初めての魔法授業
今日は、小麦の焼ける匂いとバター香りで目が覚めた。下の釜で、金子先生がパンを焼いているみたいだ。
それと、豆腐職人が豆腐を持ってきたので。猪汁に入れてみた。すると、味噌汁みたいになってしまった。
朝ごはんを片付けて、昨日出しておいた魔道書と魔法の教科書を青空教室に持って行った。
これは、おばあちゃんから貰った卑弥呼直筆の魔道書だ。同じ時代のやつだから、役に立つだろう。
木の下に着くと、開始前にもかかわらず漠先生が来ていた。
「すみません。もう、始まってましたか?」
「いや。まだだけど。そう言えば、何を持ってるの?」
「これは、卑弥呼様直筆の魔道書です。未来では、魔法を学ぶために重要な本です。」
「そうか、少し読んでいいかな?」
「いいですよ。」
「10元素って何?読めないことは、ないけど。呪文も違うね。」
「この魔法は、世界中の魔法を調べて、呪文も効率の良いようになっています。」
「そうか、ありがとう。また、貸してくれるかな。」
魔法の授業は、邪馬台国の言葉で呪文で行っていた。
私のために、現代語に訳してもらったけど、知っている呪文ではない。
なかなか、この国の言葉では、出来なかったので訳してもらった呪文でやってみた。
現代語も邪馬台国語でも、効果は変わらなかった。
おばあちゃんの言った通り、イメージや思いが大事だと感じた。
「鶇美先生から、聞いた事ありますけど。」
「そうなんですか?あの、邪馬台国の言葉を教えていただけませんか。この本を、勉強のために訳したいんです。」
「別にいいが。書き写す者は、無いけど。」
「それでも、構いません。」
青空教室の後、武を狩の仕事に連れて行った。これから、この三週間で狩、川の漁、海の漁を一週間試してから、仕事を決めるそうだ。
その初日の現場は、私が付き添って行くことになった。
男子についていくと、狩場についた。
志鮮国の二人も狩に参加するらしい。
遥が、刀で。真兎が、弓で応戦した。
他の男の人達は、矛が6割。弓が4割程いた。
「ねえ。姫子ちゃんも、一緒にやって行かない?」
と男子に誘われたので、やってみることにした。
探していると、熊龍が襲いかかってきた。
見た目は、顔が熊と龍の中間ぐらいで。筋肉隆々の肉体とモフモフの毛をしていた。
遥が、刀から何かを飛ばして攻撃して首きん少し切り傷を与えた。
「遥さん、何を飛ばしたんですか?」
「あぁ、斬撃に真空波を乗せて飛ばしたの。
外の肉は硬いから、すぐ刃がダメになるから。ショックを与えると内臓や血管が破裂するし、肝とかダメになるだろ。そしたら、美味しくなりそうだろ?」
「そうですね。出来るだけ切りたくないなら、電気を使えば楽になるんじゃないんですか?」
「そうかもしれないけど。」
「この話は、置いといて。まずは、その真空波教えてください。」
「だな。今は、狩に集中しないとな。風属性使えるかな?音属性も使えるなら、なお良いだけど。」
「そうですね。今は、電気で失神させて、血抜きをした方が効率が良いとかは、また今後話しましょう。音は、分かりませんが。風なら使えますよ。」
「うぅ、やけに現実的でグロい対処法だな。では、やり方教えるぞ。まずは、対象となる物に強く意識して。それに、上と下から圧力をかけて中の空気を抜くイメージ。それができたから、それを薄く鋭くなるように伸ばすイメージをすれば良いよ。
それの応用編で、振動させて威力を上げることもできるから。」
「分かりました。強く意識して、薄く鋭く伸ばし、振動をプラス。よし。」
腕を強く意識して、やってみた。
「良さそうだね。では、刀を・・・・・」
腕から、真空波を飛ばしてみた。
「おお。凄いね。もう、できるんだ。へぇ、腕からも出来るんだ。初めて知ったよ。もしかしたら、拳とかにも出来るかもね。」
「遥さん、炎を包んでみたら。エネルギー消費も少ないし、より強力になったよ。」
「うん。そんな応用方法もあるんだ。凄いね。」
真空の膜で電気を包んで失神させた。そして、遥さんが首に真空波を飛ばし。一撃で、倒せた。
男の人達が、その肉をその場で解体して国に持ち帰った。
その後、兎や鹿も仕留めて1日が終わった。
志鮮国の二人も一緒に夕食を食べた。
「昨日の魔法の勉強どうだった?」
「私の時代の言葉に訳した呪文でも、使えることが分かりました。」
「そうか。良かった。何か、目標できたかい?」
「私物の魔道書が、あるんですけど。それを、邪馬台国の言葉に訳したいです。」
「良い目標が、出来たな。そしたら、村人と話すのがもっと楽しくなるな。
そういえば、そこの冬川 遥と真兎。魔法の箒屋 頼まれてくれんか?」
「良いですよ。何でも言ってください。」
「田植えの手伝いともう一つ。魏の王様から遣いを頼まれるだけど行ってくれないか?」
「稲作は、分かりますけど。何故、遣魏使の重役をしてもいいんですか?」
「貢ぎ物と船員を守ってほしい。」
「分かりました。喜んで受けさせて下さい。」
「よし、姫子。魔法の勉強しておいで。」
「えっ。ありがとう。卑弥呼様。」
朝ごはんも楽しかった。
こうして、今夜も賑やかな夜は、過ぎていった。