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遣魏使隊の出発の門出。

季節は、秋になった。村人全員で、稲刈りをして終わり、竹竿の台に掛けて天日干しした。そして、3日前に脱穀、精米まで終えた。

そして、遣魏使の祝いが行われた。それと、魏に収める米俵の準備も順調に進んでいる。

そして、加盟国からも祭りに来るらしい。多数の観光客が予想されるので。男性陣は、交代で警備に就くらしい。

今日は、青空教室の終了後 村人総出で準備をするらしい。私は、卑弥呼様の弟宅で説明を受けるため初めて訪問する。

ノックすると、お腹がふっくらとした奥さんが出てきた。

「はじめまして。日野 姫子です。」

「初めまして。胡琴(こきん)です。いつも、娘と旦那がお世話になって。うちの旦那なら、難升米(なしめ)さんと話しているわね。終わりしだいお呼びするので奥の部屋で待ってて下さい。」

「わかりました。」

話しているわね最終に、胡琴さんの後ろに女の子が現れた。

台与(とよ)、ごめん。もう、少しで終わるから待ってて。」

「わかった。後どれくらいで、お庭で遊んでくれる?」

「ごめん。今日は、忙しいから。明日じゃダメ?」

「やーだ。今日がいいの。」

「泣かないで。もう、3歳でしょ。あっと少ししたら、お姉ちゃんになるんでしょ。」

「だけど。お母さんと遊びたいの。」

「わかったから。泣かないで。女の子は、笑顔が一番よ。ね。姫子ちゃん、耳を塞いで。」

その言葉を発した後、台与ちゃんの泣きわめいた。言い合いに気づいた男達が駆けつけたが、泣き声を聞いて気絶した。声を聞かずに済んだ私も足が痺れてしまった。しばらくして、泣き止んだ。


「とよちゃん。お姉ちゃんと一緒に遊ぼう。何をして遊ぶ?」

「あ。姫子姉ちゃんだ。どんぐりコマがいいな。」

「うん。じゃあ、それしてみようか。」


倒れていた男達が、立ち上がってきた。よく見ると、志鮮国の魔法箒屋の遥と真兎だった。彼らの案内で、庭に向かった。

そういうことで、台与ちゃんとコマで対決することになった。激しいぶつかり合いで、見ていて面白かった。何戦かした後、鬼ごっこのやり方を教えた。

ジャンケンに勝って、どうにか鬼をまぬがれた。


一心不乱に逃げ回った。気になって、後ろを振り返ると雷をまといながら追いかけられていた。

「ロックショット」

鋭い石を飛ばして攻撃をした。だが、焔球で破壊された。そして、それを足場して、足裏に音波を飛ばして、スピードを上げてきた。

「アクアキャノン」

足取りするために水の攻撃魔法を撃った。だが、投げられた泥団子に吸収されてしまった。そして、風に乗せて刃のような葉っぱを飛ばしてきた。どうにか、避け切った。

しばらく逃げていると後ろで何か撃ってきた。振り返ると光の矢を5本射って来た。その後すぐ、鉄片を3つ飛ばして来た。光の矢は避けきれたが、鉄片が左足にかすった。しばらく走っていると痺れてきた。どうやら、麻痺性の毒も含まれていたらしい。

「ヒール」

樹(毒)と闇の混合魔法、治療魔法魔法でどうにか乗り切った。治療でスピードが落ちているところに攻撃魔法を打たれた。ちょうど、雀が飛んできて、鼻ちょうちんを出して倒れてた。どうやら睡眠系(闇)の魔法を放ったらしい。

「キューア」

状態異常を解除する、調和系(闇)の魔法を飛ばした。どうにか、雀も無事に飛んで行った。


「もう、とよちゃんやめてよ。危ないでしょ。」

「ごめんなさい。なんだか、いつもと違うことになっちゃたっね。」

「わかった。また練習して、そうならないように頑張ろうね。今日は、それの原因を確かめてみよう。」


闇魔法のブラックホールを使って、10属性を試し撃ちしてもらった。そして、部屋にあった魔道書をかき集めてやってもらった。その中に、何故か禁術の爆発魔法の魔道書も紛れていた。


色々な魔法を試してもらったら、10元素と3禁術の内2つ使えるようだ。教えて、発動するまでに、そんなに時間がかからなかった。

火水樹金土光闇風雷音と爆毒。

爆発魔法は、非常に危険な魔法で危険物取扱者の資格が必要。硝石(土)と火。硝石と硫黄(風)、火。雷酸(風)水銀(金)。外部を金属やダイヤ(土)で、内部を圧力(風)で魔力を閉じ込めるなど。混合魔法を使って爆発させる魔法。

毒は、植物魔法の中から栄養素などを取り出す魔法。使用によっては、危険なものがあるので薬学や栄養素の専門知識がない限り使えない。

影は、心体に影響を及ぼす危険な魔法。恨みや怒り、妬みによって強大な魔力を得ることができる。闇属性で、睡眠や調和など許可されているものを省く魔法のことである。


流石に、影の魔法は、教えなかったけど。どんな人にも、光と闇の属性は持っているから。知らない方がいいだろ。


最後に、魔法戦をやってあげた。数分、していると。庭の空中に、小さな穴が空いた。すると、雷をまとった猫とそれにしがみついた猫が現れた。

藍色の猫が、喋りかけてきた。

「おーー。また、変なところに来てしまったニャー。お前さん達、俺を見えるのかニャ?・・・そういえば、なんでそんな格好しているのかニャン?ハロウィンの仮装かニャン?」

「違う。この時代の服装だよ。」

「どういうことは、また時空を超えたのかニャン。」

「ここは、弥生時代。多分、あなたのいた時代から1,000年以上前だと思うよ。私も同じだから分かるけど。何年から来たの?」

「あんたは、どこから来たのかニャ?」

「えっ、私?2010年の3月下旬よ。」

「俺達は、2020年から来た。猫の地縛霊 碧丸。」

「昇龍軒の厨師長 鞍掛猫 六十嵐(こがらし) 浩治(こうじ)だ。普段は、この人間の姿をしている。よろしく。」

「日野 姫子、よろしくね。蒼丸、浩治。あんたの名前は?」

三毛猫から、色のスーツとハットを着た男になった。彼が、急に大声を発した。

「おっ、ハルがいるぞ。蒼丸。」

「本当だニャー。でも、説明するのめんどくさいから。ほっとこうニャー。」

「だな。どうせなら、村を探索しようぜ。」

「あの。着替えを持ってきてもらう?」

「おー。ヒメにゃんお願いできるかニャ?」

「了解した。今日は、秋祭りがあるけど。各地から、観光客も来るから暴れないでよ。お願いね。」

そういうと、藍猫は、逆立った金髪猫耳の少年へと変身した。


随分魔力を、使ってお腹が空いた。箒屋の遥達が、桑の実と野いちごのジュースを持ってきてくれた。マナを回復するためには、ちょうどいい。


今思うと、魔力ってなんなんだろ?心と体内のエネルギーが、関係しているらしいし。それと、自然界のエネルギーを利用すことで使えるんだけど。

食事や睡眠で、回復するし。食べ物によっては、マナ含有量や吸収率は違うし。精神状態も影響するらしい。

それは、わかるけど。実際のところ、理由や根拠がわかんない。

「そういえば、とよちゃんは、嫌いな食べ物あるの?」

「ニガカラ草と魚が嫌い。」

「どうして?」

「苦いし、唇がピリピリするし。

魚は、いくら骨取っても、喉に引っかかるもん。」

「なるほど。でもね。さっき教えた魔法っていうには、嫌いなものを食べないとどんどん弱くなっていくよ。」

「それは、嫌だ。どうすればいいの?」

「大丈夫。ちゃんと、食べたら。強くなっていくよ。」

「わかった。頑張る。」

そんな風に話していると、胡琴さんによばれた。

呼ばれた部屋には、弟さんと卑弥呼様がいた。

「姫子、来てくたのう、ありがとう。」

「久しぶりだね。」

「お久しぶりです。姫子です。」

「今日は、前々から言っていた通り 遣魏使に行ってもらいたい。」

「了解しました。」

「仕事は、世界中の魔法を調べてくることじゃ。できるかの?」

「ありがとうございます。一生懸命頑張ってきます。」

「よかったね。姫子ちゃん。頑張って来てね。」

「はい。」

「よし。私の代りを頼むのじゃ。お主は、妾の名前とよく似ているじゃろ?だから、今日から、卑弥呼代理の称号を与える。とういうのは、冗談だけどな。」

「確かしに似てますよね。私も、小さい時から名前が似ていていて。卑弥呼様がきっかけでいろいろな歴史の本を読むきっかけになりました。」

「歴史というものに、私の名前が載っとるのか。嬉しいの。」

「そうですね。私も、そんな人になれるように頑張ります。」

そんな、感じで和やかに話は、進んでいった。


「そういえば。出発してた半月後に台与の誕生日と収穫祭をするんじゃが。それに出て欲しかったの。今回の遣魏使がなかったら良かったのに。」

「そんなのが、あったんですか。出てみたかったですね。」

「世界を見てみたいと言ってあったから、言い出さずにおったんじゃ。」


その後、祭りの準備をしに向かった。その途中で、非加盟 星彦国のバッタ男の配達員にばったりと出会った。

「お久しぶりです。ヒメコさん。今日も、かまぼこと明太子持って来ましたよ。」

「ありがとうございます。そういえば、長いこと知り合っているのに、名前を聞いていませんでしたね。なんというのですか?」

「私は、星彦国の貧乏な漁師です。名前を知っても徳は、しませんよ。」

「いえ。ただ、知り合いなのに名前も知らないなんて嫌じゃないですか。」

「私は、蝗兵衛(いなべえ)です。」

「よろしくお願いします。蝗兵衛さん。今日の出発式があるので是非いらして下さいね。」

蝗兵衛さんに、手を振った。

出発式では、女性陣の作ったご馳走と富玄国の漁師の鮪解体ショーで出た刺身、お寿司、鮪のカマ焼き、お汁などが振る舞われた。


米や小麦、織り布、茶葉、奴隷に、男6人 女4人。などの貢ぎ物に運んだ。

そして、明太子や干し肉、どんぐり団子、小豆、絹の織物など保存食を積んだ。

武と卑弥呼様、サナちゃん達など多くの村人と富玄国で知り合った人達が、見送ってくれた。

そして、遣魏使たちを乗せた船が出航した。

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