しばしの別れと新たな出会い
ネズミの国を出た瞬間、3人は元の大きさに戻った。
「桃太郎、話があるんだけどよ」
突然、金太郎がそう言いだした。
顔は酷く暗い顔をしている。
体調でも悪いのかと思ったが、どうやらそう言うことではなさそうだ。
「おらぁ、ユリウスとの戦いでなんにも役に立てなかった。あんなに修行したってのによ」
「結局鬼を倒したのは桃太郎とあの謎の女だ。おらぁ自分が情けねぇ」
そう言って金太郎は俯いていた。
確かに倒したのは俺とかぐやだが、金太郎がくらったのは不意打ちであり仕方ないことだと思った。
だが、それでは納得はしないのだろう。
「それを言うなら僕だって何もしていません。もっと早く、潜入した時に僕がユリウスを倒せていたらあんな被害は出なかった」
浦島も金太郎に続く。
「だからって鬼を倒すのを諦めるってわけじゃねぇ。おらぁ、一回村に帰って修行がしてぇ」
「もっと強くならねぇと。四天王や次に会う鬼にすら勝てねぇ。頼む桃太郎、しばらくの間許してくれ」
「僕も…。修行に行きます。強くなりたい。皆を救いたい。それだけは変わりません」
2人の真剣な眼差しを見て、ダメだとは言えなかった。
確かに俺もギリギリだった。
何かが間違っていたら負けていたかもしれない。
「分かった。お互い、強くなろう。だが、俺は傷ついてる人がいるのに放ってはおけない。東にある鬼の住む場所に行く」
そう言うと2人は、あぁと頷いた。
そして3人、必ずもう一度集合すると約束して、それぞれ別れて行った。
1人になってしまった。
思えば色々なことがあった。
金太郎と仲間になり、最初に鬼を倒した。
その後は浦島と仲間になり、竜宮城を救った。
圧倒的な力の差に出会うこともあった。
だが、師匠との出会いが俺たちを強くさせた。
ネズミの国。
被害は出てしまったが、英雄と出会い、成長させてもらえた。
一からやり直せると、信じさせてもらえた。
俺は、俺たちは負けてはいけない。
この世界のみんなを、全てを救うまで。
俺はちゃんと桃太郎になれてるか?父さん。
「なにしらけた顔してんの?まさか仲間に放っていかれた?」
そんな感傷に浸っている時、高い声と笑い声が聞こえてきた。
その声の方を向くと、そこにはかぐやが立っていた。
「本当遅かったわね。ずっと外で待ってたんだけど」
かぐやはそう言った。
「なんでここに?」
「なんでって、あんた面白そうだし、ついて行こうかなって」
「いいよ、着いてこなくて。鬼を全員倒すんだ。仲間とは修行のために別れただけだし」
「ふーん、そんなこと言うんだ。誰があのネズミの国を襲っていた鬼を倒してあげたと思ってるの?」
くそ、ぐうの音も出ない。
かぐやは腰に手を当てやってやったりと言う顔をしていた。
「1人じゃ寂しいでしょ?しばらく一緒に着いていってあげる」
「わかったよ。これから東の地域に行くんだ。鬼が住んでるらしい。それを倒しに行く」
「おっけーおっけー!じゃ出発ー!」
かぐやは着物を着ているとは思えないほどの軽やかな足取りでテクテクと歩き出した。
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「ねぇ、まだつかないの…?」
はぁはぁと息を立てて疲れるかぐやを無視して、俺は歩き続けようとした。
「ねぇってば!ひどくない?か弱い女の子がこんなに困ってるのに」
どこがか弱いだ。
ユリウスを一撃で葬るレベルの魔法が打てるんだぞ。
おそらく近接戦闘では俺の方が上だが、魔法では俺や浦島よりも格段に上。
「そういや、魔法はどこで学んだんだ?」
振り返ってかぐやに質問してみた。
かぐやは目をパチクリとさせ「やっと話してくれたわね」と言いその後に話を続けた。
「魔法はね、私が産まれ育った場所。月の国、アキラスで学んだの。」
月の国アキラス。
やはり竹取物語通りかぐやは月の国の者。
「じゃあなぜここに?」
「嘘、普通驚かない?月の国よ。まぁいいわ…。それは個人的な問題よ。教えないわ」
月の国に行けば俺も魔法を強化できるのか…?
「俺も月の国へ行くことはできるか?」
「うーん、おすすめしないわ。部外者を嫌う国だから」
なるほどな。
なら行くのは難しそうだな。
仮に行けたとしても魔法を鍛えるだけのことはできなさそうだ。
「まぁ、今は東の地域に行くんでしょ…ってあれ?なんか村が見えてきたけど」
話しながら歩いているうちに村に到着したようだった。




