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Cafe Shelly

Cafe Shelly わかってよ!

作者: 日向ひなた

 今日もいい天気。こんな日はお散歩して、お買い物に行って、そしてのんびりと過ごしてみたい。

 お散歩は湖の遊歩道がいいな。木漏れ日がとてもキラキラしていて、たまに野生のリスなんかも見ることができる。のんびり一時間くらい歩くと、運動にもなるし。

 お買い物はショッピングセンターよりも、町の商店街の方が好き。決して安いわけじゃないけれど、雰囲気がいいんだもん。たまにお肉屋さんでコロッケを買って、食べ歩きするってのもいいな。

 こうやって過ごす、それが私の幸せ。なのに慎二ったら、この幸せがわかってくれないんだから。

「明穂、今日はゲーセン行こうぜ。今度こそはヤツを倒してやる!」

 慎二は最近、バトルゲームにご執心。なんでも、ゲームセンターの中でライバルがいるらしい。どうしてもその相手に勝てないので、デートといってもいつもゲームセンターばかりになる。

 慎二に付き合うと、いつも私は側に立って見ているだけ。私はゲームをしないから、その面白さが全くわからない。

 あーあ、どうしてこんな男と付き合うことになっちゃったんだろう。最初の頃はとても価値観が合って、気さくに話せる人だなって思っていたのに。どこで間違っちゃったんだろう。

「もう、一人で行ってくれば。慎二に付き合うの、もう飽き飽きしちゃった」

 と、ズバリ言えればいいんだけど。どうしてもこれが言い出せない。

「はいはい、わかりました」

 そう言って結局慎二とズルズルと付き合っている。もっと自分の思いや考えを慎二に伝えられるといいんだけど。なぜだかそれが言えないんだよなぁ。で、結局今日も慎二に付き合ってゲームセンターに足を運ぶことになる。

「じゃぁ、十時にいつものところで」

 いつものところとは、この街の待ち合わせのメッカである駅前の噴水。ここにはいつも待ち合わせの人でいっぱいだ。慎二を待つ間、私は人間観察をしてみる。

 汗だくで遅れてきて彼女に謝る男性。時計を見ながらイライラして待つビジネスマン。多分初デートなのかな、ドキドキしながらなんどもスマホを見ては周りを見回す男子高校生など。こういった人間観察も私の趣味である。そこにはいろんな物語があるんだろうな。その物語を勝手に想像しては一人でほくそ笑んでいる。

 前にこのことを慎二に話したら、こんなことを言われた。

「人の生活を覗き見しているみたいで、なんだか気持ち悪いな」

 覗き見だなんてとんでもない。そう見えちゃうだけなんだから。

 人間観察をしていると、面白いことに気づいた。待ち合わせで会ってすぐに口論になるのは、カップルが多い。大体はどちらかが遅く来て、待っている方が怒り始める。すると、遅れた側が言い訳をし始める。

 その時、遅れ側がの態度が大きく二つに分かれる。一つはひたすら謝るパターン。寝坊した、電車が遅れた、出かけようと思ったら別の用事に捕まった、などなど。まぁこの場合は待っている側が「仕方ないなぁ」という形で治ること多い。

 問題はもう一つのパターン。遅れてきた側の方が「だからどうした」とでも言わんばかりの態度をとる場合。仕方ないだろう、こういう理由があるのだから。そのくらい理解しろよ、と大柄な態度を取る。この場合、待っている側の機嫌は悪いまま。本当にこのカップル、この先やっていけるのだろうかと他人事ながら心配してしまう。

 そして問題なのは、私と慎二は後者になることが多い。慎二は待ち合わせとなると、大体五分や十分遅れてくるのが当たり前になっている。社会人として時間に遅れるのはどうなんだろうと思いつつも、結局は私が折れてしまう。

 最初の頃は怒っていたけれど、もうそれも当たり前になってしまったので、怒るのをやめた。

「お待たせ。じゃ、行こうか」

 慎二、今日も遅刻。けれど詫びることもなく、さも当たり前のように振る舞う。まだ遅れたことを謝ってくれるなら可愛気がある方だ。

 いつものゲームセンター。ここで私は慎二がゲームをするのを、ただ黙って横で見ているだけ。これのどこがデートなのよ。そもそも、こんなところ一人で来ればいいじゃない。

 そう思いつつも、なぜだか慎二と別れようという気にはなれない。やっぱ年齢のこともあるのかな。

 私、今二十八歳。慎二は二つ年下の二十六歳。出会ったのは三年前。友達同士のハロウィンパーディーで慎二を知った。最初は何気ない、普通の会話を交わしていた。話すうちに、なんとなく気があう人だなって思った。

 あの頃、周りは彼氏がいて、今思うと私にも焦りがあったのかな。とにかく彼氏を見つけなきゃ、その気持ちが強かったのは否めない。後から聞いたら、慎二も同じような感じだったらしい。

 なんとなく付き合い始め、最初の一年間は有頂天だった。遠くまで旅行にも行ったし、テーマパークやコンサートなんかも一緒に行った。もちろん、大人の付き合いだからエッチもした。

 けれど、そんな付き合い方も二年目には徐々に変化をしていった。

「俺についてこい」

 慎二、口にはそう言わなかったが、態度が明らかにその意志を示していた。食事に行くにしても、最初は

「何食べたい?」

とか聞いてきていたのに。今では

「今日はハンバーグ食べに行くぞ」

と決めてかかるようになってきた。その挙句が今日のようなデートの形となっている。だからといって傍若無人の振る舞いというほどではないし、普段はそれなりに優しく接してくれることもある。だから、このことを友達に話しても

「そのくらいガマンしなよ。彼氏がいるだけいいじゃない」

なんて言われてしまう。

「あーっ、どうしてこいつに勝てねぇかなぁ。よし、もう一戦!」

 目の前でゲームに没頭する慎二。今のセリフも、私に話しているようでただの独り言に過ぎない。けれど、このセリフに対して私が無反応だと、慎二は急に不機嫌になる。それも面倒だからこう返している。

「慎二、頑張れ」

 このセリフには感情も何もない。ただの棒読みだ。けれど、これを言われることで慎二は「彼女に応援されて頑張る自分」に酔いしれている。まぁ、このほうが害がないからそうしているだけなんだけど。

 二時間ほどプレイをして、慎二はようやくゲーム機に張った根を断ち切ってくれた。

「よし、飯でも食いにいくか」

 さて、今日は私をどこに引っ張っていくのだろう。もう聞かれることがなくなった「何食べたい?」の言葉。まぁ、言われてもすぐには答えられないからいいんだけど。でも、少しくらい私のことを気遣ってくれてもいいと思うんだけど。

「たまには街の方に行ってみない?」

 最近は街外れにあるファーストフードかファミレスばかり。安くていいんだけど、少しくらいは違うところでご飯を食べてみたい。

「街の方かぁ。街中のお店ってたっけーんだよなぁ」

 懐事情を気にする慎二。食事はいつもワリカン、というよりも自分が頼んだものの代金をお互い支払うようにしている。じゃないとバクバク食べる慎二だから、不公平になるから。

「じゃぁ、今日は私がおごるよ」

「おっ、ラッキー。じゃぁそうすっか」

「その代わり、私がお店決めてもいい?」

「うーん、まぁいっか。どこかいい店あんの?」

 特にお店を決めていたわけじゃない。街の方に行けば何かあるんじゃないかっていう期待だけでそう提案した。とりあえず街の方に向かって歩いていくことにした。

 ここでの会話は、さっきのゲームの話ばかり。相手の技がどうとか、こっちがどう切り返したとか。

 私は慎二の話には適当に相づちを打ちながら、目線は良さそうなお店を探している。パスタ、うどん、中華、などなど。目には入ってくるが今ひとつピンとこない。

 街中じゃなくて、ちょっと脇に入ってみようかな。そう思って、メイン通りから少し外れた通りに足を踏み入れる。そこはパステル色のタイルで敷き詰められた、一瞬異世界に入ったのではないかと思うようなところ。前にも通ったことはあるけれど、今はなんだか違う気分にさせてくれる。

 ここにも飲食店はいくつかある。が、私が目にしたのは喫茶店の看板。黒板にチョークで描かれたものだけれど、なんだか気になってしまう。

「ねぇ、ここでいい?」

「喫茶店かよ。なんかちゃんとした食うものあるんか?」

「行ってみないとわからないでしょ。それに、美味しいコーヒーもたまには飲んでみたいし」

「コーヒーなんてどれも味は同じっしょ。そんなの、ファーストフードの百円コーヒーで十分だし」

「つべこべ言わないの。今日は私がおごるんだから。行くよ!」

 そう言って慎二を無理やり喫茶店へと押し込むことにした。

 黒板の案内どおりに、私たちはビルの二階へと向かう。そして木の扉をおもむろに開く。

カラン・コロン・カラン

 心地よいカウベルの音。それと同時に聞こえてくる「いらっしゃいませ」の声。さらに、コーヒーの香りが私を包み込む。

 わぁ、なんかすごくいい感じ。こういうのを求めていたのよ。

「なんかチンケな店だな」

 慎二の一言が、そんな私の気持ちを萎えさせた。どうしてこの人はこのお店の良さをわからないのかな。

「お二人ですか?」

「はい」

「では、窓際の席へどうぞ」

 店員さんに案内されて、半円型の窓際の席へと座る。柔らかい日差しと、アロマの香りが私の気持ちを再び高めてくれた。こういう所で飲むコーヒーって、とても美味しいんだろうな。

「うーん、どれも高けーな。えーっ、食い物ってサンドイッチしかねーのかよ」

 店員さんが目の前にいるにも関わらず、慎二は乱暴な言葉を使う。はぁ、私ってどうしてこんなのと付き合ってるんだろう。やっぱ価値観が私と違いすぎるわ。

「オススメはホットサンドですね。こちらは男性の方にも満足いただけるボリュームがありますよ。それと、よろしかったら当店のオリジナルブレンドを一緒にお召し上がりください。きっとお気に召すと思いますよ」

「じゃぁそうしようかな。私はそんなにお腹空いてないから、普通のミックスサンドで」

「かしこまりました。ホットサンドとミックスサンド、そしてシェリー・ブレンドがお二つですね」

「はい、お願いします」

「明穂、前から気になってたんだけどよ」

「ん、なに?」

「明穂はどうしていつも店員さんに対して、よろしくお願いしますとか、ありがとうございますとか、丁寧な言葉を使うよな。どうして?」

「どうしてって、当然のことじゃない。店員さんって、私達が頼んだことに対して動いてくれるんだよ。逆にどうして慎二はそう思わないの?」

「だって、お客様は神様っしょ。こっちがお金を払っているんだから、むしろ逆に店員さんのほうがお願いしますとかありがとうとか言わなきゃいけねーんじゃないの?」

 ダメだ、慎二とは根本的に考え方が違うわ。私はむしろ、店員さんが私のためにいろいろと動いてくれているからこそ、その代償としてお金を支払っているんだと思っている。感謝しなきゃいけないのはこっちの方なのに。

 でも、これを慎二に押し付けても意味がないことはわかっている。慎二は慎二の世界で生きている。私は私の世界で生きている。そう考えると、もうこれ以上慎二と一緒にいるのって難しいのかもしれない。もう別れたほうがいいのかもしれないな。

 私も二十八歳。いい加減結婚を考える年齢。慎二と結婚を考えたこともある。けれど、とても今の状況じゃうまくやっていける自信がない。そろそろ次のことを考えていかないといけないかな。どう見ても慎二は遊びで私と付き合っているとしか思えないし。

「明穂、ちょっといいかな?」

「ん、なに?」

 急に慎二が真面目な顔をして私にそう言ってきた。なんの話だろう?

「明穂はぁ、オレとこの先もずっと一緒にいてくれる気はある?」

 いきなり核心をつく質問。この先ずっと、というのはどのくらいの長さのことを言っているんだろう。一生なのか、それとも一年くらいのことなのか。

「ずっとって、どういうこと?」

「ずっとって、ずっとだよ。つまり、死ぬまでってことかな」

「何それ。つまり慎二と結婚して、一緒に過ごしていこうってこと?」

「ま、そうなるかな。で、そのつもりはある?」

「慎二、プロポーズならもっときちんとして欲しいな。そりゃ、結婚願望はあるけれど、なんかそんな言い方ってズルイよ」

「ぷ、プロポーズって。そういうんじゃねぇよ。じゃぁズバリ聞くけど、明穂は俺と一緒にいて楽しいと思ってる?」

 答えに困る質問だな。正直、楽しいとは思えていない。

「慎二、私の気持ちわかってくれてないっ!」

 思わずそう叫んでしまった。少しは私の気持ち、わかってほしい。その思いが常に心の中にあった。そして、とうとうこれが表に出てしまった。

「わかるわけねーじゃん。オレはエスパーじゃねぇっ!」

 だが慎二は私の意に反して、そう反論してきた。エスパーじゃないってどういうこと?

「オレは、明穂がオレのことを好きになってくれている。だからこそ、こうやって一緒にいてくれている。そう思ってたんだ。でも、もしそうじゃなかったら迷惑をかけているんじゃないか。そう思い始めた。だからさっきの質問をしたんだ。そもそも明穂は、自分の思いや考えをオレにきちんと言ってくれねーじゃん」

 ふてくされた態度でそう言う。なによそれ、私が悪いっていうの?

 少し険悪なムードが漂う中、それを打ち破るように店員さんがコーヒーを運んできた。

「おまたせしました。ホットサンドとミックスサンド、そしてシェリー・ブレンドお二つです。こちらのコーヒー、飲んだあとにぜひどのようなお味だったか感想を聞かせてくださいね」

 コーヒーを飲んだあとの感想を聞くって、アンケートでもとっているのかな?ともかく一時休戦にするしかない。

「とりあえずメシ食おう」

 慎二は不機嫌な態度をとりつつも、ホットサンドを口にほおばる。

「いただきます」

 私は両手を合わせて、軽く会釈をしてから自分のミックスサンドを口に入れる。そういえば慎二って食事をするときに「いただきます」って言わないんだよね。なんでもかんでもいきなり口に入れる。なんかがさつなところあるって、前から思っていたんだよな。どんな育ちをしてきたんだろう?

 そう思いつつ、無意識にコーヒーに手を伸ばす。私も慎二もちょうど同じタイミングでコーヒーを口に入れる。この瞬間、不思議な感覚を覚えた。

 私、慎二とこうやって合わせていきたい。もっとこの人と同じものを共有していきたい。

 そんなことが頭に浮かんだ。そしてまったく同じタイミングで私と慎二、二人が目を見合わせる。このとき感じた得も知れぬ感覚。ピタリと二人が合わさったこの感じ。あぁ、これよこれ、こんな感覚が欲しかったの。

 そう思った瞬間、笑顔になった自分がわかった。慎二も全く同じタイミングで笑顔になっている。さっきまでいがみ合ったのはなんだったんだろう。そう思えるほど、いい気分になった。このとき、さっきまで抱いていた慎二への不信感が消えた。

「お味はいかがでしたか?」

 店員さんの言葉で、私と慎二は同時にハッとした。そうだった、今喫茶店にいたんだった。さっきまで二人の世界に入ってしまっていた。

「あ、お、おいしいです」

 私は思わずそう言って、さっきまでの慎二との世界をごまかそうとした。が、慎二は違った。

「このコーヒー、飲んだ瞬間に不思議な世界に入っちゃいましたよ。明穂のことが手に取るようにわかる。そして一緒に、同時になんでもできちゃう。そんな感覚に陥っちゃいました。なんだか不思議だけれど、とても気持ちがいいって感じだったなぁ。明穂、お前もそう思わなかった?」

 慎二は思ったことをなんでもすぐに口にする。このへんも私とは違うんだよなぁ。もうちょっと恥ずかしいとか、そんな感覚はないんだろうか。

「なるほどぉ、お二人とも同じような感覚を感じたのですね」

 店員さんの言葉に半ば誘導されるような感覚で、私はつい

「あ、はい」

と答えてしまった。

「ということは、お二人ともお互いのことをもっとわかり合いたい、理解し合いたい。そう思っているのではないですか?」

「えっ、どうしてそれがわかったんですか?」

 そう答えたのは慎二だった。この言葉にはちょっと驚いた。

「慎二、私と同じこと考えてたの?」

「えっ、じゃぁ明穂も?」

 またここで顔を見合わせた。このとき、コーヒーを飲んだときに感じたあのシンクロした感覚。これが蘇ってきた。

「お二人とも、同じものを求めていたのは間違いなさそうですね。実はお飲みいただいたコーヒー、シェリー・ブレンドは魔法のコーヒーなんです」

「魔法のコーヒー?」

 これもまた、二人揃って同時に同じセリフを口にした。

「はい、シェリー・ブレンドは飲んだ人が今欲しいと思っている味がするんです。人によってはそれが映像として頭に浮かぶ人もいます。今回の場合、お二人ともそれが感覚として実感できたようですね。こういうのは珍しいケースですよ」

 飲んだ人が今欲しいと思っている味がする。そう言われると、まさにそのとおりだと言わざるを得ない。私は常々、慎二にもっと自分のことをわかってほしい、自分の思いをもっと感じ取って欲しい、そう願っていた。けれど、それはもう無理だとあきらめかけていた。だからこれ以上関係を続けるのは無理なのかな、そう思っていた。

 そもそも慎二が考えていることがよく理解できない。慎二が今何を欲していて、どうしたいのか、これを理解したい。

「じゃぁ、今俺が感じた感覚ってのが、俺が望んでいることなんですよね。そうか、やっぱりそうか…」

「やっぱりそうかって、どういうこと?」

「怒らないで聞いてくれる?」

「だから、何よ?」

 怒らないでって言われると、逆に怒りたくなるのが心情だ。私にとってあまりよろしくないことを話そうとしているってのがわかる。

「俺、明穂のことがわからなくなってきたんだ。言葉では『いいよ』って言っても、表情や態度がそうじゃないって思い始めて。で、どっちが明穂の本音なのかってのがよくわからなくて」

 そういうこと?じゃぁこの際だから思い切って言わせてもらおう。

「逆に、私はどうして私の気持ちをわかってくれないのかなって、いつも思ってた。私が好き好んでゲームセンターに行っていると思う?慎二に付き合って行っているけど、あなたがゲームをしている間、私は退屈でしょうがないのよ」

「そういうの、どうしてもっと早く言ってくれないの?俺は明穂がゲームをしている俺を応援してくれていると思っていたから、一生懸命ヤツとバトルしてたのに」

「じゃぁ、バトルしていたのは私のためだったってこと?」

 慎二はコクリとうなずいた。これには呆れてしまった。

「私がそんなこと、思うわけないじゃない。慎二が楽しんでいるから、仕方なくついてきたのに」

「だったら、どうしてそのことを早く言ってくれないの?」

「言ってくれないのって、逆にどうしてそのことをわかってくれないの?」

「だからさっきも言ったじゃん。俺はエスパーじゃねぇって。明穂は自分の思いや考えを口にしてくれねーから、俺は今の通りでいいんだって思っちゃうんだよ。でも、ようやく最近、このままでいいのかって思い始めて。だからさっき、そのことを言ったんじゃねーかよ」

 私は自分の思いや考えを口にしない。それには理由がある。でも、これも口にしていいのかわからない。口にしてしまうと、また昔のようなことを引き起こしてしまうかもしれないから。

 私が黙っていると、店員さんが声をかけてくれた。

「あの、失礼ですけど。まずここまでのことを整理してみましょう。お互いに、お互いの気持ちや考えをもっと知り合いたい。これがお二人が今望んでいること。これは間違いないですよね」

 この問いかけに、私も慎二も黙って首を縦に振った。

「でも、彼氏さんの方の不満としては、彼女さんが思いや考えを口にしてくれない。だからそのことがわからない」

 慎二は店員さんの言葉に、大きく首を縦に振った。私はそれに対してちょっと不満顔。

「逆に、彼女さんの不満は、自分の思いや考えに対して、このくらい言わなくてもわかってくれないのかな、という思いがある。そうですよね?」」

「はい。このくらいわかってくれてもいいはずって、そう思ってます」

「じゃぁ、お互いに思いは一致していますね。お二人とも、そういう思いや考えを相手に伝えたこと、ありましたか?」

「あ、いや。それはなかったです」

「私もです」

「でも、今日ここでそれがわかりあえた。だったらどうしますか?」

「だったらって、俺は明穂にどう思っているのかを尋ねるしかないですよね」

「私はそれに対して、自分の思いや考えを伝える。そういうことですか?」

 二人とも、店員さんに向かって正解を尋ねるかのように聞いてみる。が、店員さんの答えはこうだった。

「その正解はお二人が決めることですよ。私が決めることではありません。よかったら、この場でどうしていけばよいのかを話し合ってみてはいかがですか?」

 そう言われて、私と慎二はまた向かい合った。慎二は話し合おうという気が満々のようだ。どうせなら私もこの件はこの場でスッキリしたい。

「じゃぁ、俺から言わせてくれるかな。さっきも言ったけど、俺はエスパーじゃない。明穂の気持ちをわかってあげたいけれど、明穂がそれを口にしてくれないと俺はわからない。空気を読め、なんて言われてもそんな事できない。こうしてほしいとか、自分はこう思うとか、きちんと俺に話してほしい。じゃないと、今のままでいいって思ってしまうから」

 慎二の言い分はわかった。私は一呼吸おいて、自分の思いを語った。

「じゃぁ今度は私から。慎二は私の表情を見ようとはしていないって、いつも思っていた。人の気持ちを察するということが足りていないって。逆に、慎二はなんでもかんでも思ったことをすぐに口に出しちゃうでしょ。さっきもこのお店で何を食べるか決めようとしたときに『高っけ〜』とか失礼なことを平気で言っちゃうし。そのたびに恥ずかしい思いをしているんだから」

 なんでも思ったことを口にする慎二。それに対して、思ったことをなかなか言わない私。対象的な二人がよく今まで付き合ってこれたなって、あらためて思った。やっぱ慎二と一緒にいるのって、これ以上は無理なのかな。

「えっ、俺ってそんなふうに言ってるっけ?」

 慎二から意外な言葉が飛び出した。

「えっ、慎二、あなた自分が何を言っているのか自覚できていないの?」

「うん、俺ってそんな失礼なことを言ってたんだ。気づかなかった…」

 これにはびっくり。しかも、自分が言っている言葉に対して失礼なことだってのはわかっているんだ。

「これって俺の癖なのかなぁ。確かに俺は独り言って多いとは思っていたけど。自分が思っていることがつい口に出ちゃうんだよなぁ。でも、気をつけろと言われても、自覚できていないからなかなか難しいところはあるよなぁ」

 そう言われると、返す言葉がない。逆を言えば、私が自分の思っていることを口にしないのも同じようなものだから。慎二とは真逆の癖がある。

 すると、ここで店員さんがこんなことを言ってきた。

「お二人とも、自分たちの癖や性格が自覚できたようですね。じゃぁこれからどうしていきたいのか。これをシェリー・ブレンドに聞いてみるといいですよ」

「シェリー・ブレンドに聞いてみる?」

 私はそれがどういう意味なのか、よくわからなかった。が、慎二はピンときたようだ。

「そうか、このコーヒーってその人が望んだ味がするんですよね。ということは、これからどうしたいのか、それが味でわかるってことなのか」

 慎二の言葉に、店員さんはにこやかな顔で答えた。そうか、そういうことか。だったらと、私と慎二は同時にコーヒーを口にした。そして味を確かめる。

 このとき、頭にふと思い描いたのは家庭の姿。慎二と、まだ見ぬ子どもと一緒に笑い、楽しんでいる。さっきまでのわだかまりを忘れて、家族がひとつになっている。そんな姿だ。

 慎二とは価値観の違いはありながらも、それを認めあい、二人が共有できる新しい価値観をつくってひとつになっている。それが私の願いであり、私がやるべきことなのか。

 慎二は慎二、私は私。二人は違う生き物であり、違う思いや経験、価値観を持っている。それを理解し合うことがまずは大切なんだ。そもそも、価値観が全く同じ人っていないんだから。

「今度のお味はいかがでしたか?」

 店員さんの言葉でハッとさせられた。

「明穂、わかったよ、俺」

「私もわかった。今何をすればいいのか。そして、この先どうしたいのかも」

「明穂はどうしていきたいと思ったの?」

「慎二こそ、どうしていこうと考えているの?」

 お互い、ちょっと照れくさい感じになっちゃった。おそらく慎二も同じような将来像を描いているんだなって、なんとなくわかっちゃったから。

「じゃぁ俺から言うよ。俺は明穂と思いを共有していきたい。この先、ずっと。そのためには、お互いに思っていることや考えていることを素直に伝えあうこと。相手がきっとこう思っているだろうって勝手に推測せずに、どう思っているのかを尋ねてみること。そして、自分勝手に判断をしないこと。そう思ったんだ。明穂はどうなの?」

 慎二がこれだけきちんと言ってくれたのだから、私も言わないと。

「私も同じ。慎二と私は価値観が違う。まずはそれを認め合うこと。慎二は自分の思いをきちんと口にしてくれるから、私が自分の思いを口にしなきゃ。そのうえで、新しい価値観を二人で作っていく。それを思ったの。じゃないと、子育てなんて…」

 そこまで言って、急に照れくさくなった。子育てってことは、慎二と結婚をしているってことになるから。私がそれだけ結婚願望があるってことを知られるのが、なんだか恥ずかしくなってきた。

 けれど、慎二は私の最後の言葉をきちんと受け止めてくれたみたい。

「明穂、俺は二人で幸せな家庭を作っていきたい。お互いになんでも言い合えて、子育てもきちんとできて。そして明穂とこの先ずっと笑って暮らしていきたい。ずっと、一生」

「慎二、それって今度こそプロポーズ?」

「えっ、あっ、そっ、そうなる…かな」

「バカッ、こんなところで急にっ」

 私にだって心の準備が必要。いきなり言われても、「はい」なんて返事はできない。でも、本当にできないのかな?

 私、慎二のことは好き。でも、最近は慎二が私のことをわかってくれないということで、違和感を感じていた。いつも自分勝手な振る舞いばかりしている慎二のことを、少しずつキライになっていた。

 でも、今日この喫茶店に来て、この魔法のコーヒーを飲んで、そうじゃないことがわかった。私が自分の思いを口にしていない。だから慎二は私の思いや考えを理解できていなかったことに気づいた。そう、慎二は勝手な振る舞いをしていたのではなく、私の思いをちゃんと理解できていなかったから、そうしていただけのこと。

 たった今、慎二の口からお互いになんでも言い合い、笑って暮らせる家庭を作りたいって、そう言われたばかり。だったらなんの心配もないじゃない。

 でも、本当に慎二の言葉に甘えてもいいのかな?「はい」って返事をしてもいいのかな?それで私は幸せになれるのかな?

 そんな私の気持ちを察したのか、店員さんが言葉をかけてくれた。

「迷ったら、シェリー・ブレンドに答えを聞くといいですよ」

 魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。今、私が望んでいるものの味がする。じゃぁ、慎二の言葉に対して、私が望んでいるものとはなんなのか。それをハッキリさせたい。

 あと一口分ほど残っている魔法のコーヒー。私はそれを噛みしめるように、ゆっくりと口にした。

 そこで味わったもの。甘い感じ。そして、そこから広がる奥行き。ずーっと奥まで続いている。まるで私の一生を示しているみたい。この先何年も、何十年もこの甘さを続けていきたい。じゃぁ、この甘さってなんなの?

 そう思った瞬間、目に浮かんだのは慎二と、まだ見ぬ子どもの姿。それが浮かんだと思ったら、子どもがどんどん成長していく。それと共に私と慎二もその年齢に合わせて歳をとっていく。まるで記念写真をパラパラ漫画のように見ている感じだ。

 この家族としての笑顔を、ずっと続けていきたい。それが私の答。

「慎二、一つだけ条件を出していい?」

 目を開けて、そして改めて慎二と向き合う。

「何、条件って?」

「それは、私と、そして私たちの子どもと、ずっと笑顔でいること。もちろん、私もずっと笑顔でいる。そして…」

「そして?」

「お互いの思い、分かり合えるようになんでも話せる。そんなふうになりたいの。私もちゃんと自分の思いを話せるように努力する。逆に、慎二は自分の勝手な思いだけで行動しないで欲しい。まず私に慎二の思いや考えを伝えて欲しい。そうしたら私もきちんと考えて、そして自分の思いを伝えるようにするから」

 思ったことを一気にしゃべった。なんだか気持ちがいい。

「わかった。じゃぁ、俺が勝手な行動をしないように、もう一度自分の思いをきちんと伝える」

 すると、慎二は大きく深呼吸。そして真剣な目で私を見る。

「明穂、俺と結婚してください」

 そう言って、慎二は頭を下げて、右手を私に差し出した。

 慎二が自分の思いをあらためて私に伝えてくれた。だったら私も、約束通りきちんと考えて自分の思いを伝えなきゃ。

「はい」

 そう言って、私は慎二の右手を固く握り締める。

「よっし!」

 慎二、今度はそう絶叫して、左手でガッツポーズ。よほど嬉しかったと見える。私も嬉しい。この時、最初にシェリー・ブレンドを飲んだ時のあの、シンクロをした感覚が蘇ってきた。

 こんなふうに慎二と同じ感覚を味わう。これをこの先、一生をかけて行っていく。その一歩を今歩みだしたんだ。

「おめでとうございます」

 店員さんからそう言われて祝福された。同時に、お店にいた方達からも拍手が沸き起こった。どうやら私たちの会話、周りのみんなに筒抜けだったみたい。

「マイ、ちょっと」

 カウンターからマスターが店員さんを呼ぶ。すると、程なくして店員さんが何かをお盆に乗せて持ってきた。

「これ、マスターからお二人にプレゼントです」

 そう言って差し出されたのは、小さなケーキ。いや、ケーキというよりもタルトみたいなもの。とても可愛らしい。

「これ、ここで作っているんですか?」

「実は、たまたまマスターの妹さんが手作りで持ってきていたんです。マスターの妹さん、前はパティシエをやっていてお菓子づくりのプロだったんですよ。売り物ではないのですが、これをぜひ味わってください」

「ありがとうございます」

 私と慎二、同時にお礼の言葉が飛び出した。まさにシンクロしている。

「じゃぁ、ちょっと早いけど、ウエディングケーキ入刀ってことで」

 慎二、フォークを手にして私の手をその上に添えさせた。そしてゆっくりと二人で、この小さなケーキを二つにする。なんだか照れくさいけれど、すごく嬉しい。再び周りの人たちが拍手喝采で祝ってくれた。

「なんか、すごい一日になっちゃったね」

 喫茶店からの帰り、私は慎二にそう言葉をかけた。そうだよなぁ、今日一日を振り返ると、私の心の振れ幅ってすごく大きなものになっていたな。だって、最初はもうこれ以上慎二とは無理だって、そう思ったんだから。けれど、あの喫茶店に行って、魔法のコーヒーを飲んだら、私の本当の気持ちがわかって。そしてどうすれば慎二とこの先やっていけるのか、ここが見えてきた。

 そして最後はプロポーズ。まさか、こんなハッピーエンドで一日を終えることができるなんて、夢にも思わなかった。

「そうだなぁ。俺も自分の悪いところもわかったし。そして、どうすればこの先明穂とずっと一緒にいることができるのか、それもわかったし。そして、ようやく俺も自分の心に踏ん切りがついた。やっと自分の思いを明穂に伝えることができた」

 そう言うと慎二は私の手をギュッと握ってくれた。私も慎二の手をギュッと握り返す。この時、また心が通じ合った。そんな感じがした。それが嬉しい。

 今度からきちんと、自分の思ったことを慎二に伝えよう。自分のことをわかって欲しい、それは私のわがままに過ぎない。本当に必要なのは、思いを伝えることなんだ。

 この日から私と慎二の接し方、過ごし方が変わってきた。最初はちょっと遠慮がちに自分の思いを口にするようにしていたが、次第に何でも言えるようになってきた。

 逆に慎二は、相変わらず自分の考えや思いをすぐに口にはするけれど、自分勝手に行動をしないようになった。必ず私に

「こう思うんだけど、どうする?」

と聞いてくるようになった。

 そうして気がついたら、結婚をするための段取りをしている私と慎二。私の両親に慎二をあらためて紹介。以前話したことはあるんだけど、慎二と両親がきちんと会うのは初めて。お父さん、慎二が年下だしゲーム好きなことを知っていたから、なんだか今ひとつって感じだった。

 けれど、話をしていくうちに、根がまじめで私のことを思いやってくれていることがわかったのか、とても和やかな感じになった。おかげで、最後は笑顔でお互いに「よろしくお願いします」なんて言い合ったくらい。

 今度は私が慎二の家に挨拶に伺ったとき。ここでは慎二は私のことをすごくいい女性のように伝えていたみたい。だから今度は「こんなおっちょこちょいなところもあるんですよー」なんて感じで、私という人物を下げてみた。これが正解ですぐに打ち解けた。

 実はこの作戦、慎二と先に打ち合わせをして考えたもの。これもあの喫茶店、カフェ・シェリーにもう一度出向き、魔法のコーヒー、シェリー・ブレンドを飲んでひらめいたもの。

 結婚というのは、二人だけで行うものではない。お互いの家と家との付き合いにもなる。ここでもお互いの家の価値観を先に知り、認め合うことが大事だということをカフェ・シェリーのマスターから教えてもらった。

「そこを意識しないから、嫁姑問題のようなことが起きてしまうんです。あれはお互いの価値観、特にお姑さんがお嫁さんの価値観を認めないこと、自分の価値観を押し付けてしまうことから始まりますからね」

 そうか、ということは先に相手の家の価値観を知りつつ、自分はこんな価値観の人間ですよー、ということを結婚前に知らせておくことが大事なんだ。だから、結婚前から自分というものを慎二の家庭に伝えることが必要なんだな。

 慎二は慎二で、私の家にも同じことをしておく必要がある。私、お父さんに慎二に対しての愚痴を言っちゃってた。その印象をどこかでひっくり返さないと、「こんなやつに明穂はやらん!」なんて言い出しそうだからなぁ。ここは慎重にやらないといけないな。

 こうやって話をして、あらためて「結婚」というものについてしっかりと考えることができた。結婚って、単に相手のことが好きで一緒になるだけってわけにはいかないんだな。そもそも育ってきた環境が違う二人が一緒に暮らすんだから、衝突があって当たり前。問題はそのときにどう解決していくか。ここをしっかりと話せる関係にならないと、結婚なんてしてはいけない。

 慎二とお互いの家に対しての戦略をしっかりと練ったおかげで、私という人間性、慎二の人間性を親に認めてもらうことはできたみたい。いい子ぶってストレスを溜めるのではなく、自分の価値観を知ってもらいつつ、相手にも合わせるようにしていくことを先に知ってもらうことをお互いの親に伝えることもできた。

 この先、慎二とはまだまだいろいろな衝突が発生するだろう。ここで慎二とルールを作った。

 お互いに相手に対して言いたいことがあったときには、素直にそれを話すこと。そして、言われた方はそれをまずは受け止めること。そこから、きちんと話し合いをして解決策を二人で考える。これが守られずに一方的になったときには、離婚だからねって。ちょっと過激かもしれないけれど、大切なことだから。

 こうして、私と慎二の新しい生活をスタートさせることができた。結婚式の段取りや、新しい住居、そして家事分担など話し合うときにはいろいろと意見を交わして決めることができた。

 途中、ケンカしそうになったときもあった。

「新婚旅行は絶対ハワイ!」

 慎二の言い分に対し、私はこう反論。

「いや、私が行きたいのはオーストラリア!」

 これも、どうしてハワイか、オーストラリアかをきちんと話したら、慎二は海を満喫したい、私は大自然を満喫したいという意見。だったらオーストラリアの海でもいいじゃない、ということで私の意見が採用された。ハワイはお金をためて、家族旅行で行こうという目標もできた。

 どうしてその意見なのか、理由をきちんと話し合えばお互いに納得できる意見を創り出すことができる。大事なのは自分の思いを伝え、相手の思いを受け止め、そして納得できる答えを見つけること。これが夫婦にとって大切なことなんだな。

 これから先、子育てやさまざまことで意見を交わすことが多くなるだろう。意見の言い合いはしても、それでふてくされることはなくなるかな。世の中のみんながそうやれば、みんな幸せになるのになぁ。大事なことは伝えあうことだな。


<わかってよ! 完>

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