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異世界転生鬼退治  作者: ぽむりんご
天空島ミッドウェル編
37/45

一枚上手

同時刻、かぐや目線。


"魔法が通用しないってのはかなり厄介だわ。

この世界は魔法が基本だから魔力の無いものなんて見たことが……。

いや、1人いたわね。桃太郎のお仲間さんに。

まあでもあいつも魔力が全く無いというわけでは無いんだけど…。

この巨人に関しては魔力が一切宿ってない。

まさに"人形"

本体を隠すための囮ってわけよね…。


だから普通考えるのは本体を叩く。

これが吉なんだろうけど、、、私がやった方がよくない?

ジャックが言うから咄嗟に巨人の相手をしてるけど…。

まあ桃太郎がどう成長するのかも楽しみだし、

ここは見ものね"


そんなことを考えていると巨人からの一撃。

実力はかぐやの方が上。

揚々と避ける。

しかしジャックはそうではない。

普通の一般的な人となんら変わりない魔力量の彼は避けるのがやっとだった。


「いい?私たちはこのデカブツの気を引くことだけ考えて!あとは桃太郎がなんとかしてくれるはずだから!」


「わ、わかっています。あんな威勢よく飛び出したものの、精一杯なんですよ!」


魔法が効かないと言っても、当たりはする。

当たると衝撃は来る。

魔力がないものにもこの衝撃は無効化することができない。

と、いっても大した威力ではないのだ。

一般的な魔力量の者にかぐやの魔法が直撃した場合を100とすると、その衝撃は5ほど。

致命傷になるわけがない。

しかし何発も打てば、目の前を飛び回る小蝿のように厄介な存在にはなる。

桃太郎に気がいかないように。

これだけでいいのだ。


ただ、それは1人の場合。

ジャックを庇いながらでは本領は発揮できない。


「ねえ、さっきの高等睡眠魔法、あの巨人には通じないの?」


巨人の打撃を捌きながらジャックに問いかける。


「ダメです!あんなデカさには通用しません。そもそも魔力がないのですから!」


魔力がない者にはどんな魔法も通用しないのだ。


「ならもう桃太郎が早くしてくれるしかないわね」


そう言って桃太郎の方を見ると、魔法をハープに向かって打ち付けていた。

しかしそれは全て空を切る。


「なにしてんのよあいつ、あんな距離じゃ当たるもんも当たらないわ」


でも、何か狙っている…?

そんな雰囲気が桃太郎に漂っていた。

かぐやほどの実力者でしか気づくことができない何か…


「あのバカ。すごいこと考えるわね全く。こっちに丸投げってわけ?上等じゃない」


そう言ってニヤッと笑うかぐやをみてジャックの頭の中は??だった。


「ジャック!ちょっと詠唱の時間を頂戴!それくらいできるわよね!」


「え?え、ええ!わかりました!尽力いたします!」


そう会話した後、かぐやはすぐに詠唱体勢に入る。


「戦いの神アレスの力を借り、その力の…」


本能でまずいと感じたのか、巨人はかぐやに一撃を加えて詠唱を止めようと試みる。

驚いたかぐやの詠唱は一瞬止まるが


「そうはさせません!」


そう言ってジャックは巨人の一撃を弾く。

それを見てかぐやはまた詠唱を続ける。


「その力の根源たる先見の明を我の目に与えよ。揺らぎ一点見透かすことなかれ、予見の灯火!」


そう唱え終わったかぐやの目と身体に光が纏い出す。



「か、かぐや様、それは!?」


ジャックが驚いてかぐやに声をかける。


「ふふん、とっておきよ!」


.

.

.


同時刻、桃太郎


思いついた策が刺されば確実にうまく行くはずなんだが、それを成功させるにはやはりかぐやの力が不可欠だ。

おそらく、俺だけでやった成功率は20%ってとこだな。

なんとかかぐやに伝わらないものか。


そう思って桃太郎は攻撃が明らかに当たってないことを分かりやすくかぐやに伝える。

それはかぐやの実力なら、巨人と戦いつつ、こちらの様子も気にするとふと思ったからだ。


まだかぐやとの出会いは少ないが、信頼だけはあった。


すると突然かぐやは詠唱体勢に入っていた。

何かする気か…?

いやかぐやなら無駄なことはしない。

次は俺が合わせろ。


詠唱が終わったかぐやを見ていると、ひらりひらりと攻撃を避けている。

タイミングでも測るように。

それどころか…。

相手の攻撃が予めそこに来ることが分かっているような動きだ。

未来でも見えているような…。


かぐやがこちらに視線をチラッチラッと送る。

手での合図。

手をパッと開いて五本指を立てている。

何の合図だ…?

俺はその合図に反応できなかった。

巨人はかぐやの横を殴り続ける。

その五発目。

巨人が俺の策にぴったりの体勢になる。


これだったのか!!

ふとかぐやを見ると手を腰に当てて怒ってこっちを見ていた。

しかしこれではっきりした。

かぐやには未来の攻撃が見えている。

手の合図はその伏線。

次は合わせる。


俺はハープに悟られないよう、かぐやを見ながらハープに無駄な魔法を打ちまくった。

当然、空を切る。


手の合図。

三本指。

三発目か!


一撃、二撃と巨人が地面を叩く。

その瞬間、俺は巨人に向かって走る。

三撃目が地面についたその時、巨人に飛び乗る。

その巨人を踏み台にし、ハープの目の前に飛ぶ。


届く!この距離なら!!


その考えは目の前で響き渡るハープの洗脳魔法によって掻き消された。

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