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異世界転生鬼退治  作者: ぽむりんご
転生、桃太郎編
1/45

桃太郎伝

5歳のころ


「ねえねえ、パパ。桃太郎さん読んで!」


「本当にお前は桃太郎さんが好きだな」


「うん!だってね、カッコいいし、強いし、みんなの人気者なんだよ!」


「ははは、確かにな。お前も桃太郎さんみたいに強くなるんだぞ」

.

.

.

.

21歳現在


平凡すぎる。楽しみがない。

毎日仕事に行って、上司に怒られては家に帰ってやけ食いして寝るの繰り返し。

いつからこうなった?

今でもたまに思い出す。お父さんに桃太郎を読んでもらっていた時のこと。

俺はあんなに強くなれなかった。ごめんよ父さん。

ごく普通の人生を送り、当たり前のように死んでいくんだろうな。

お父さんも生きてればもう60歳だっけか。

もう死んで2年か。早いもんだな。

んなこと考えてる間にもう夜中の2時だ。

明日も6時には起きて出社だもんな‥。

こんな人生ならいっそのこと鬼退治にでも行った方が楽なんじゃないか?


「はぁ、寝れねえ。ビールでも買いに行くか」


家から数分の距離にあるコンビニに歩いていくのもかったるい。

人通り少ない路地道を通った方が近いんだっけ。

夜中であまり頭が回らない。

まあいっか、一本飲んだらすぐ寝よう。


「あ?なんだあれ」


路地に桃が落ちている。異様な光景だ。

しかもデカくないか、普通より。


「誰だよ、こんなとこに桃置いたやつ。あ、桃太郎とかか?」


なんて冗談を独り言で呟きながら桃を素通りする。


「……って」


ん?後ろから何かが聞こえた。

振り返るがなにもない。ただ桃が落ちているだけ。

気のせいか?ここのところ連勤で疲れてるしな。

そう思いながらまた振り返り、進もうとする。


「まって…」


驚きのあまり声が出てしまったがもう一度振り返る。

今度こそ聞こえた。桃からだ。いや、桃が喋ってるのか?いやそんなわけはない。

だから疲れのせいにするのにも少々不自然だ。

はっきりと待ってと聞こえた。

恐る恐るきた道を戻り、桃に近づく。

その瞬間、目の前が眩い光に包まれた。

何も見えない、声も聞こえない、

俺は死んだと思った。

よくあるだろ?宇宙人とか、そういうのに連れていかれたんだってな。

意識が遠のいていく。もう半分諦めていた。

最後の記憶が桃って…。

.

.

.

「…い!おい!めえさませ!」


なにかが俺に話しかけている。

俺の肩を叩く衝撃と大きな声。

意識がだんだんと戻ってくる。そうか、路地裏に倒れているところを誰かが見つけてくれたんだ。

まだ死ねなかったか。会社に行かなくていいとなったらそれもありだと思ったんだけどな。


「おい、早よ起きんか、いつまでねとんやこの寝坊助は!」


その大声で我に帰った。急いで起き上がると目の前にはしわしわの女性の老人。

どうやら声をかけていたのはこの人のようだ。

周りを見渡すと、どうやら部屋の中のようだ。

路地裏ではないところを見ると、俺は死んで天国にいるのか、はたまた救助され家にお邪魔しているのか。


「あのう…ここはどこでしょうか?」


恐る恐る質問してみた。


「なぁーに言ってたんだ。ここはあんたが育った家だげよ。まだ寝ぼけとんかあんたは」


育った家?

俺の家はこんな風景じゃなかったし、この人はどうやら俺を知っているが俺はこの人を知らない。

何が起こっている?

しかも独特の鈍り方。東京ではない?


「まだ寝ぼけとんやっちゃ、顔でも洗ってきんさいな」


言われるがまま、俺は洗面所に連れられる。

前を見ると大きな一枚鏡。

あれ、、、

誰だこれ。鏡に知らない人が…。

動きを確認するが、俺と同じ動きをする。

この顔どこかで…。


「顔洗ったんかいな、桃太郎や。今日はお前の鬼退治への旅立ちの日じゃろうて。おじいさんも表で見送る用意しとんやけ、はよしんさい」


桃太郎!?

確かにこのおばあさんは桃太郎と言った。

そうだ、どこかで見たことあるとおもえば、童話で読んだ桃太郎の顔だ。

つまり俺はあれか、、

なにかしらがあって桃太郎になったってことか?

そうおもえばあの路地に落ちていた桃にも合点がいくが、どうも不確定要素が多すぎる。

夢なのか?そう思い顔をつねってみるが、痛みはある。

俺は本当に桃太郎になってしまったってことなのか、、。

すると今流行りの異世界転生!?

しかし、桃太郎とは…。ハーレム要素は期待できなさそうだな…。

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