初めての青空教室
翌日も朝練後で、卑弥呼様と朝ごはんを食べた。
「妾も、おぬしらの隣で食べていいか?御簾を入口に付け替え変えれば、良いじゃろう。昨日、久しぶりに誰かと食べて楽しかったのう。」
仮面を横に置き、隣に座ってくれた。
「弟さんとは、食べないんですか?」
「彼奴には、家族がいるからの。それは、置いといて。今日から、二人とも青空教室に行くと聞いたが、緊張してないか?」
「ありがとうございます。なんとか、大丈夫です。ねえ、武あんたは、どうな・・・って焼き魚もちゃんと食べなさい。体にいいのよ。」
「いやだ。骨がいっぱいで、喉に刺さるんだもん。だから、昨日おじちゃんにあげたのに。」
「ほら、小骨全部取ってあげるからちゃんと食べなさい。」
「武、このアジと言う魚本当に美味じゃ。おぬしが、食べぬのなら、妾が食べてやるぞ。持っち来んしゃい。」
「うん。分かった。」
私が、ほぐした身を卑弥呼様が持っていった。
「ほー。美味じゃ。美味。うーーん。」
「やっぱり、返して。うん。美味しいね。これ。」
「よし、ちゃんと食べて勉強や働いてきておくれ。この国のために。」
下から、小麦の焼けた匂いとバター香りした。
「武〜。パンとヨーグルト持ってきたよ。バターと生クリーム、蜂蜜で代用した野苺ジャムもあるから使ってね。蜂蜜は、養蜂始めて5年目で美味しいの出来たんだよ。ねえ、食べてみて。」
「う〜〜ん。美味しい〜〜。」
朝ごはんを食べ終えて、下に降りた。井戸で食器を洗いに横に掛けておいた。
私達の平地式住宅予定地 横を通ると、大工らしい男の人二人が、穴を掘っていた。親方ぽいゴブリンが新人のヒトに教えながらやっているみたいだ。彼らの周りに深い穴がひとつあった。朝早くから、作業をしていた。
「おはようごさいます。頑張ってください。」
「おはよう。昨日は、コイツと二人だったが。今日から、応援が来るらしいから。少しは、楽になると思うぜ。」
竪穴式住宅街を歩いていると、狩猟用に飼われている縄文犬が吠え、尻尾を振っていた。
蔵の穀物を守るための猫が外に屋根上で昼寝をしていた。
朝の支度を終えて女性達が、国の畑に水を掛けていた。
そんな日常の一コマを見ながら、青空教室に向かった。
着くと30人の子ども達が、集まっていた。しばらく、待っていると金子先生がやって来た。
生徒は、教科書も持っていないらしい。先生だけ持っているだけだった。
「あの、先生。教科書は、ないんですか?」
「教科書になるのは、中日辞書と中国語の本と、本ぐらいしかないの。」
「授業は、中国語と国語だけですか。」
「後、算数と理科、地理、魔法の6科目よ。
もうそろいいかしら。」
「ええ。魔法も習えるんですね。おばあちゃんや父以外で教えてもらうの初めてなので楽しみです。」
先生が、私物の黒板塗料を板について塗って作った手作り黒板。邪馬台国で出た貝殻で、チョークを作った。
授業の板書を、地面に書き写した。
黒板に、中国語と日本語訳を書いていた。
授業中、たまに日本語が分からない子には、方言で教えていた。
そして、授業の終わりに別の教科の先生達を紹介された。
「理科で、植物を教えている青葉です。採取のリーダーで学んだことを教えています。」
「魔術を教える漠です。皆んなが、立派な魔法使いになれるようにビシビシ鍛えるつもりだからそのつもりでいてくれ。」
「国語と中国語、地理、数学を教えている金子 鶇美です。貴方達が、この国や世界で生きていくための知識を得る手助けをするつもりです。よろしくお願いします。
来週は、魔術、国語、数学、中国語、地理です。どれでも、気になった教科の日に来て下さい。では、また来週。」
「起立、姿勢、礼。ありがとうございました。」
漠先生と青葉先生が駆け寄って来た。
「俺は、魔術を教えている漠だ。君達の名前を教えてくれるかい?」
「私は、日野 姫子と弟の武です。」
「そうか、タケル君は、狩とかに興味あるかい?」
「狩も漁のどちらも、興味あります。まだ、どちらもやった事がないので、経験のある人に教えていただきたいです。」
「うん。そうか。小さいのにしっかりしてるな。俺は、いつでも待ってるぞ。
あっ、こいつは、妻の青葉だ。料理も家事も上手なんだぜ。」
青葉先生は、照れながら喋り始めた。
「妻の青葉です。今日までは、二人とも採取の手伝いをしてくれるんですよね。では、一緒に行きましょうか。」
話しながら、山道を上がっていった。
「両親と離れてさびくないですか?」
「いや、まだ実感がないというか。今は、日々の生活に慣れるので精一杯ですかね。」
「そうか、でも今日を終えたら、明日と明後日は、仕事も学校ないから、ゆっくりしなよ。」
「ありがとうござます。だったら、昨日よりも頑張らないといけませんね。」
3人で笑い合った。
今日習った、中国語のフレーズを口ずさみながら果物や山菜を採っていった。結構、集中してやっていたら、いつの間に時間になっていた。
武は、女の子とその弟と仲良くなっていた。
昨日よりは、気持ちばかり取れたと思う。
下山して、別れて作業をした。武は、男友達と餌やり。私は、青葉さんの山菜の下処理や掃除を手伝った。
「今日は、ありがとうね。うちには、男しかいないからね。助かったよ。せっかくだから、搾りたてのジュースを飲んでってよ。ねえ。」
「ありがとうござます。」
男性陣が建築帰るまで、奥様達とゆっくり雑談をしながら料理を作った。
料理工程は、焼く、煮る、蒸すの3つ。調味料は、塩だけ。それも、邪馬台国の中にある別の海辺の村にあるらしい。
男性陣が、帰って来る時までに出来上がった。女性たちと一緒に水浴びを済ました。彼らが、着替えと水浴びを済ました後、夕食にした。
昨日みたいに、馬鹿騒ぎはしなかったが。皆で、村人と楽しく囲んで食べた。
そして、翌日の朝練後に卑弥呼様から意外な事を言われた。
「明日、富玄村にアジを取り行ってみないか?」
「行ってみたいです。どんな村ですか?」
「あそこの村は、海産物や輸入品が集まるんだ。面白い所だぞ。
夜明けに朝練するから、寝坊するなよ。でないと、先に馬に乗って出発するからな。」
「分かりました。」
二人で目を合わせて笑い合った。