時間でも好きに動ける。もしお前に危険が迫っても、ある程度は対処できる」


 愁は『別に一番に拘らなくてもいいだろう』とは言わない。彼女がそうしたいのならそれなりの理由があり、それに伴うリスク等も天秤に掛けた上で決行したのだろうから。

 だがそうするのであれば事前に言って欲しかった。愁が諭すようにそう言うと千理は少々言い淀んだ後に「迷惑掛けたくなかったし……」と言い訳のように呟いた。

 ふう、と分かりやすく愁が溜め息を吐く。


「迷惑よりも心配を掛けさせるな。そもそも迷惑でもないが」

「だって夜中に一緒に出掛けろって普通に迷惑じゃん。しかも店の前に並ぶだけだし」

「友人と夜中にこっそり出掛けるのが楽しくないって?」

「……」

「楽しくないか?」

「楽しそう……」

「そら見ろ」


「いやそら見ろじゃねーよ論点ずれてんだろうが」

「ははは、君達は本当に仲が良いな! 私はこの強大な力ゆえあまり他人を近付けられないのでな、少し羨ましいくらいだ」


 二人のやりとりに堪えきれずに英二が突っ込みを入れていると、そうこうしているうちに或真が人数分のコーヒーを手に戻って来る。


「私が淹れた特別なコーヒーだ。とくと味わうといい」

「……何か変なもの入れてませんよね?」

「安心したまえ。ちょっと深淵を覗き込むかもしれないだけだ」

「え」

「大丈夫よ。とっても美味しいから」


 愁に怒られて少々落ち着いていた千理が或真のコーヒーを警戒するが、そんな彼女を安心させるように鈴子が笑ってコーヒーを飲んで見せた。……彼女の美味しいはあまり信用ならないんだよなと余計に不安になって来るが、英二も躊躇いなくカップを手に取った為千理も恐る恐るコーヒーを口に運んだ。


「……ん? 意外と、美味しい? ような?」

「なんつーか独特なんだよな。別に不味くはないが」

「不味いよりも逆にちょっと不安になるんですけど……まあいいや、とにかくコーヒーのお供にはチョコレートですよね!」


 微妙な空気になりかけたのを振り切るように、千理は気を取り直して机の上に置いたチョコレートを次々と開封し始めた。

 生チョコの他にも様々な形、種類のチョコレートが次々と姿を現す。どれもこれも千理の目にはまるで宝石のように見えて来る。むしろ彼女は宝石よりもチョコレートの方が好きだが。


「という訳でお裾分けです! どうぞ召し上がれ!」

「ふふ、では私はこのケルベロスの如く漆黒のチョコレートを頂こうか」

「それにしても随分と買ったのねえ」

「元々天宮ブランドは結構お高めの値段設定なんですけど、今回の店は学生でもちょっと贅沢したいなって思って買えるくらいに押さえられるんですよ。でも流石に全種類は買えなかった……全部初日に食べたかった」

「太るぞ女子高生」

「カロリーが怖くて女子高生やってられないんですよ。それに今回は特別ですから」

「特別?」

「色々あるんです。ほら、英二さんもどうぞ」

「いや、悪いが俺は甘い物は受け付けねえんだ」

「は? 人生損してませんか?」

「……してるかもなァ」

「じゃあ私残ったの食べちゃいますよ? 今日思ったより人居ませんし、全部食べますけどいいですか!? 頂きます!」

「良いも何もお前が買って来たんだろうが……ん?」


 話に付き合うのに疲れて適当に返事をしていた英二がコーヒーを口に運んでいたその時、櫟の机に設置されている固定電話の音が鳴った。真っ先に立ち上がったのは鈴子で、彼女は受話器を取って耳に当てると、何度か相槌を打った後に「すぐに向かいますね」と言って電話を切る。


「仕事よ。何でも人が呪い殺されたらしいわ」




    □ □ □  □ □ □




「――ああ、まずは関係者の聴取と現場保存を」

「こんにちは! お邪魔します!」


 殺人事件が起きたと一報を受けてすぐに現場へ駆けつけた若葉が部下に指示を出し始めたその時、突如玄関から堂々と入って来た人間を見て彼は目を丸くした。


「……は? 伊野神千理!? 貴様また懲りずに俺の邪魔をしに来たのか!?」

「あっ、どうも若葉刑事! お仕事ご苦労様です!」

「出て行け! これは貴様らが関わるような事件じゃない!」

「悪いがこっちに依頼が入ってな。人形に呪い殺されたとかなんとか」

「はっ、何の心配もいらないぞ。呪いなどこの外村或真の邪眼が一瞬で蹴散らして進ぜよう」

「……なんだこの訳の分からんやつは」


 真っ先に目に入った千理に食ってかかろうとした若葉だったが、それよりも目と耳を引く男――或真に虚を突かれて一瞬たじろいだ。

 その一瞬で、千理は部屋の外から殺害現場を一瞥する。そこに転がっていた呪いの人形らしきビクスドールと周囲の人間を窺った後、「確かに私達が来るような事件じゃなかったですね!」と大きく頷いた。


「若葉刑事、犯人そこの女性ですよ!」

「は!?」

「被害者を殺害後に密室にして人形に罪を着せたみたいですね! 大丈夫ですよそのトリックも分かりますし今彼女を調べれば部屋の……クローゼット? 引き出し? 引き出しですね。多分二重底になってるタイプだ。から証拠が見つかるかと」


 千理が犯人だと示した女性の表情を観察しながらそこまで言うと、若葉は一瞬呆けた表情を浮かべた後にわなわなと体を震わせた。


「な……に、適当なことを言っている! まだ何も調べていないのにそんなこと」

「大丈夫です! 今日の私無敵ですから!」

「意味の分からないことを」

「確認して頂ければ分かりますって! ほらほらこの人の部屋に行きましょうよ!」

「何だお前、腕を掴むな! 今日は何なんだこいつ!」

「刑事さん、ごめんなさいね。千理ちゃん今日ちょっと機嫌がいいみたいで」

「ご機嫌だとこうなるのか!?」

「悪いな刑事さん」

「彼女の頭脳は本物だ、言うことを聞いて損はないぞ?」

「済まないが付き合ってやってくれ」


 口々に、愁に至っては聞こえてすらいないが若葉に声を掛ける。非常に苛々した様子の若葉だったが無視した方が面倒になると理解し、どちらにしろこの家は調べるのだからと諦めた様子で足を動かし始めた。




 結果的に、即座に件の女性は逮捕された訳なのだが……当たり前だが若葉は怒り心頭、にこにこしたハイテンションの千理に「覚えていろよ!」と捨て台詞を吐いて彼女達を現場から追い出した。


「……ふむ。あらゆる意味で今日の千理は凄まじいな」

「糖分を摂取したおかげで思考が捗ったのかもしれないな」

「やっぱチョコレートは神ってことですね……」

「いい加減こいつを黙らせ……って、おい!」


 現場の家を出て車を停めた有料駐車場へ向かおうとしたその時、今までずっと楽しそうに笑っていた千理がぐらりと体をよろめかせてそのまま道路にぶっ倒れた。


「千理!?」

「おい待てこいつめちゃくちゃ体温高いぞ」

「顔真っ赤ね。風邪かしら」


 倒れた千理を英二が抱き起こすが、体に触れてその体温の高さに驚く。おまけに殆ど意識はなく、目も開けないまま何かうわごとをぶつぶつと呟いてすぐにがくりと頭を落とした。


「……大暴れしてたのはこれが原因か」


 基本的に理性的理論的である千理があれほど攪乱していたのはおかしいと思ったのだと、英二は彼女を背負いながら僅かに安堵した。人間訳の分からないものは怖い。逆に理由さえ分かれば今日の彼女の豹変っぷりも受け入れられるものである。



「……やく、そく」

「ん? 誰かなんか言ったか?」

「いや、千理だ」


 車に辿り着く直前、ふと小さな声が耳に入って来た。愁がそれに気付いて千理の顔を覗き込むと、彼女は眠ったままとてもとても幸せそうな表情を浮かべており、愁は思わずそれを凝視した。千理のこんな表情は彼でも初めて見る。




「――、ま……チョコ、あり、が……」


「……その、数日前は大変ご迷惑をお掛けしたようで。何か若干の風邪気味と霊研に行く前にお酒入りのチョコレート食べすぎた所為であんな感じに」

「だろうと思ったぞ。流石におかしすぎたからな」

「あああ……若葉刑事にもう会いたくない。何やってんの私……正直殆ど覚えて無いけど」

「すげえ一瞬で事件解決してたぞ。あいつ滅茶苦茶悔しそうな顔してた」

「言わないで下さいよ……」

「まああの日は最初から色々やばかったがな。自分より先にあの店のチョコレート食べたやつは敵だとか、そもそもあれは自分の為に作られただの何だの」

「は? それは普通に純然たる事実ですけど」

「ん?」

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