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異世界転生鬼退治  作者: ぽむりんご
竜宮城編
8/45

昔々、おじいさんは。

浦島から落ち着いて話を聞くことになった。

浦島はこの海老街に住むただの漁師らしい。

だが2年前に亀を助け、この海の底にある竜宮城へと行ったのだと言う。

まあここまではよくあるあの童話と一緒だな。

しかし浦島は玉手箱と言うものは受け取っていないらしく、それからも頻繁に竜宮城へと足を運ぶようになったそうだ。

竜宮城には乙姫という海の巫女がいるらしく、浦島はその巫女と仲良くなっていった。

しかし、鬼王が現れてから、竜宮城へと運んでくれるはずの亀が現れず、次第に海は血の色へと変化したのだと言う。

浦島は竜宮城のみんなと乙姫が心配でどうしようもなかった。

そんなところに俺と金太郎が現れたのだ。


「どうかお願いです。僕はあの竜宮城の皆さんが無事かどうか、それだけが心配で…」


「でもよ、その竜宮城へと運んでくれる亀とやらはいねえんだろ?どうやって竜宮城へ行くんだ?」


「あんたら。竜宮城へ行きたいんかね。」


俺でも浦島でも金太郎でもない声が突然後ろから聞こえた。

慌てて俺ら3人は後ろを振り返る。

そこに立っていたのは年老いた80歳過ぎの老人だった。


「おじいさん、竜宮城のことを知っているのですか?」


俺は疑いながらもそのおじいさんに尋ねた。


「知ってるも何も、ワシは昔竜宮城に行ったことがあるんじゃ。」


3人は顔を見合わせて驚いた。


「おじいさん、その話、詳しく教えてください。」

.

.

.

昔々、それは勇気のある少年がいた。

少年は街を守るため、見回りの日々。

少年がいつものように海へ行くと、そこには弱りきった亀と女の子が倒れていた。

少年は駆け寄り、亀と少女の生死を確認した。

大丈夫。2人とも生きている。

少年は亀と少女を連れ帰り、看病した。

やがて、少女は目を覚まし、亀は自由に動けるまで回復した。

少女の名は「乙姫」とそう言った。

少女は自分は竜宮城から来たと、海の底の街から来たとそう言った。

にわかには信じられなかったが、お礼に街へ来て欲しいと言われ、少年はついて行った。

ついてみると驚くことにそこは海底の街。

空気もあり、息もできる。

美味しいご馳走に、綺麗な街、人々。

少年は感動し、何回もそこへ通うようになった。

しかし、少年の命は実は長くはなかった。

病魔に襲われていたのだ。

乙姫はそのことを知り、ある秘薬を授けた。

長く生きられる代わりに、もうここには来れないと。そう言う約束で。

少女と少年は別れを惜しんだが、命には変えられなかった。

それ以来、少女と会うことはなく、また少年も長く生きた。

.

.

.

「まあ、ここまでがワシの知ってる話じゃな。」


「その少年が、おじいさんなんですね。」


「うむ、いかにも。そしてその時助けた亀はワシの家におる。こちらに残りたいと言ってな。」


「つまり、その亀がいれば…」


竜宮城へと辿り着ける。

3人は顔を見合わせて喜んだ。


「亀はお主らに預けよう。しかし、一つ条件がある。」


ごくりと、唾を飲んだ。

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