エピソード0:満月の帰り道
9月も中旬に入り、秋空をとても綺麗な満月が照らしている。
今日は中秋の名月、世間ではこの月を観ながら団子を食べている頃。
月の模様でうさぎが「餅つき」しているとよく喩えられているが、この喩えは国によって異なるらしい。
この綺麗な月を観ていると、ふと夏目漱石が「i love you 」を「月が綺麗ですね」と訳したというエピソードを思い出した。
こんな綺麗な月を眺めていると、なぜ夏目漱石が「i love you」を「月が綺麗ですね」と訳したか、僕にも分かるような気がした。
ふたりが"月"という美しい対象物を眺めながら“美しさ”をともに感じ、心を通わすことができれば、そこに愛は確認できる。
「月が、綺麗…ですね…」
ベンチに座りながらつい口からこの言葉が漏れ出てしまった。
…………
「そうですね。」
隣のベンチから透き通るような声がした。
隣に目を向けると、そこには僕と同じ高校生くらいの少女が座っていた。
ふと我にかえる。
まさかの出来事だ。こんな展開ドラマでしか観たことがない。
そんなことを考えていると、少女はまた口を開いた。
「私、あの月からこの地球に来たんです」
訂正しよう、こんな展開ドラマでも観たことがない。
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これが君と僕の初めての出会いだった。
読んでくださった方ありがとうございました。
評価、ブクマ等もよかったら。
次話もぜひぜひよろしくお願い致します。




