30年の苦悩の日々
第19章 裁判 2
開廷致します
起立、礼、座ってください。
この言葉を号令に裁判の続きが始まりました。
被告人は前へ
氏名と職業を答えてください
息子が前に行きまっすぐに立ち
名前を言って無職ですと答えました。
裁判官から
先ほど休憩の前に検察側の読み上げた事は間違いありませんか?
息子は何も答えませんでした。
聞こえていますか?
間違いありませんか?
裁判官に問いただされて
息子の口からは
留保します
とだけ答えました。
私には意味がわかりませんでしたが前列の記者たちはザワザワしました。
裁判官から静かに!
と言われるやいなやピタリと静かになりました。
被告人は席に戻ってよろしい
一礼して息子がこちらを向いたので私はうつむき息子の顔を見れませんでした。
とゆうよりも私に見られている事を知ると悲しむような気がしていたのです。
弁護側の意見をどうぞと裁判官が
弁護士さん達の方を向いて声をかけました。
弁護士さんのうちの1人の人が
とても大きなハキハキした声で
長々と話しましたが要するに
洗脳されていたから仕方ないとか
自分自身の意思ではないとか
精神鑑定も必要であるとか
色々な事を言っていましたが
その時の話よりも検察側の読み上げた内容の息子が絡んだ12の事件の事や息子が作った猛毒や薬そして息子が手をかけて殺した幼い子供の事などで驚き過ぎていたので頭に残っていないのが現実です。
弁護士さんのお話よりも更に、息子が言っていた留保しますの意味も、知らないとゆう事なのか、答えたくないとゆう事なのか、それすらもわかりませんでした。
弁護士さんのお話が終わり、裁判官が検察側の検事さんに
何かあれば?
と聞くと
特にはございません。
と答えられました。
それではこれで第1回公判を閉廷します。
次回ですが検察側の予定はいつがよろしいでしょうか?
2週間後でお願いします。
弁護側はどうですか?
問題ありません。
時間ですが午前10時30分からはいかがですか?
検察側の検事さんは
11時でお願いします。
と答えられ裁判官が
弁護側はどうですか?
11時で問題ありません。
それでは2週間後の午前11時で決定いたします。
起立、礼。
前列の記者が休憩の時と同じように廊下へ出るとドタバタと走りました。
息子は両手首を揃えて刑務官に差し出して手錠を入れてもらっているように見えました。そのまま後ろ向きにくるりと回り、青色の縄も慣れた様に結んでもらっている様子でした。その時息子が私の方を見て少し会釈したような気がしました。
私がいることに気づいていたのです。
かわいそうな事をしてしまいました。
裁判、嫌なものを見てしまいました。
見てはいけない姿を見てしまいました。
2度と行かないと心に決めました。
 




