四天王【雷神】
まずはその巨人がどこにいるのかを探さなくてはならない。
そうして街を歩いて情報収集をしていると、突然花が「いたぞ!」と言ってこっちに迫ってきた。
「こいつだ!ミッドウェルの財産を消そうとしている野蛮な旅人め!」
先程のフラワンだったのだ。
ミッドウェルの警備隊を連れてきたらしい。
俺たちは突然の騒動に街を走って逃げるしかなかった。
幸いなことに追いかけてきた花たちは戦闘力がそこまで高くなく、容易に逃げれた。
しかし、街であれだけの騒動を起こしたのだからもう簡単には出入りはできない。
「ほんとムカつくわねあの花!私たちが何したっていうのよ」
かぐやは怒りをあらわにしていた。
いっそ魔法で消し去ってやろうかしらとかいう物騒なことを言っていたので止めておいた。
「街の人は一種の洗脳のようなものを受けているだけだ。原因は住民が言ってた巨人だろうな」
「分かってるけど、これじゃ街に入れないじゃない。どうやってその巨人を見つけるの?」
解決策を探している時、突然大きな地響きとともに辺りが暗くなり、雨が降り出した。
俺たちは一瞬何が起きたのか分からなかった。
地響き?いや違う。これは落雷だ。
雷が突然近くに落ちたのだ。
そして辺りを警戒していると、背後に殺気を感じた。
身も凍るほどの鋭い殺気を。
瞬時に振り返るとそこには雲に乗った髭を生やした男が胡座をかいて座っていた。
見覚えがある…。こいつは…風神…?
いや違う、似ているようだが、背中の後ろに8つの太鼓が浮いていた。
「よう、お嬢さん、何してんだ」
風神とは違う威圧感。
瞬時に察したかぐやは即座に魔法を展開した。
「大いなる女神ライアリスに願いを。どうか弱き我々の元に祝福と安寧を。光を捧げ、魂に愛を。ロストベルゼビューション!!」
かぐやは今までに見たことのない速さで詠唱を完了させ、俺とかぐやを包む光の輪ができた。
「おいおい、あんま警戒すんなよお嬢さん」
笑いながらこちらにコンタクトを測ってくる。
が、そんな表情のまま背後の太鼓を「ドンッ」と一回叩いた。
すると突然頭の上に雷が落ちた。
雷はロストベルゼビューションによって守られたが、無ければ直撃し、死んでいただろう。
「ほう、こいつぁ硬てぇなぁ」
「まぁ安心せい。殺しに来たっちゅうわけじゃねぇよ。面白そうな気配がするもんで見に来ただけじゃい」
その鬼は大きな口で笑いながら太鼓を叩くバチを納めた。
「お前の名は…?」
「てめぇに話しかけてんじゃねぇぞ小僧」
その言葉と同時に発せられる威圧感と殺意に気圧されたが、なんとか自我を保った。
明らかに四天王クラスの強さだ。
「まぁええ。儂は四天王の雷神や。前に儂の兄弟が言うてたんはお前らやな。そん時は女はおらん言うとったのに嘘ついたんかあいつは」
「儂好みのええ女やのう。どや、こっちにこんか?」
そう言って雷神は手招きをする。
かぐやは以前警戒を解かない。
「お断りよ」
そう発したが、いつものかぐやとは思えないほどの威勢の無さだった。
かぐやとこの鬼と対峙してみて感じているのだろう。
俺たちよりも上の存在だと。
圧倒的な強者だと。
「振られちまったか。まぁまたいずれ会うやろ。ほなな」
そう言って雷神は空高く飛び上がり、視界から消えた。
雷神が消えると先程までの雨と雷は止み、辺りが晴れ渡った。
かぐやは雷神が去ったのを見て、ロストベルゼビューションを解き、俺に話しかけた。
「ちょっと桃太郎!あんな奴と知り合いなの!?あいつはあまりにも危険よ!格が違うわ」
かぐやの威勢は元に戻っていた。
俺は阿修羅、風神と出会った時の話、四天王がいると言う話、その上に鬼王がいると言う話を聞かせた。
かぐやは「なるほど」と言いながら、頷いていた。
「あのレベルと対峙するのはまだまだ先よ。私が10人居ても勝てるか分からない」
力量さは分かっていたが、改めて対峙するとまだまだ力が足りないのはわかる。
雷神がこの地に現れたのは予想外だったが、まだその時ではないと見逃してくれた。
今はこのミッドウェルの問題を早く解決するのが先決だろう。




