先生、スキル獲得おめでとうございます。
今朝は、鳥のさえずりとともに目が覚めた。
この時代に来て初めての土曜日だ。
まだ朝練には、かなり時間がある。起きても何もないので、布団の中で時間を潰すことにした。
だが、それも虚しく階段を駆け上がる音が聞こえた。
昨晩は、卑弥呼様と3階で寝ていた。
2階では、武と志鮮国の二人が寝ていた。
「タケル。タケル。起きてる?」
「先生、どうしたんですか?武は、まだ寝てます。」
「姫子さん。おはよう。」
「おはようございます。どうしたんですか?」
「そうだったわね。今日、新しいスキルが手に入ったの。」
「え?」
「植物図鑑っていう奴なんだけど。この時代で見たり触った植物を登録したり。種や苗を取り出せるみたい。」
「そうなんですね。すごいですね。」
「そうなの。今日は、授業がないから油断してた。
焼く暇がなさそうだから、フラットブレット屋の人に昨日仕込みしたパン種を渡して来た。焼いて配達してくれるって。」
「そうなんですか。今から、何かするんですか?」
「うん?ああ。寝坊したし、あなた達と話やできれば朝練もしたいなと思って。」
「そうなんですね。まだ、時間が早いので・・・」
「村の冷蔵洞窟から、昨日余ったマカロン持って来た。食べる?アーモンドの代りにくるみを使ったの。野苺ジャムと生クリーム、バタークリーム、カスタードの4種類です。」
「ありがとうございます。カスタードをもらいます。」
「このカスタードは、卵黄たっぷり使ったから濃厚で美味しいよ。」
「本当に美味しいです。」
「この赤い色はね、野苺の煮汁を乾燥させた着色を使ったの。凄いでしょ。」
しばらく、1時間近く話続けた。
卑弥呼様に鶇美先生が朝練に参加することを伝えに行った。
朝練は、鶇美先生が植物属性を使ったのでそれに卑弥呼様も植物属性を使い。私達、姉弟は、相性の良い属性で戦った。私が、火属性。武が、金属属性を使った。
朝練終わりに、パンが届いた。フラットブレットも一緒に貰った。デザートにマカロンを食べた。
ここ数日、過ごして分かったんだけど。この時代の人達は、朝ご飯の時や小腹がすいた時ににパンを食べることが多いらしい。
そして、卑弥呼様は、30の加盟国を治めていて。邪馬台国は、加盟国の首都のようなものらしい。国と言っても、現代でいう市や街に近い。それをまとめているようだ。
今日の朝ご飯は、焼きたら、生ハム。目玉焼き、味噌汁、サラダ。デザートに胡麻団子とどんぐりクッキー、マカロンだった。
「ねえ、私の授業面白かった?」
「うん。初めて中国語を教えてもらったけど面白かったよ。」
「それなら、よかった。月曜日は、漠先生が魔法を教えてくれるみたい。私も、魔法を教えることがあるから、その時は、楽しみにしててね。」
「分かった。楽しみにしてるね。」
「後さ、タケルは、パンケーキ好きかな?」
「パンケーキってなに?」
「ホットケーキわかる?それなら、パンケーキという種類の中にホットケーキがあるの。チワワやダックスフンドが、犬に属するみたいに。」
「何となく分かった。」
「なら、明日焼いてあげるね。」
「パンケーキが、食べられるのか。嬉しいんじゃが。妾達は、明日早朝から富玄国に行くからの。朝は、弁当にするつもりじゃ。すまないの。」
「いえいえ。そうとは、知らずこちらもすみませんでした。」
「そう謝るな。お主の気遣いは、嬉しく思っとるし。なにより、妾も残念に思っとるんじゃ。
蜂蜜のたっぷり入ったパンケーキは、とても美味で。たっぷりのバターを溶かして蜂蜜を垂らしても良し。生クリームと沢山の果物を乗せても良いな。」
「バターの取りすぎは、体に悪いですよ。だから、植物油でマーガリン作ってるじゃないですか。」
「米油やひまわり油の供試品、オッケーしたじゃないですか?」
「したけど、やっぱりバターの方がいいんじゃ。」
「卑弥呼様。もう少し健康のことも考えて下さい。もう、40歳手前なんですから。」
「ああ。分かっとる。」
食後は、街の施設を廻った。
最初は、酒蔵に行った。一階は、酒蔵とお酢。地下に、醤油や味噌を作っていた。
酒は、神様に備えた後、村の大人達が飲む習慣があったらしい。作る所も小さな小屋だった。
鶇美先生が様々な調味料が必要だと事で。施設を作ることになり、一つにまとめたらしい。
次に、豆腐屋とフラットブレット屋に行った。フラットブレットは、もともとあったらしい。豆腐は、鶇美先生が漁師の国 富玄国からニガリという豆腐を固めるを調達して広めたらしい。
そして、夢さんが、施設長になっている。繊維工場と
裁縫をしている施設だ。国民全員の服と加盟国への輸出用の服を一定に行なっている。ここで、作られた生地は、専門店でも買えるようだ。
最後に、牧場に連れて行かれた。
乳製品や養蜂、果樹園、畜産もやっている。牛と豚、鳥、馬をやってるみたいだ。果樹園は、柿や梨、栗などが植えられている。
バターなどの乳製品や養蜂は、先生が技術を伝えてお願いしたそうだ。
家に帰る途中で、田んぼや畑、麦畑などを見ながら帰った。道端に桜や梅、桃が植えられていた。
畑では、山から栽培しやすい植物や穀物を植えて国で管理しているらしい。
家に着くと、昨日の青空教室にいた女の子がいた。
「えっと、姫子さんよね。昨日知り合ったばっかりでごめんね。名前まだだったよね。学級委員長の みよって言うの。ちょっと良いかしら。武君は、ここにいても良いよ。」
「どうしたの?」
「今日、鶇美先生の誕生日なの。今、私の家で女子皆んなでケーキ作ってるの。」
「分かった。急いで行くね。」
野苺で色付けした赤いマカロン。焼いたスポンジに生クリームを塗り、果物をたっぷりと乗せた。
出来上がったケーキを冷蔵洞窟に入れた。
そして、春の収穫祭が行われた。山葵やアブラナなどの野菜。アブラナから抽出した油で作った山菜の天ぷら、お酒をお供えした。
そして、お供えしたお酒は、大人に振る舞われ。収穫祭が花見に変わってしまった。
数時間経ち、夕方になって、今度は、国民全員でサプライズパーティーをした。志鮮国の二人も一緒に参加した。
開始直後、空間に穴が空いて、手が出てきた。
「ごめん。ごめん。言い忘れてた。その図鑑、最大三人でシェアできるよ。その人達が、集めたものが登録されるから。
後、happy birthday。おまけに苺あげるよ。あまおうとオランダ苺原種の十個ずつね。それでいいかい?」
「5人でシェアできるようにして欲しいのと。後、マスタードと唐辛子、ニンニク、トマ」
「分かった。辛子だけは、オッケーとする。平安時代頃に伝来するから、あまり俺からは、時代にないものを送りたくは、ないんだけど。」
「マスタードと和辛子は、ちょっと違うんだけど。後、ケッチャプも作りたくて頼んだのに。断られるとは、思わなかった。」
「あのね。苺と辛子だけでも。十分すぎる贈り物なんだからね。分かってる?」
「承知しました。どう言うか、あなたは誰なんですか?」
「名前を名乗るほどじゃないよ。ああそうだ、日野姉弟にも入学祝い。永遠に使用可能な鉛筆とシャーペン、ボールペン、消しゴム。それと、普通の紙10,000枚。後、姫子ちゃんには、永遠に使用可能のノート2冊。武君には、落書き帳をあげるね。じあね。」
「私達にも、くださってありがとうございます。」
穴が小さくなると、手は戻っていった。戻り側に。
「別に構わないよ。ただ俺の気まぐれだからさ。」
そして、もらった苺は登録した後、ケーキに乗せて皆んなに振る舞われた。
先生も今日みたいに、能力やプレゼントをもらったのは、初めてらしい。
そして、今日も賑やかな夜は、過ぎていった。