本体
木の広場に到着して間もなく、凄まじい轟音と共に巨人が迫ってきているのが見えた。
この巨人を野放しにしていてはいけない。
そう本能が悟った。
木の広場から先は道はない。
唯一の道といえば、下に降りること。
しかし、巨人を下に下ろしてしまうと村に甚大な被害が出るかもしれない。
こいつはここで仕留めなくてはいけなかった。
「桃太郎!ハープをこっちに!」
かぐやがそう言い、俺はかぐやに向かってハープを投げた。
そうだ、ハープが魔法云々のものかかぐやなら分かると言っていた。
「桃太郎さん、これは一体どういうことなのですか!?」
ジャックがうろたえている。
そういえばまだジャックには状況を説明していなかった。
「簡単に言うと、あの巨人が元凶なんだが、ちょっとまずい感じになってしまった」
「これをちょっとで済ますつもりですか!?」
確かにちょっとではないな…。
前には巨人。後ろは絶壁。
まさに井の中の蛙という言葉がお似合いだ。
いや、今はそんなことを言っている場合ではない。
どうにかこの状況を切り抜けれる策を…。
そう思ってかぐやの方をチラッと見るとハープをなにやらガチャガチャしていた。
「ちょっと!いい加減じっとしなさいよ!」
「やめて!離して!!私をどうするキヨ!!」
なんとハープをガチャガチャしていたのではなく、ハープと喧嘩していた。
俺とジャックは「何をしているんだ…」というポカンとした顔でそれを見ていた。
「桃太郎!!あいつは不死身なんかじゃない!こいつが本体なのよ!!あっ!」
そういうとハープはかぐやの手をスッと離れ空中に浮遊した。
「やっどおいついたぞ…!!盗っ人め。堪忍して殺されるのだな!」
そこに巨人も到着した。
ハープが本体!?
どういうことだ…。
「いい?桃太郎、あの巨人は傀儡なの。あのハープが魔力操作によって操ってるもの。だから魔法が効かないのよ」
「何かおかしいと思ったのよ。あの巨人を見た時、魔力のオーラが1ミリもでてなかった。そのかわりそのハープはとてつもない魔力量。あのハープをなんとかしないと勝ち目はないわ!」
そういうことだったのか…。
あの巨人は囮。本当の敵はあの綺麗なハープ。
見かけによらないってのはこのことだな。
かぐやがいて本当によかった。
「桃太郎さん、あの巨人は私とかぐや様でどうにかします。あなたはハープをお願いします!」
そうジャックが言い、俺とかぐやは「わかった!」と言い、それぞれの配置についた。
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とは言ってもあの空中に浮いているハープに対してどう攻撃すればいい。
魔法は通用するのだろうか。
だがかぐやはハープには魔力が宿っていると言っていた。
魔力があるものには魔力は通用する。
大丈夫なはずだ。
俺は少しの魔力を込め、ハープに向かって放った。
しかしハープはスラリと避けた。
空中まで距離がありすぎる。
これじゃあ命中するまでに見切られるのは当たり前だ。何発打っても当たらないだろう。
もっとハープに近い位置で打たなければいけない。
しかも少しの魔力じゃだめだ。
ふとかぐやの方を見ると、2人とも巨人と応戦していた。
一撃くらえばひとたまりもないような威力の打撃を避けながら、魔法と打って応戦している。
だが、巨人には魔法は効かない。
俺が早く決着をつけなければ。
もっとハープ近づくには…。
高さがいる。
高さ、、、
そうか、いい案を思いついた。
うまく行くかはわからないがこれしかない。




