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異世界転生鬼退治  作者: ぽむりんご
氷の女王編
42/45

雪と交えて

「私の名前をまだ言ってなかった。私は幸というの。あなたは?」


「俺は桃太郎だ。かぐやという女性と旅をしてたんだが、吹雪で逸れてしまった。かぐやも着物を着ているが、見てないか?」


「残念ながら見てないわね。しかも吹雪が凄かったのはあなたが倒れていた場所だけ。姉のせいでしょうね」


姉のせい?

そうだ、雪山に女の子が一人の時点で少しおかしい。

そのことを聞きたいんだったと思い出す。


「幸さんのお姉さんはなぜこんな雪山に一人で?」


「そうね、そのことを話さなくちゃ」


幸は、姉のことを詳しく語り始めた。

幸と千代は両親を早くに亡くし、2人で小さな民家に暮らしていた。

しかし、やはり2人で暮らしていくとなると食料やその他物資が枯渇する。

定期的にこの山の先の街へ買い出しに出かけていた。

しかしある時、山を抜けようとすると猛吹雪に襲われ、幸と千代は逸れてしまったそうだ。

まるで俺とかぐやの時のように。

幸は必死に千代を探したが、見つからず、吹雪の中で遭難してしまった。

寒さに震えながら、必死にどこか休める場所を探していた時に崖から転落し、片足を失ってしまったのだ。

それから自分で義足を作り、食料は狩りでなんとか繋いだそうだ。


「で、なんで俺を襲った?やつが姉だと思ったんだ?」


「姉はね。"雪女"になったのよ」


雪女?

昔話なんかでよく出てくる妖怪の類じゃないのか?

だが、いろいろな童話の人物が出てくる中で、海外の童話まで出てきたんだ。

それくらいあり得る話か…。


「このもう吹雪も姉のせい。姉を探して雪山で再会した時にはもう姉は姉じゃなくなってた」


「でも!必ず元に戻す方法があるとおもうの!優しい姉に戻って欲しい。だから協力して…」


幸さんがこんなに必死だったのはそう言うわけがあったからか。

たった一人の肉親…。

気持ちは痛いほど分かる。


「分かった。俺もかぐやを探したい。優しいお姉さんに戻ってもらおう。」


「ありがとう…感謝するわ」


そうして俺と幸は雪山を探索することにした。

.

.

.


雪女は吹雪を操る。

つまりこの雪山は彼女のテリトリーだ。

だが、俺を殺すつもりなら倒れていた時にいくらでもできたはずだ…。

本当の狙いは一体…。


「なあ、幸さん。お姉さんを探すならどうするべきだと思うんだ?こんな広い雪山をあてもなく探すわけにはいかないだろ?」


「確かにそうね。でも、姉が現れるところには規則性がある。私が行くところの先で必ず姉は現れる」


「もうすぐ…よ」


幸さんの行くところに…。

姉妹の絆とでも言うべきか?

ならまだお姉さんの意識は完全には染まりきっていないのか?

不確定要素が多すぎる。

とにかく、出会わなければ何もわからない。


吹雪が強くなってきた。


「くるわ」


たったその一言、その一言が耳に入った瞬間にもう吹雪が目の前を白く覆った。


「な、なんだ!?」


咄嗟のことに体制を崩すが、すぐに視界を探す。

幸さんはいるか!?


「気をつけて!!」


そんな声が吹雪の向こうから聞こえる。


「ふふふふ、ははははははは!!!」


目の前に現れるのは宙に浮いた白い着物を着た高身の女性。

大きな高笑いとともに現れ、すぐに姿を消す。

一瞬だったが、確実に昔見た雪女にそっくりだった。


すぐに刀を抜く。


しかし、臨戦体制はすぐに砕ける。

吹雪が足元をすくう。


「すぐにここから出ていけ!!」


雪が至る所にあるせいで、思ったように動けない。


「こっち!」


幸さんが手を引いてそこから救い出された。

幸さんの周りには猛吹雪はなかった。

軽く雪が吹いているだけ。


視界が晴れ、姿をしっかりと確認できた。

高身で白い着物、雪を見に纏い、宙に浮く姿。

その凛々しく、華々しい女性は美しくも見えた。


「姉さん、目を覚ましてもらうよ」


俺と幸さんはその女性を前に臨戦体制を取る。

吹雪が吹き荒れるその中で。

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