いざ、竜宮城へ
「条件とは…?」
3人は恐る恐る、おじいさんに聞いた。
「なに、そんな怯えんでもええ。かつてワシの愛したあの乙姫に、会いたいのじゃ。」
乙姫に会いたい?
と言うことはおじいさんも一緒に竜宮城へと行くということか。
それはいいのだが、秘薬をもらったはずのおじいさんが一緒にいけるのだろうか
「俺たちは構いませんが、竜宮城へは行けないのではないのですか?」
「行けない。というのは実際には違うんじゃ。行ってしまったら秘薬の効果は消える」
「ワシはもう十分長生きさせてもろうた。今更この命が尽きようともう満足なんじゃよ」
つまり、おじいさんは死にに行く。
自らの墓場へと足を運ぼうと言うのだ。
しかし、俺たちが断れるわけがない。
なぜなら、おじいさんの願いを聞き届けなければ竜宮城への道は閉ざされるからだ。
「わかりました。その願い、聞き届けます。」
俺は金太郎、浦島と顔を見合わせて頷いた。
「ありがとうよ。1人ではどうも合わせる顔がなくての。今日は家に泊まりなさい。明日にでも出発しよう。」
こうして、俺たち3人はおじいさんの家に一泊することになった。
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家に着いてみると、そこには大きな水槽の中を泳いでいるとてつもない大きさの亀がいた。
「こんにちわ、皆さん。このおじいさんが客人を連れてくるということは、ついにその時が来たのですね」
亀は簡単に喋った。
熊の大吉が喋るのを経験してる俺と金太郎は驚かなかったが、動物が喋ることが初体験な浦島は腰を抜かして驚いていた。
「な、なんで2人とも冷静なんですか!?動物が喋っているのですよ!?」
「なんでったって、、、慣れちまってるからな」
「そ、そんなことに慣れないでください!!」
しばらくは賑やかな団らんが続いた。
しかし、おじいさんはニコニコ笑いながらもどこか悲しそうな顔を浮かべていた。
そうして、夜はふけ、朝を迎えた。
「さあ、行くかの。ここから先はワシもかつての竜宮城が待っているとは思えん。気をつけるんじゃぞ。」
そうだった。
鬼が蔓延るこの世界。
血の色に染まった海。明らかになにかが竜宮城で起きている。
俺たちはそれを確かめに行く。そしてそれを解決しに向かうのだ。
そこに困難が待ち受けていようとも。
「皆さま、よろしいですね?では、背中にお乗りください。私の背中に乗れば水竜の加護が働くので水中でも息ができますので安心してください」
そう亀が言った。
少し安心した。そこだけがネックだったが、この世にはそう言うものがあるのか。
「では、飛ばします。」
そう言い、俺たち4人は血の水の中へと入っていった。
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海は表面上から見ると血の色で水の中が見えなかったが、中に入ってみると水中がなぜかよく見えた。
しかし、その現状はあまり良いものではなかった。
海類生物が大量に死体となっている。
普通は死体は水上に浮いてくるはずだが、この水のせいだろうか?
水中を永遠と漂っている。
そんな現状を目の当たりにし、4人の誰も言葉を発さなかった。
海に入り、30分くらいは経っただろうか?
底の方へと泳いでいく。
不思議と息はできている。これが加護か。
そんな時、亀が言葉を発した。
「見えました。あれが竜宮城です。」
そこには驚くほど大きな巻貝の城があった。
その周りに光る塔のようなものが建っており、いかにも城下町というイメージだった。
大きさ的には海老街となんら変わりない。
これほどまでに巨大都市が海底にあるなんて、誰も信じないだろうな。
そうして、竜宮城が見えてから3分ほどで城門へとたどり着いた。
城門には門番が2人立っていた。
彼らは竜宮城に住む水竜人。
そうおじいさんから話は伺っていた。
「何者だ。今竜宮城は閉鎖している。許可なく入ることはでき…!?」
「貴方様は、、!乙姫様のかつての使者とされていた雲亀様でございますか!?」
どうやら、俺たちが乗ってきた亀は有名人、、いな有名亀だったらしい。




